仁哉と奈緒。二人は人混みの中に立ち、冷ややかな目で一部始終を見ていた。充の視線に気づいたのか、奈緒もまっすぐ充を見た。人混み越しでもはっきり分かる。その目にあるのは凍りつくような憎しみと嘲りだけ。その瞬間、充はまるでまな板の上にさらされた肉のような気分になった。プライドも尊厳も、何も残っていない。ふと自分の身体を見る。鍛え上げた腹筋も厚い胸板も、今は邪魔でしかなかった。こんな身体でなければ、大勢の中でここまで目立たずに済んだかもしれないのに。結局、充もそのままパトカーへ乗せられた。携帯をはじめ、通信機器はすべて没収される。それどころか着替えさえ許されずに、その場にいた全員が、警察署へと連行された。そこからは、淡々と手続きが進んだ。充も衣服をすべて脱いで全身を確認され、その後、血液検査と尿検査を受けた。一通りの検査が終わると、パーティーに参加していたほかの男たちと一緒に、暗い部屋へ入れられた。一晩中あれこれ調べられ、すべてが終わる頃には、すっかり夜が明けていた。薬物には手を出さず、酒に酔っていただけの者たちがようやく目を覚ます。互いに顔を見合わせながら、誰もが「どうしてこうなった?」と言わんばかりの顔をしていた。充は一人ずつ顔を確認した。拓也、俊丞、哲伸――昨夜パーティーで見かけた面々はほとんど揃っているのに、弘樹の姿だけが見当たらない。しかも、自分が連行されたとき、奈緒と仁哉は現場の外にいた。そこまで考えた瞬間、充の中で何かが引っかかった。充は勢いよく拓也の腕を掴む。「拓也、弘樹は?昨日、あいつもかなり飲んでたのに、どうして捕まってないんだ?」拓也はまだ、酒に酔って眠ったはずなのに、目を覚ましたら警察署にいたという状況すら理解できていなかった。そこへ突然腕を掴まれ、驚いて身体を震わせる。拓也は目をこすりながら答えた。「弘樹なら昨日、飲みすぎてもう無理だって言って、先に帰ったぞ。それより充、これどういうことだよ?なんで俺たち警察にいるんだ?まさか昨日、誰か薬物やってたとか?」充は直感的に違和感を覚えた。「弘樹は本当に飲みすぎただけか?警察が来る前に逃げた可能性は?」拓也が答えるより先に、床にぐったり座り込んでいた哲伸が口を挟んだ。「遠藤はそんな奴じゃないって。昨日は
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