4時間の長距離バスに揺られて、ようやく実家に着いた。私がバスを降りるなり、両親はすぐに駆け寄ってきて、荷物を運んでくれた。「お帰り!やっと帰ってきたね!ずっとずっと待ってたんだから!」久しぶりに会う両親の髪には白いものが混じり、顔には深い皺が刻まれていた。月日の流れを痛感させられる。老いてしまった両親の姿に、胸の奥がぎゅっと痛くなった。これまでは真崎の仕事が忙しいという言い訳に振り回され、休日のたびに呼び出されていた。休みもなく会社に尽くしていたせいで、もう何年も実家に帰れていなかったのだ。しかも真崎は、私の両親が田舎暮らしなのを馬鹿にして同居を認めず、近くに家を買うという提案すら金がかかると一蹴していた。結局、両親に親孝行ひとつしてあげられていない。これまでの不義理が悔やまれて、私は改めて心に誓った。これからは両親を大切にして、ちゃんと恩返しをしようと。実家で過ごし、母の手料理をお腹いっぱい食べた。真崎という厄介な人間がいなくなった夜は、ひどく静かで、安らかな眠りにつくことができた。翌朝、母に布団の中から引きずり出された。「菫、起きなさい。今日の午後2時、町内のカフェで翠さんの息子さんとお見合いなんだから」母はこれでもかというほど張り切って、好奇心の目をキラキラさせている。植田翠(うえだ みどり)は、母とは何十年来の友人だった。で、その息子というのが……ぼんやりとだが幼い頃によく一緒に遊んでいた記憶があるような気がする。実のところ、こういった形のお見合いには本能的な拒否反応があり、期待も何もしていない。それに、真崎に心をえぐられたせいか、恋愛に対してはすっかり冷めていたのだ。でも、嬉しそうな母の顔を見て、行かないとは言えなかった。母を安心させるための一仕事だと思って行ってみることにしよう。私は適当なTシャツにデニムを合わせ、運動靴という楽な格好で出かけようとした。母はそれを見るなり呆れた顔をして、ぐっと私の腕を捕まえた。「菫、いくらなんでもその格好は……もう少し気合い入れなさいよ。相手はかなりかっこいいんだから!」私は思わず笑ってしまった。母にとっては、世の中の男はみんなかっこよく見えるらしい。「もう、わかってるから。ちゃんと愛想よくしてくるよ」午後2時、時間通
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