二枚の写真の間には、その年に彼女と出会ったときの出来事と、当時抱いた想いを文章で書き添えていた。手間も時間もかかる作業だった。膨大な記憶をたどらなければならないうえ、資料の作成能力まで問われる。景が自らプレゼン資料を作るなど、もう何年もしていなかった。だが、これは二人の物語の始まりを記すものだ。ほかの誰かに任せる気にはなれなかった。景は、このスライドを生涯大切に保管しようとまで考えていた。いつか二人が子や孫に囲まれるようになったら、後の世代にも自分たちの愛の軌跡を見届けてもらいたい。景は、驚くほど真剣に取り組んでいた。一つ一つの言葉を慎重に選び、幼い頃から培ってきた文章力を余すところなく注ぎ込んだ。思い出に浸るほど、運命に導かれてきたという感覚が強くなっていく。絃葉は、初めから自分の運命の女性だったのだ。途中で起きた紆余曲折など重要ではない。最も大切なのは、最後に二人が結ばれたということだった。絃葉はゆっくりと入浴を楽しんだあと、景の古いシャツを身にまとって浴室から出てきた。寝室は静まり返り、ベッドには誰もいない。書斎からだけ明かりが漏れていた。彼女は足音を忍ばせて近づいた。景はわずかに眉を寄せ、画面を真剣に見つめている。仕事に集中しているようだった。「景?こんな遅くまで仕事をしているの?」絃葉は心配そうに声をかけ、彼へ歩み寄った。景は隠し事をしているところを見つかったかのように、耳まで一瞬で赤くなった。そして、音を立ててノートパソコンを閉じる。絃葉は彼の不自然な様子に気づき、不思議そうに尋ねた。「あれ?もしかして、見てはいけないもの?」実は近づいたとき、彼女は画面をちらりと目にしていた。女性らしき写真が映っており、景はキーボードを打ちながら、口元にかすかな笑みまで浮かべていた。まさか......女性とやり取りをしていたのだろうか。胸の奥にわずかな疑念が生まれたが、絃葉は口には出さなかった。景は低い声で答え、立ち上がった。「ああ、社外秘の資料だ」薄着の絃葉は裸足で、シャツの裾から白くすらりとした脚が見え隠れしていた。景は彼女へ近づくと、その体を軽々と抱き上げた。温かな吐息が頬をかすめる。彼は真面目な顔で尋ねた。「どうして最近、いつも俺の
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