Todos os capítulos de 僕だってチートがあれば苦労なんてしていない : Capítulo 231 - Capítulo 240

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戦いすんで捕虜が残った

 さて、何から話せばいいだろう。  結果から言えば僕らは戦に勝った。  順を追って説明するとまず、オギンとサビーが首尾よくジョー隊に出会い作戦を伝達。  そこで魔法効力が切れて行動不能に。  二人の代わりにカーゲマンら三人を選抜して兵糧焼討ち隊を結成して送り出したジョーは、街道に出て敵本陣を背後から急襲する作戦を敢行。  折りよくというか、防御柵を焼いたズラカルト軍は好機とみて一気可成に僕らめがけて騎兵を吐き出していたため、手薄な本陣を蹂躙。  背後から合戦の音が聞こえてきて動揺した騎兵の気配を直感的に察した僕が、全軍に反転攻勢を命じたことで攻守逆転、戦線を支え切れなくなったズラカルト軍が潰走したというのがことの顛末だ。  そして、戦後処理だ。  三日目の敵軍戦死者は騎兵二、剣兵七、弓兵一。  捕虜は騎兵二、正規剣兵六、傭兵二、正規弓兵四、傭兵六。  味方の死者は九人に及んだ。  地味に痛い。  そうそう、ホルスを全部で七頭手に入れた。  こっちは大収穫と言っていいかな?  数字の話が続いてアレなんだけど、今回のズラカルト軍総数百五十(騎兵二十、弓兵五十、剣兵八十)に対して戦死三十五、捕虜三十四。  この世界の戦争が一般的にどんなもんだか判んないけど、戦死者だけで全兵力の四分の一ってもう大惨敗としか言いようがないだろ、これ。  こっちとしては大勝利だけどな。  確か事前情報ではズラカルト男爵の現有戦力三百人って話だったから、これだけ打撃を与えられればしばらく来ることもないだろう。  ひとまず当面の危機は脱したと言っていい。「さて……」 僕は騎士の捕虜二人を前に座っている。
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古兵と御曹司

 ここは僕の館だ。  僕の右側にはジョーが、左にはルビンスが立っている。  ルビンスが心持ち苦虫を噛み締めるような表情をしているのが慮られる。  それもそのはず、捕虜の二人というのがルビンスの父ルビレルとその主筋にあたるオルバックJr.だからだ。  こりゃもう、ボンクラジュニアを助けるために奮戦して一緒に囚われたとしか思えない。  余談だけど、以前ルビンスと一緒に捕虜になったあと、ルビレルに使者として送り出した従者が今回もルビレルの従者として捕まっている。  ついてないねぇ。「騎士は捕虜として丁重に扱うことになっているのだけど、どうしたもんかね?」 事前にジョーとは打ち合わせをしてのぞんでいるわけだけど、ホント、どうしたもんかね?「お館様のご随意に」 ったく、ジョーってばさ。  ちょっと意趣返ししないとダメだろ、これは。「我が館には客間が四部屋あるので三人なら留め置くことは造作ないが、ここは領主の館であるから客人が来た折の部屋がないと困る。こちらの御曹司はジョーの家に預けよう」「え……ふむ、そうか。うむ、仕方ない……のか?」 へっへっへ、ちょっと溜飲が下がった。「いずれ代官殿から使者がこようから、せいぜい身代金を踏んだくってやろうじゃないか」 と、うそぶいて見せたらジュニアってばキっとまなじりあげて僕を睨みつけてくる。  あー、やっぱダメだなこいつ。  さすがにわめいちゃうほど教養なしじゃないようだけど、自分の立場を判ってない。  態度ってのは心証に大きく関わってくるから、その後の待遇が随分と変わるんだけどねぇ。  ルビンスからこいつの代わりになる後継がいないって聞いたから、オルバック家の未来は決定したようなもんだ。「じゃあ、よろしく頼むよ」 と、ジョーにさっさと引き取ってもらうことにした。  ジュニアがいなくなったあと、改めてルビレルと向き合う。「お久しぶりです」 と、言っておこう。  ル
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悲しいけどこれ戦争なのよね

