Mag-log inside:商業ギルド
マヨのレシピの特許権を独占することができた商業ギルドの動きは早かった。商業ギルドで、泡立て器も含めて材料の購入ルートを確保してしまうと、ギド親方から出来始めの数本を受け取り、商業ギルドの一角を仮のマヨ生産拠点とし、さっそくマヨづくりを始めた。
最初は二人一組で始め、慣れてきたら一人ずつそれぞれのペースでマヨづくりを始め、手ごろな容器を都合してくると、容器に入るだけのマヨをたっぷりと入れると、各食品店舗や食事店に無料で配り始める。
「急いでください、初動でどれだけの店に配れるかが勝負を分けます。えこひいきなしでどれだけのお店に配れて、それぞれのお店でどのぐらいの客を相手にマヨを売りさばけるか、そしてマヨがどれだけ美味しいかをわかってもらうためのこれは呼び水です。金を払っても欲しいと思わせられればそれでマヨの価値は確定します。後は作っただけ売れる、と思ってください」
「はい! 」
ギルド職員のやる気も本物らしく、一生懸命泡立て器を回しながら油を流し込んで、分離しないように一生懸命マヨを
20分歩いて、オルハヌスのダンジョンへたどり着いた。「そういえば、イアンちゃんご飯は? 」「今日は抜きの日なのでだいじょうぶなのです。お二人はちゃんと持ってきていますか? 」「俺のアイテムボックスに入っている。だから大丈夫だ」 イアンちゃんにもダイエットの日、みたいなものがあるらしい。決して生活に困っているわけではない、というのは前に聞いたので、純粋に女の子には飯を抜いておきたい日というのが定期的に存在するのだろう。 セルフィにはちょっとまだ早い話かな? とセルフィを見つめていると、ハテナマークが付いているような顔でこちらを見つめ返す。 さて、さっそく入場をしよう。入り口にいる衛兵に挨拶をしながら進もう。お疲れ様でーす。「まて、お前たち見ない顔だな。冒険者証を提示してくれるか」 顔パスには程遠い、というか初回だから仕方ないか。黙って冒険者証を提示する。「ふむ、C、E、Eランクか。なら大丈夫だな。Cランクの君が引率かな」「そうなのです。今日は、ですがきっちり今日中に体に覚えさせる予定なのです」 イアンちゃんが胸を張って先輩風を吹かせる。イアンちゃんCランクだったのか。だとすれば立派に胸を張るだけの実力はあるということだな。「ならば大丈夫だな。落ち着いて先輩の言うことを聞くんだぞ」 ぱっと見俺のほうが年上のはずだが、それでもイアンちゃんを先輩呼びするということは、冒険者は完全実力主義ということなんだろう。こういうところからも情報の一端を仕入れることができる。「じゃあ行くですよ。どんなモンスターが出るかはわかってますか? 」「来る前に冒険者ギルドで調べたから一通りは。とりあえず二層までは問題なく潜れるかな、と思っている。ただ、弓矢持ちのゴブリンが出てきたらまた話は変わってくると思うけどね」「その認識で合ってると思うのです。なので、とりあえず二層までは行くのです」 ダンジョン内部は土と石の入り混じる壁の中に、光る鉱石が所々にちりばめられて、なかなかに綺麗だ。「この光る鉱石は希少品だっ
調べものを終えてさっそくオルハヌスのダンジョンへ行こうと、冒険者ギルドの出入り口へ差し掛かったところで前から声がかかる。「あ、やっと見つけました。タカナシさん発見なのです」 イアンちゃんだった。なんだか久しぶりに見える。「やあ、おはよう。お仕事? 頑張ってね」「いえ、タカナシさんに用事なのです。ちゃんと有給休暇でこの場所を楽しんでいらっしゃっているかのアンケートというか、普段の過ごし方についていろいろと説明を聞かなければならないのでお話を聞きたいのです」「うーん、今からオルハヌスのダンジョンへ行こうと思ってたんだよね。行きながらじゃダメかな? 」 イアンちゃんの仕事に付き合う必要は十分にあるとは思うのだが、こちらもそれなりに生活がかかっている話なので、気軽にいつでもOK、じゃあ今日はダンジョンは後日にして……とも反応しがたい。