僕だってチートがあれば苦労なんてしていない 의 모든 챕터: 챕터 111 - 챕터 120

296 챕터

大きな背中に絵を描く-後篇-

 大きな背中に村の概略図を描くと、オギンにどんな風に移動していたのかを書いてもらう。  図にするとオギンにも彼の行動が判ったようだ。  そう、彼は正面門から倉庫や蔵の間を何通りものルートで行ったり来たりしていたのだ。  こりゃもうなにをしているのか一目瞭然だ。「これは……」「うん、盗賊の下見だね」「盗賊ですか!?」 ガーブラが戦闘モードになる。  いやいやいや、落ち着いて?「ガーブラ、殺気を収めて」 オギンにたしなめられて深呼吸を繰り返すガーブラがなんかかわいい。  三十過ぎのおっさんだけどね……。  確かに僕でも感じられたほどの強い気配だったからな。  あれが殺気というやつか……覚えとかなきゃ。「話を伺ってもいいですか?」 うーん……割と単細胞のお人好しキャラだからあんまり情報を提供すると顔に出たりして困るんだけどなぁ……。  とはいえ、ここで事情を説明しないのも信頼関係上悪手だし簡単にかいつまんで話すことにする。「そんなことになっていたんですか」 いたんですよ。「で、どうするんですか?」「泳がせるよ?」「泳ぐ?」 あ、この比喩はこの世界では伝わらないのかな?「いつ襲ってくるか判らない相手をビクビクしながら待つより、来ると判っていた方がいいと思わないかい?」「そりゃあ、いつ来るか判ればそれに越したことはないんですけどね」「判るものなんですか?」「判るよ」 僕の答えはよっぽど二人にとって驚きのものだったようだ。  まるで天啓を授かった預言者を見る目だよ、それ。  まだ種明かしをする気は無いけど、ある意味僕は未来人だからね。  三国志演義の諸葛亮孔明もびっくりの予言ができるんだ。  で、僕はこの能力を使って悪どくこの村をまとめようって寸法さ。  僕は単に元々
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預言者は詐欺師のように-前篇-

 結論から言うと僕の予言は当たるわけだけど、とりあえず四人は当初の予定通り三日目に村を出て行った。  その四日後に入れ替わるようにキャラバンが戻ってくる。  スカスカの倉庫が半分近く埋まるほどの荷物を持って。「おかえり」「なにか変わったことはなかったか?」「だいたい想像つくでしょ?」 ジョーは僕の返答に豪快に笑ってみせる。「確かにな。道中で四人の旅人とすれ違った」「この村に来た四人だよ」「やっぱりな……で? なんの用だった」 僕はジョーを彼の邸宅に促して情報交換をすることにした。  こちらからの情報はもちろん旅人の件だ。  事故についても報告をする。  ジョーは「……なるほど」 とだけ感想を呟いて、自分の方の情報を提供してきた。  個別案件でその都度検討して無駄に時間が潰れるのを嫌ったんだろう。  キャラバンがもたらしたのは牧畜のジップ六頭とクッカー十二羽、ホルス三頭。  長弓二丁に短弓五丁。  他に村ではまだ生産できない日用品や材料などだ。  あ・そうそう、村人として新たに六人連れてきた。  これで村の総人口が三十二人になった。  キャラバンの構成員も含めると五十人を超える。  これだけいれば、盗賊だってちょっとやそっとじゃ手を出せない規模だ。  新しい村人には技能持ちが多い。  一人は主に木工の職人で車輪が作れるらしい。  車輪が作れれば色々と便利になる。  一人は皮革の職人。  ジャリが鞣しをしていたんだけど、その都度鍛治を中断していたからこれで鍛治に専念できる。  それから牧畜の専門家というおじいさんとその奥さん。 たぶん今回仕入れた牧畜はこの人のものだな。  あと二人、弓を作る弓師と矢を作る矢師だ。「王国の情勢は小康状態だな。領主間で小競り合いはあっても争いが大きくなるところまではいってない」「本格的な軍事行動をとるとすれ
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預言者は詐欺師のように-後篇-

