絃葉は確かに空腹だった。少しずつ口へ運んでいるうちに、白粥の器はすぐに空になった。胃もようやく落ち着いたように感じられる。試しに手足を動かしてみると、幸い、どこにも問題はなく、自由に動かすことができた。「本当に怖かった。たった一度の大雪で、あそこまで完全に閉じ込められるなんて思わなかった......」絃葉は今も恐怖が残っているように言った。「雪には嫌われているのかもしれない。これから雪が降った日に、もう出かけたりしないよ......」景は彼女の鼻先を軽くつつき、申し訳なさそうな目をした。「すまない。あのとき、すぐ君たちを追いかけるべきだった......楠原に仕事の話で引き止められさえしなければ......」また優奈?絃葉の心拍が、突然速くなった。「待って。今、楠原に引き止められたって......」景は彼女の異変に気づいた。「ああ。それがどうした?」絃葉は背筋が寒くなるのを感じた。「よく考えてみると、あまりにも偶然が重なりすぎているの。何かがおかしい気がする」景の声が掠れた。「君も、すべて誰かに仕組まれたことだと思っているのか?」絃葉は目を見開いた。「ええ......景も?」景はうなずいた。「二人が覚えていることを照らし合わせてみよう」絃葉は道に迷った経緯を、急いですべて話した。二人を斜面へ誘導した、あの犬のことも。景は驚愕した。「茶色の犬じゃなかったか?」「そう、その犬よ」絃葉も驚きで言葉を失った。景の顔には、信じられないという思いが浮かんでいる。「君たちが出ていってから、俺もすぐに追いかけた。その途中で、同じような犬を見たんだ。後ろからついてきた優奈に、犬は勘が鋭いから、あとを追ってみたほうがいいって......」この瞬間、二人が抱いていた疑いが、一本の線につながった。絃葉は信じられないという目で景を見た。「......すべて彼女が裏で操っていたということ?私と悠を雪の中に取り残し、そのまま死なせるための......」景は声を低くした。「でも、証拠がない。今のままでは、彼女を追及できない」言い終わった直後、病室の外から慌ただしい足音が聞こえてきた。次の瞬間、優奈が花束を抱えてドアを開け、親しげな笑顔で入ってきた。「景、
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