「オギン」「ここに」 ヌッと現れる様がいよいよかげろうのお銀然としてきたな。「念のため見張っていてくれ」「かしこまりました」 武器を取り上げているとは言え、ちょっと無用心かな?  でもまぁジュニアと違って大人しくしていてくれると僕は信じているよ。 館を出て中央広場に移動する。  そろそろ空が茜色に染まり始めている。  冬の日はつるべ落とし……いや、これは秋の季語か。  とにかくだ、昼の短い季節だし、火が落ちると一気に寒くなるし、とっととこっちも済ませなきゃな。  この町には現在、住宅が不足している。  冬になって流入人口が減少したことで、住宅不足は解消しつつあったわけだけど、捕虜が一気に四十人近くも増えたとあっては住宅建築も追いつかない。  特に今日だけで二十五人も増えたのが痛いんだ。「どうだった?」 敵野営陣に向かわせていたカシオペアメンバーが戻っていたので訊ねると「なんとか使えそうだ」 との返答だったので、今日は見張りを立てて、騎士以外の捕虜は野営地に送ることにした。  見張りはこちらのカイジョー以下、元傭兵の八人とサビー、ガーブラの総勢十人。  武器を取り上げて拘束した捕虜ならこの人数で大丈夫だろう。  町の守備が手薄になるけど、もう襲われるような事態にはならないだろうしね。  捕虜の護送と入れ違いに町の戦死者の埋葬を終えたグループが墓地から戻ってきたので、丁重にねぎらう。  一番きつい仕事を割り振っちまったからさ。  これにはルダーが率先して関わってくれた。  前世が戦中派の彼は、戦争を知らない団塊ジュニアの前世持ちである僕とは肚の括り方が違う。  それにしても……九人は多い。  働き盛りの労働者でもある彼らを失うのは経済的損失だし、避けられない犠牲でありある程度の覚悟はあったとしても、遺族の胸中は複雑だろう。  僕に対してわだかまりを持つものが出てきても詮ないことだ。  何より僕自身が見知った人の死に大きな精神的ダメ
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調印式で気になった

 春になった。  村が僕を残して全滅してから四年目の春、僕は十八になっている。  ズラカルト男爵軍との衝突では結構な被害が出たけれど、人的被害以外はだいたい回復した。  町の中に軍を入れなかったのが功を奏したのは間違いない。  雪解けと共にかねてから計画していた宿場町建設団を派遣。  キャラバンは行商に旅立った。  今僕は隣村に来ている。  こちらも戦前の約定によって僕の傘下に入ることを正式に承認するためのものだ。  村長を町に呼びつけてもよかったんだけど、こちらから出向くことで今後の為政を少しでも有利にしたい思惑があったからね。  使節団は僕を筆頭にサビー、イラード、ルダー、オギンの四人。  僕を領主として認めるという文言を確認して、皮紙に署名捺印を取り交わす。  これで晴れて僕は正式に二ヶ村の領主だ。  建設中の宿場町が完成すれば四ヶ村の領主になる。  村長と握手を交わして調印式が終われば昼食会だ。  村からは村長とその息子夫婦、孫のケイロが参加した。 …………。(何か不服そうね) リリムが声に出さずに訊いてくる。  この場には前世持ちのルダーがいるから、そういう配慮をしたのだろう。(うん、村長の親族しかいないのがね)(何か問題?)(大いに問題だね。この村にはこれまでに二回来ているけど、交渉の場に村長以外の人が立ち会ったのは初回のケイロだけ。あれも食事の席でこちらから切り出したんでたまたま同席していただけって気がするんだ)(そう言えば前回来たときも息子さんたちを用事に出してから交渉を始めてたわね)(村長には早々に交代していただこう) とはいうものの、じゃあ誰に交代するかと言えば悩ましい。  町から選ぶのは下の下策だ。  村長だけでなく村人全員を敵に回すことになりかねない。  かといってこの村の誰かで村長の代わりが務まるのかと考えると誰もいないのが現状だ。  自分の見たところケイロが村で一番賢いけど、さすがに未成年のケイロに村の経
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知識欲