「ジョーは一日にどれくらい食べる?」「なんだよ、藪から棒に」「まぁ、とりあえず想像してよ。それを単純に途中調達なしにこの村から一番近い村までの往復分と現地滞在、そうだな……一週間分用意するとしたらどれくらいの量になると思う?」「結構な量だな」「それを人数分用意すると……」「俺のキャラバンは今二十三人だからこれを基準に考えると……やばいな、荷車一台じゃ足りないぞ」「結構な量だろ? 攻める側はそれだけ用意しなきゃならないんだよ。動員する兵力だって村人町人だろ? 日本じゃ鎌倉時代くらいまでは侍が自前で用意することになってたらしいけど、戦国時代までには軍の大将が兵糧を用意するようになってる」「おぉ、思い出したぞ。一所懸命・御恩と奉公だな」「それそれ。だから今までは小競り合いですませてたんだよ。小競り合いですんでいたんじゃなくね」「なるほどね。長い間曲がりなりにも国王の元で安寧に過ごしてきた領主たちがこれまでの小競り合いで兵糧の重要性に気づいたとして、この秋の収穫を待たずに行動に移すことはない……か」「そういうこと」「この村はどうだ?」「今の所攻める気はないけど、守るにしたって備蓄量はまだ心許ないかな。だからこそ、野盗は積極的に排除する」「積極的にったってこっちから攻めてはいけないだろ?」「大丈夫、向こうから来るから」「あん?」 僕は持っている情報と、前世の知識からある程度予見できるんだよ。  そう、予見通りキャラバンが村を立った十日ほど後に例の男が一人で村を訪ねてきた。  ほらね、ガーブラたちに予言した通りになったでしょ。  男は「村の雰囲気が気に入った。ここらで腰を落ち着けたいので村に住ませてもらえないか」などとそれらしい理由をつけて村に入ってきた。  いいよ、いいよ。  想定通りに事が進むとニヤけてきちゃうな。  とりあえず、男には他の新しい村人同様、新居の建設と農作業を手伝ってもらうことにした。「オレの他にも新しい村人が入ったんですね」
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釣れますか?

 男は手引き役としてなかなかどうして優秀だった。  時代劇でよくある押し込み強盗がお店に仲間を奉公にあげるあのやり方だ。  だからとてもよく気がつくし、よく働く。  信頼を得るためだけど、僕は騙されないよ。  だって、野盗の一味なの最初から知ってるからね。  でも、騙されたふりはするよ。  こっちが騙す方だからね。  やがて盛夏を過ぎ、収穫の時期に差し掛かる頃には、僕はすっかり彼を信頼(したフリ)をしてなにかと言うと仕事を任せたりする。  もちろん単独行動はさせないよ。  それは村のルールだからね。  本来の村のルールとしては、なにかあったときのためにコンビを組ませているんだけど、彼には監視の都合で誰かを一緒に行動させている。  主にイラードかザイーダだけど、時々わざと事情を知らない村人をつける。  その際はオギンやリリム(主にリリム)に尾行させる。 その日、残すところその男の分だけとなった家の建築資材であるルンカーの集荷に彼だけを使いにやった。  他の村人はフレイラの収穫に総動員させてだ。「悪いね、窯に行けばルンカー職人がいるから彼らとルンカー積んで持ってきて」「判りました、お館様」 と、荷車引いて裏門を出て行く。  ちなみに、今ではすっかり『お館様』が定着していて村人全員が僕をそう呼ぶ。「リリム」「任せて」 門まで見送った僕は、門を閉めながらリリムに尾行をお願いすると、裏門に建てられた三棟目の櫓に登る。  ルンカーの窯までは荷車が通りやすいように踏み固められている。  さすがに舗装はされてないけどね。  そのうち板ルンカーで舗装しようか、なんて考えながら荷車を引く男を眺める。  やがて男は荷車を離れて雑木林の中に入って行く。  そうこなくちゃ。  収穫も始まっているし、そろそろだと思ってたよ。  用水路に何かを流したように見える。  なるほどね、やるじゃない。  フレイラの収穫は村人総出(ルンカーと炭焼きの職人
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嵐の前の静けさ-前篇-