「いいですよ、私も同行するのです。 オルハヌスのダンジョンへ行こうという話なら、西門よりも北門のほうが近いですからそちらへ向かうのです」 イアンちゃんが同伴してくれるなら心強い。初めての場所にはやはりガイドがつきものだ。イアンちゃんをよく見れば、既に戦闘をする格好で冒険者ギルドに来ている。 おそらくは銀の卵亭で俺とセルフィが出掛けたことと、冒険者装備に着替えてから出かけたという話を仕入れて、急いで装備だけでもそろえてここにいるかどうか探しに来たんだろう。「じゃあ、行きがけに話に答えながら向かおうか。何もしないよりもそのほうが効率的だし無駄がない」 イアンちゃんが向かう途中に紙とペンを用意してくれていたので、そのアンケート項目に答えていく。 あなたはきちんと有給休暇を取れていますか? これは「はい」だな。 生活のために無理をしているとか、働きすぎてろくに休みが取れない状況にありますか? これは「いいえ」だな。休もうと思えば休める程度には生活資金を得られている。 早く有給休暇を終えて職場に復帰したいと思っていますか。これは……今はまだ「いいえ」だな。セルフィが奴隷か
食べ終えて財布の重さもありがたく、それにつけても顎の痛さよ。 一句出来た。こっちの世界には俳句なんておハイソな趣味はないかもしれないが、文化的な側面としてこういうものを流行らせて、いいものを詠んだ奴には賞金が出るような仕組みを広めるのも悪くない気がしてきた。 さて、昨日はしっかり肉を採ったし、今日はダンジョンか薬草か……薬草だとついでに肉も取れるし、前回も中々の収穫量を誇ったが、採りに行ってまだ日が浅いか。さすがにそう数日で薬草がモリモリ育つとも思えない。ここはダンジョンへ行くべきだろうか。「むむむ……今日は何をしようかねえ」「なにも思いつかないなら休みにしてもよろしいのでは? 」「二日前に休んだばかりじゃないか。そうそう休みばかり取っていては体がなまってしまうし、うっかりしている間に経済の発展に追い抜かれてしまう」「よくわかりませんが、思いつかないなら、とりあえず冒険者ギルドへ行って、調べものや依頼を探すのが良いと思いますが」 なるほど、現地に近い所へ行って決める、というのか。それも悪くないし、そういえばギルドの書棚に調べものをする、というタスクもあったな。とりあえず冒険者ギルドに行くのは確定でいいらしいな。「よし、じゃあセルフィの言う通り、まずは冒険者ギルドに行って何をするにしても対応できるようにしていこう。着替えて出発だ」「はい、行きましょう」 部屋に戻って冒険衣装に着替える。そろそろちゃんとした装備をそろえてもいいような気がしてきたな。軽い胴当てのような、急所だけうまくカバーしてくれるようなものがあればいいんだが、そういうものを探す日にしてもいいかもな。 親父さんに声をかけて弁当を受け取ると、いつも通り出かける。今日は直接どこかに行くわけではないのでその分儲けは少なくなるだろうが、許容範囲ということにしておこう。 冒険者ギルドに到着し、調べもの。セルフィに依頼を見てもらいつつ、書棚で魔法に関する書物を見つける。時空魔法については前に調べたので、暗黒魔法や聖魔法、空間魔法についての物を探す。
予想どおり、バチクソまぶしい日差しで目が覚める。もう慣れた。 ここに泊まる間か、もしくは……そうだな、この星の地軸が良い感じに傾いているならば、という条件付きになるが、日の昇る角度が変わればこれもマシになったり、少し遅れて起きたりすることができるのだろう。 目を覚まして井戸まで行き、身支度を済ませて塩と歯ブラシで歯を磨く。この原始的な歯ブラシにも慣れてきたが、ナイロンでできた歯ブラシが懐かしくもなる。やはり、産業革命から始まる近代化の波によって、公衆衛生用品にも劇的な変化が起きたのは間違いないだろう。 ここでは房楊枝がせいぜいだが、地域によっては木の棒に動物の硬めの毛を植え付けた原始的な近代歯ブラシの原型で歯を磨いているのかもしれないな。