六月に入った。 今日からいよいよ、かすみの経営するカフェがオープンする。 かすみは、ランチに八重子と早苗を、ディナーに弥一を招待するため、朝早くからカフェへと出掛けようとしていた。 そんなかすみを、同じく会社へと出勤する弥一が、車で乗せていくよ、と提案する。 「いえいえ、歩いて行ける距離ですから!それに、御子柴さんの出勤時間にはまだ早過ぎます。ですので、どうぞ私のことはお気になさらず!」 そう言って断ろうとするかすみに、 「何てことだ!巴、今の見てた?また、弥一がかすみにフラれてるよ!」 玄関先まで見送りに出ていたジョンは、嘆かわしい顔で巴を見つめた。 巴はため息を吐くと、 「弥一が誘い下手なのか、かすみちゃんが鉄壁すぎるのか。まあ、そのどちらもなんでしょうけど、仕方ないわね。弥一が使いものにならないなら、私がかすみちゃんをお店まで送って行きましょう!」 「よしっ!じゃあ僕も同乗しよう!」 羽柴の訪問後、ジョンと巴はかすみが一人になるような状況は作らせないよう徹底していた。 いつでもどこでも、かすみに気付かれぬよう細心の注意の下、誰かしら護衛を付けていたのであった。 「フラれたとか大袈裟なこと言うのやめてもらえます?断られたとフラれたとでは、だいぶ意味が違うと思いますけど?というか、また、って何?また、って?いちいち俺の心抉ってこないでっ!」 だが、巴はそんな弥一の訴えを、「あーはいはい。わかったからもう、朝から叫ばないでちょうだい。」と、ぞんざいに退けると、 「私は、ちょうどかすみちゃんのお店の近くにあるベーカリーのパンが食べたいって思っていたところだったのよ!だから、かすみちゃんを乗せていくのはそのついで。ジョンを乗せていくのは荷物持ち。ね?ついでなんだからいいでしょう?」 そう、美しい顔でねだられ、かすみは返す言葉に困ってしまう。 すると、 「ああ!あのベーカリーね!はいはいはい。俺もちょうどあそこのパンを会社のみんなへの差し入れにいいなとおもってたんだ!」 巴はは弥一を訝しむように見つめると、 「便乗してこないでくれる?」 弥一は巴に近づくと小声で、 「息子に譲ってください、母上様。」 (母上様ってなによ・・・) 巴は呆れ顔で、 「じゃあ、弥一はかすみちゃん
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