 その日は僕の想定通りに訪れた。  それは誕生日の前日、秋晴れで月明かりの明るい夜だった。  照明器具の発達していない辺境の農村では、月明かりがあったとしても日がくれると程なく村人は寝床につく。  そんな人々が深い眠りについた頃、男は大胆にも寝泊まりしている僕の館を抜け出した。  もちろん、それに気づかない僕じゃない。  と言うか、ここ数日は抜け出しやすいように無防備にしていた。「お館様、動き出しました」 二階の窓から僕の寝室にオギンが入ってくる。「手筈通りにオギンはサビー達に連絡を。ザイーダは?」「お館様のご指示通り、男を尾行しております」 そういえば、誰も男の名前を覚えてないかも。  もちろん自己紹介はしてもらっている。  事情を知らない村人の中には名前を覚えている人がいるだろうけど、僕の意を汲んだメンバーは直接彼の名を呼ばないでいたから少なくとも僕は覚えてなかった。  さて、ここからの僕は村長というより隊長だ。  総人口三十三人のうち、この件で情報を共有しているのは、僕を含めてサビー、イラード、ガーブラ、ザイーダとオギンの六人だ。  これだけではさすがに野盗に対抗するのは難しい。  それが判っていてなぜ村人に話していないかといえば、村に野盗の仲間が一人入り込んでいたからに他ならない。  ただ、西の山での定期的な戦闘訓練はしていたし、クレタとカルホに回覧板を持たせて戸別訪問で野盗の襲撃に対する心構えを説いて回っていた。  ちなみに回覧板制度は僕が前世から持ち込んだ連絡手段だ。  まだ識字率が低いので今はクレタが口頭で説明をして回覧板に確認のサインをしてもらうだけなんだけど。  余談だけど、回覧板はお祭りの連絡など、村の行事報告にも利用している。  さて、それほど時間はない。  僕はジャリに作らせた額部分に鉄のプレートを縫い付けた革製の鉢金を巻き、木刀のような鉄剣を腰に佩き、長弓を小脇に抱えて箙を肩に掛ける。  鉄剣に刃はない。  ジャリの鍛冶技術で
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嵐の前の静けさ-中篇-

 この一年、木刀を振り続けてきたけど、まだまだ前世の感覚が戻ってこない。  現世の体のせいなのか、ブランクのせいなのか。  ともかく、僕は支度を整えて月明かりの下に飛び出す。  行き先は正面門。  途中でザイーダと出会う。  彼女が戻ってきたということは村の外へ出たということだ。  事前にそう指示を出している。「お館様の予想通り、男は村の外へ出て行きました」 予想というか、男が連絡用に用水路に流した「手紙」をリリムに確認してもらっていたからね。  押し込み強盗働こうと思っているんなら、迎えに行くより引き込んだ方が能率上がるのにね。  ここら辺は文化水準・知的水準の低さなんかな?  こっちとしてはありがたいけどね。  ザイーダと別れて門に着くと、すでに東の櫓にサビーが登っている。  さすがに場慣れしているわ。  役割分担としてはサビーがいち早く正面門の櫓に登って警戒を、イラードとガーブラが中央通り沿いの家々を巡って戦闘準備を促すことになっていた。  それ以外の家は連絡を受けた家の住人が学校の連絡網のように次々と連絡に走ることになっている。  ほどなくみんなが所定の持ち場に着くだろう。  西の櫓に登ると、糸電話でサビーに連絡を取る。「状況は?」「まだ音も気配もありません」 かなり遠いところで合流する手はずになっていたようだ。  村に手練れの戦士が何人かいることはすでに知られている。  櫓は昼の見張りにしか使われていない。  というか、意図的に夜の監視に使ってこなかった。  まず一つに夜の監視は遠くが見通せないのでほとんど意味がないから。  夜警の人員を配する余裕がないのも理由だ。  外で暖をとったり篝火を焚く余裕もないしね。  でも最も意識したのは、男に夜の警戒はしていないと思わせるためだった。  こんなに図に当たるとは思わなかったけどね。
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嵐の前の静けさ-後篇-