そういう商品を探し出して流通させるだけでも一儲けできそうな気はする。ただ、利益率的に美味しい商品ではなさそうだ。「おはよーございます」 朝は血圧低めなセルフィがよたよたと起きてきた。今日もまだお眠らしいが、井戸から水を汲んでやって顔を洗うと、いつものセルフィに段々戻り始めた。「んー……よし! 今日もばっちり! 」 顔を洗って歯を磨いて、髪を結びなおして、いつものセルフィの形に戻る。そして、着替えて今日も洗濯をするが、今日からは清潔魔法に加えて石鹸を使っていくことにした。固まった分の石鹸をこすりつけて、汚れている部分に付けて洗濯板でこすり落とす。 どうやら、石鹸成分はきちんと作用しているのを太陽の元ではっきりと確認できた、昨夜は火魔法で照らしながらやっていた。 殆どが色と臭いが頼りで、明確に汚れが落ちていたかはわからなかったが、今は太陽の下、よくわかる。黒いよごれや皮脂が塊で出てきているのを実感している。 こんなに汚れていたのか……と思うほどだが、これはまだ現代人思考が抜けていない証拠だろう。他のみんなはもっと薄汚れた格好や清潔レベルで活動をしているのだ。 自分とセルフィだけでも綺麗にしておかないとな。セルフィに石鹸を少しこすらせて、手を綺麗にさせる。「手
食事を終えて銀の卵亭に戻ってくる。すると、食堂を通りかかる時に親父さんに声をかけられる。「おぉ、帰ってきた。セルフィちゃんちょっといいかな」 どうやら俺に用事ではなくセルフィに用事らしい。珍しい。「はい、ちょっといいですか、ご主人様」「うん、行っておいで」 セルフィが親父さんについていって、そのまま食堂の中へと入っていく。今のうちに、冒険用の服を乾かして、明日にでも使えるようにしてしまうか。 部屋に戻り、月明かりを頼りにして火魔法と風魔法を駆使し、服の中をしっかり乾かす。セルフィが戻ってくるまでには乾くだろうな。 と、風魔法を使っていると、風魔法がレベルアップしたという声が聞こえる。また服の乾燥だけでレベルが上がってしまったな。今後もドライヤーとして活躍してもらおう。 しかし、ドライヤーとして扱うだけで風魔法が順調に上がっていくのはちょっと納得しかねるところがある。せっかくならちゃんと戦闘にも使っていきたい気持ちがある。 服を触りながらまだ濡れている場所を確認し、首元から胴にかけて円を描くようにドライヤーをかけていく。 徐々に襟元側から乾いていき、そして体側に向けて熱い空気が抜けていく。あんまり熱をかけすぎると服が縮んでしまうかもしれないので、ほどほどの温度でひたすら乾かし続ける。 そういえば、盾も綺麗に洗ってやらないといけないんだよな。こっちは石鹸で洗ったとしても同じようなものだろうから、ひたすら水洗いかな。乾かし終わったら盾のメンテナンスをしようか。 地道に乾かしている間にセルフィが戻ってくるかと思ったが、意外と時間がかかっているようだ。親父さんの用事って何だったんだろうな。 自作の火風魔法ドライヤーで乾かして、時々止めて乾き具合を確かめる。そろそろいいかな。後は自然に任せて乾かしても問題ないだろう。明日までに乾いてくれればそれでいいのだ。 干したままにすると、次に盾を洗いに行く。たわしをメリーさんに借りると、井戸で水を汲み、盾をごしごしと洗い始める。 暗い中だが、火魔法で明かりをともしながら洗っているので、ついでに火
銀の卵亭に帰ってきて、メリーさんとすれ違うと、少しぎょっとされるが、返り血であることを説明したら納得してくれた。「まあ、冒険者だから返り血にまみれることもあるってことさね。怪我してないなら安心だわ」 いつもどおり湯をもらって、まず着替える。この着替えた服は今日中に石鹸と洗濯板で洗って血を落としてしまおう。「今日は今までにないぐらい儲かりましたね。この調子で頑張りましょう」 いつも通りにお互い背中を綺麗にしながら今日の反省会をする。「そうだな、でも危なかったからな。危ない橋を渡って大きく儲けるよりも、危なげなく細かく稼いでいくほうが大事だからな。