峻は振り返り、壇下の柊吾に目配せをした。柊吾も険しい顔で唇を引き結んでいたが、峻の意図を悟ると、すぐさま傍らに控える大柄なボディーガードに耳打ちした。ボディーガードは力強くうなずき、足早に会場を後にした。柊吾は内心でせせら笑った。警察が何だというんだ。相手はあの御堂峻だぞ。御堂家に喧嘩を売るとは、自ら破滅を招いているようなものだ。その動きを見逃さなかった若い刑事は眉をきりりとつり上げ、緊張した面持ちで圭吾に歩み寄り、その耳元に何かを伝えようとした。「警部……」しかし圭吾は片手を上げて彼を制した。そして小さく息を吐くと、一歩前へ出た。「御堂社長。あなたは隣の女性を無条件に信じ、たとえ彼女が何をしたとしても庇い立てするおつもりのようですね。ですが、我々はすでに確固たる証拠を掴んでいるんです。彼女が涼風清音本人であり、今回の二つの事件を裏で操った首謀者であると証明できるだけのものをね。だからこそ、私は今、ここに立っているんです」峻は目から火を噴きそうな勢いで圭吾を睨みつけた。もう我慢の限界が近づいていた。「夏目刑事!忘れたのか?四年前、清音は車にはねられたんだ。俺が駆けつけた時には全身血まみれで……最後は、この俺の腕の中で息を引き取ったんだ!清音はもう死んだ!それなのに、あんたたちはまだ死んだ彼女を追い詰めるつもりか!」峻は歯を食いしばり、叩きつけるように責め立てた。激しい興奮と怒りのあまり、その声はわずかに震えていた。傍らで聞いていた憲一と沙代も堪えきれず、涙ながらに圭吾へ詰め寄った。「この人でなし!なぜ娘をそっとしておいてやれないんだ!」「清音はあんなに惨たらしく、あまりにも哀れな死に方をしたのよ!全部、瀬戸夕凪、あの卑しい女のせいじゃない!あの冷酷非道な女こそ人殺しよ!捕まえるならあの女を捕まえなさい!どうして狂犬みたいに見境なく人に噛みつくのよ……!」二人は口々に罵声を浴びせ、圭吾を八つ裂きにせんばかりの凄まじい形相で飛びかかろうとしたが、圭吾に届く前に、若い警察官たちに取り押さえられた。圭吾は二人には取り合わず、峻を真っ直ぐに見据えたまま言葉を継いだ。「御堂社長。あなたは一度でも疑わなかったんですか?確かに、清音はあなたの目の前で息を引き取った。その後、悲しみのあまり倒れた憲一さんと沙代さんの処
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