「明るい月夜だし、近づいたら判るかね?」「どうでしょう。暗闇の中なら松明でも持って近づいてくれたかもしれませんがね」 あー、そっちの方がありがたかったな。「お館様」「何?」「野盗の規模、どれくらいを想定してるんですか?」 お、おぅ……想定してなかった。「村の規模より大きいとは思ってない……かな?」 確か、あの日の野盗は十人ほどだった。  今回、サビーたちがいることを判ってなお村を襲おうと思っているんだから十人規模だろうなんて思っていない。 …………。 てことは、前回の野盗とは違う野盗ってことかな?「確かに三十人規模の野盗がこんな辺境の村なんて襲いませんね」 その発言はちょっと傷付くなぁ。  いや、ありがたいことなんだけどさ。「さて、そろそろ集中しましょうか」 サビーはそう言って通話を切り上げ、月明かりに照らされた道の先に視線を向ける。  僕は村に視線を向ける。  村の中はなんとなく緊張した気配がする。  櫓の足元にはイラードとガーブラが到着していたので、一旦降りることにした。「お館様」「準備完了?」「さあ、それは判りませんね」 む、そりゃそうか、進行状況を確認する伝令係が必要だな。  すっかり抜けていた。  反省反省。「じゃあ、手はずどおりに」 二人は頷いて門の両脇に陣取る。  野盗の目的は略奪だ。  無理して戦士と戦うとは思えない。  ……とまぁ、僕の想定が当を得ていれば、この作戦は図に当たる。  目論見どおり完勝できるかどうかはその一点にかかっている。  櫓を昇り直すと、サビーの様子が緊張しているのが見て取れた。  姿勢を低くして隠れているようにも見える。  同じ姿勢になって道の先に目をこらすと、粛々と近づく一団が月明かりにさらされていた。  ざっと数えて十九人。  かなりの規模だ。
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ジャン、合図を送る

 何も知らない野盗は男の先導で正面門から入ってくる。  準備の整った村はしんと静まり返っているので寝静まっているものとたかをくくっているのか、辺りに気を配るような慎重さに欠けている。  さすが野盗だ。  いいぞいいぞ、その調子だ。  十九人のうち二人が出入り口となる門を見張る役のようだ。  ふむ、さすがにそこまで抜けちゃいないか。  でも、これは想定内だ。  いや、むしろこちら側にとって好都合というものだ。  僕は櫓の中で合図用の小石を手に取り、奥へと進む野盗たちとの距離を測る。  なにせ相手は荒くれた十九人の男たちだ。  近すぎると四対十九と圧倒的に不利になる。  遠すぎると村の主戦力三人を欠いた迎撃隊が不利になりかねない。  もちろん、ただの村人でも野盗に対抗するための戦術は用意している。  けど、肚の据わった野盗相手に善良な村人が命懸けの戦いで気合い負けしないとも限らない。  できれば敵戦力を二分したい。  五十シャルを少し超えたくらいが狙い目だ。  それ以上だとちょっと僕の技量が怪しくなる。  十分に見極めた(つもりの)僕は、手にした小石を隣の櫓に投げつける。  コツンと板に当たる音がして、小石が地面に落ちていく。  同時に櫓の上から僕らは身を乗り出して弓をキリキリと引きしぼる。  チラリと下を見ると呆けた顔で見上げる野盗の二人とそれを今まさに斬り伏せようとする二人の姿。  僕は結果を確認しないで野盗団の中央あたりに撃ち下ろすように矢を射込む。  この距離なら僕だって当てることくらいはできる。  狩猟で鍛えているし、神様の恩恵とやらで人より少し優秀らしいから。  ただ、この距離では急所にでも当てなければ生き物は簡単に絶命はしない。  僕は立て続けに射た三矢中二矢が命中し、その間にサビーは四矢すべてを命中させいてた。  くそがっ!  全然優秀になってないじゃないじゃないか、神様! 
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村長の軍略、図に当たる