無理せず慎重に行こうな」「はい。さすがに今回は運が良かったと考えることにしてます。もしかしたらあのまま全力で吹き飛ばされた後、ご主人様がのしかかられて牙で怪我をしていた可能性もありますし」「ミニボアがクッションにならなかったらもっと大変なことになっていたかもしれないしな」「はい、なので今後はもっと注意しながら戦いましょう。私ももっと強くならないと」 お互い背中を拭き終わったので、前や手足なんかを綺麗にしていく。股間は最後だ。しっかり綺麗にして、この後食べる食事の場に血の臭いを残していかないようにしないとな。 綺麗なほうの服を着ると、お湯を返しに行くついでに井戸へ用事。石鹸がある程度固まっているのを確認すると、石鹸を返り血に擦り込んで、そのまま洗濯板のところで洗濯を開始する。「ちょっと待っててくれ、返り血だけ先に落としちゃって、出かけてる間にちょっとでも干して乾かせるようにしておきたい」「はい、お待ちしています」 俺が一生懸命自分の戦闘用の服を洗濯しているのを横目で見つめるセルフィ。泡立ちはそれほど悪くない。血の部分では泡立たないが、その周りの部分では十分な泡立ちを見せてくれている。「これがお手製石鹸ですか。確かに、この間買ってみた石鹸よりも良く泡立ってる気がします」「さすがに血の付いてるところは泡立たないけど……うん、完全に落ちはしないが、グングン血の色が
ちゃんと日が落ちる前に南門から街中へ帰る。「お、ちゃんと帰ってきたな、えらいぞ」 門番からはちゃんとお使いできてえらい! と褒められた。40過ぎのおっさんが、だ。でも、新人冒険者には違いないからな。言われたことをきちんと守るのも冒険者の務めなら、今日一日は立派に過ごせたということになる。 にしても、腰を痛めなくてよかったな。最近は歳のせいか、ぎっくりの気配が近寄ってくると、察知できるようになってきたが、今日は中腰仕事を半日してもいつもなら現れるであろうぎっくりの気配がかけらも来なかった。これも異世界転移特典だったりしてな。わはは。
30分待つことなく、武器だけ買いそろえた俺は南門へ向かった。その場で先に待っていたイアンちゃんと合流する。イアンちゃんはさっきより一枚二枚多く着込んだような服装で、頭には軽めの帽子をかぶっていた。 腰にはしっかりナイフを持ち、戦う準備は万端という感じだ。 実際にはもっと重苦しい装備もできたんだろうが、薬草採取ならこのぐらいで大丈夫だろう、という感じだな。「早かったですね。そういえば、武器も持たせずに待ち合わせに来てしまいました。今から急いで武器だけでもそろえに行きますか? 」「いや、アイテムボックスに入れてある。この通り」
奴隷の中の一人の少女の鑑定を行ってみる。その鑑定の中身には驚くべき一つのスキルと一つの称号が書かれていた。「ケンセイ」「イセカイテンイシャノシソン」 片方は剣聖、もしくは拳聖、後は健聖という可能性もあるが、あまり健康そうには見えないので最後のはありえないだろう。どちらにせよ何かしら強そうなイメージが与えられる。問題はもう一つのほうだ。 異世界転移者の子孫。これはあれだろうか。俺以外の異世界転移者がこの世界に過去に存在していて、その転移者が残していった種が畑に植えられて、実った結果、ということなのだろう。おそらくはこの子は借金奴
アイテムボックス以外にどんなスキルが付与されているのか。それを確かめに行く必要があるな。「どこかでスキルを確認することはできないのかい? 」「それなら、そこの露店の占いばあさんに頼むといいです。各地にネットワークを広げていて、ばあさんはみんな鑑定の技能を持ってる凄腕ばかりなのです。なのに、銀貨1枚で鑑定してくれる格安便利ばあさんなのです」 そんな街に一人はいるセーブデータを記録してくれる教会の司祭、みたいな存在がこの世界にも存在するらしい。ただ、田舎にまではさすがに足を伸ばしていないらしく、このボコマズの町ぐらいの中都市には一人はいるよう