 足下では断末魔が二つ。  野盗団はそこで自分たちがはめられたことに気づく。  頭目だろうか? 大柄な男がこちらを確認して指示を出し、六人がこちらに走ってくる。「サビー、逃げるやつらにあと一、二射!」「了解」 僕は僕でこちらに迫る六人のうち一人を狙い撃ち。  ……といっても狙うのは確実に当てられる胴体部分だ。  同じ男を狙って二射。  どちらも命中はしたけれど、一矢は左の二の腕だ。  その間にサビーは水平射撃で三矢、最後の一矢を天に向かって射かける。  当たったかどうかは判らない。  盗賊団から割かれた男たちをイラードとガーブラが二十シャルほど先で迎撃。  その間に僕とサビーは櫓を降りる。  何がすごいって、僕らが地面に降りるまでイラードが二人、ガーブラが三人を抑えてくれていたことだ。  最後の一人は僕が手負いにしていたので、サビーが先に降りて迎え撃つ。  負傷した野盗に遅れをとるわけもなく、サビーは野盗を斬り伏せると、ガーブラの助勢に向かう。  僕はイラードと戦っているうちの一人に殴りかかる。  上段からの面ってのが本筋なんだろうけど、いろいろ想像しちゃってちょっと躊躇しちゃいまして、決めたのはイラードに斬りかかった右手への小手。  いやぁ、前世での防具に守られた部位を竹刀で打ち付けるあの感覚でいたけど、返ってくる手応えが全然違うのね。  不意打ちを食らって男は剣を落とす。  ……っていうか、折れたでしょ、腕。  うわ、ヤベー。  心臓ドッキドキだよ。  面打たなくて正解だわ。  最初の対人戦でスプラッターはトラウマもんだよ?  いや、前世の記憶があるってだけで、こっちで生まれてこっちで育っているし、二年前には野盗に村を全滅させられているんで悲惨な現場には多少耐性もあるけどさ。  自分がその加害者になること考えたらやっぱりちょっと……ねぇ?  ま・もっともそんなチャンスを見逃すわけもなく、イラードがそいつを斬り殺すわけなんだけど。  そして気づいたら、全
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集団戦闘

 セオリーなら万が一のためにも二人残すべきだ。  でも、村人と野盗の戦力を考えると不安が大きいのもまた事実。  こっちに回されたのはどうせ頭数の方だったんだろう。  数で押せばあるいは……と踏んだ時間稼ぎと見るべきだ。  というか、自分でもたぶんそうする。  村人側に死者が出ていないことを祈りつつ先を急ぐ。  何人かに矢が当たっているので地面に血の跡が続いていて、月明かりを頼りに後を追うのは難しくなかった。  たどり着いた先では四シャッケンの槍を構えた村人が、野盗の一団を囲んで膠着状態にあった。  個人の戦闘力での彼我の差を武器のリーチで補い、槍衾を作ることで閉じ込めることには成功していた。  何人かの野盗に深手を負わせてもいる。  けど、決定打が足りないようだ。  でも、それでいい。  無理をして村人に死なれても困る。  そこら辺の手綱捌きはザイーダがしてくれていたようだ。  野盗の攻撃にはオギンがフォローに入って味方の損害を最小限になるように頼んでいた。  二人ともよくやってくれている。  男尊女卑の傾向がある文化水準で二人の指示に従ってくれている村人たちも偉いぞ。「五人組に編成!」 駆けつけて最初に発した命令だ。  今回戦闘に参加したのは十五人。  五人一組で三組ができる。  それにイラードとガーブラ、僕とオギン、ザイーダの二組を合わせて五組が出来上がる。「各個撃破っ!」 命令一下五組が動き出す。  一般村人組はオギン、ザイーダの指示する相手に攻撃する。  二人が一連の攻防で野盗の序列みたいなものを把握して出した指示だ、僕がどうこう口を挟む必要がない。  そして、イラードとガーブラは野盗の頭目とみられる男に向かう。  こっちは僕でも誰が頭目か判るぞ。  あのダミ声で指示を出している大柄な男だ。  頭目を討たれるわけにいかないと二人がイラードたちの前に立ちはだかる。  僕らのところに三人がやっすい威嚇をしながらやってくる。  あ
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