 村には代官屋敷が建っていた。  前回来たときに要望を出したものだ。  僕らが来たときに泊まる用の家で、ジャスを棟梁に町側の資材で建築したルンカー造りの二階建てだ。  ぶっちゃけ農業指導を表向きの名目に代官としてルダー一家を常駐させることになっている。  僕らは明日には帰るけど、ルダーとイラードにはそのまま残ってもらう。  イラードにはしばらくルダーの護衛兼村の問題点の洗い出しをしてもらう予定だ。  会食後、早々にケイロに案内されてその代官屋敷に引き上げる。 …………。    どうもケイロが挙動不審なので帰るのを引き止めて世間話に付き合わせることにした。  賢いといってもまだまだ未成年の村人1。  会話の中でカマをかけるとわりと判りやすく動揺したり喋ったりしてくれたので「ちょろいな」と、思ったのはここだけの秘密だ。  要約すると、村長のスパイをさせられているってところだった。  はい、早速始まりましたね。  肚の探り合いは、政治のイロハってことでしょうか。  でも、あからさますぎて減点です。  まぁ、田舎の村の大将じゃここらが相場ってとこなのかな?  まだ若いと僕を侮っているんでしょう。  お貴族様じゃないから対等に、できれば年の功で立場を乗っ取ろうとか考えているかもしれないな。  そうさね、これを逆手に村長追い落とし作戦でも計画しよう。「ケイロ」「はい」「戦やらなんやらでうやむやになっていた読み書き算盤の稽古、再開しないか?」「いいんですか?」 目をキラッキラと輝かせているケイロにとびっきりの笑顔で応対する。「当然じゃないか」 ちょっと芝居くさかったかな?「僕らは明日、帰ることになるけど、一緒においで」「お願いします!」 ちょろい。  いや、しかしこれはいつの時代も人は知識に飢えているってことかもしれない。  時代どころか時を超え、次元を超えても普遍ってことなのかも。  前世でも
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本拠地について思うこと

 翌日、ホルスを二頭残して帰路につく。  馬に乗るのが初めてというケイロはサビーの馬に乗せる。  馬に揺られながら(最奥の地が本拠地ってのは不便だなぁ) なんて思い始めるあたり、僕に領土的野心でも芽生え始めたんだろうか?  いや、僕の目的が多少変更になったということなんだろう。  究極的には生きること、生き続けることであることに変わりはない。  村を焼かれ、天涯孤独になった僕に仲間ができ、リーダーを任され、王国の果ての小さな村は町になった。  山奥の町では戦略的に生き残れない。  だからもっと有利な土地に移動する。  そういうことだ。  戦のたびに本拠地を出て勝っても負けても戻ってくるなんて非合理的だ。  でも、そんな非合理がどれだけ精神衛生に寄与するのかも理解してる。  武田信玄は山奥の居城に居続けたために天下を望む時期を逸したなんて言われている(もっとも、地政学的に本領移動は難しかったはずだ)。 織田信長は自分の戦略に合わせて無理やり居城を移動しただけでなく、家臣から本領を取り上げて別の領土をあてがった(結果、不満を募らせた家臣からたびたび謀反を起こされたともいわれている)。 足利尊氏は、自分の行いのせいで(というか、決断できない優柔不断さが家臣の暴走を招いて)鎌倉に戻りたくても京都に居続けざるを得なくなった。  転居は一長一短あるよね。  転勤はストレスだからなぁ……。  けど、必要だよなぁ……。  移動するとすればどこに?  ああ、現世の土地勘が全くないや。 いや、前世だって生まれ故郷と東京近郊以外に特に土地勘があるわけじゃないか。  いやいや、生まれ故郷北海道は結構広いぞ。(そんなことはどうでもいいと思うの) あー、そうだね。
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僕の代わりはいませんか?

 裏の畑の秋蒔きフレイラの収穫と春の種蒔きが終わる頃には村の人口が百七十人を超えてしまった。 その間、どころかそろそろ夏というこの時期まで僕は内政に忙殺されて村から出られなかった。  目下喫緊の課題は僕の代わりに町の行政を担える人材探しだ。  本来内政を補助していたイラードは隣村に出向中で、イラードに代わる人材がいなかったというのが痛い。  いや、まったくいないわけじゃない。  むしろ最適な人材がいたにはいたんだけど、とても重大な点で任すことができないのが問題だった。  ルビレルかルビンスに任せられるんならどんだけ楽になるか……。 しかし、この案に強硬に反対する勢力がいて二人に打診することもできないでいる。  はい、反お館派の面々です。  彼ら曰く『寝返ったばかりの奴に町を任せられるか』 感情的な発言だけど、ごもっともと言わざるを得ない。  まぁ、おんなじ意味で彼らに任せる気にもならないんだけどね。  ギランなんかに任そうもんなら、正に獅子身中の虫ってやつだ。  大人の事情で反お館派をひとまとめにしただけとはいえ、一つの部隊を任せているのだってどうかと言われているくらいなのに。  反お館派は味方の戦死者九人中七人と戦死者を多く出したことで、勢力自体は小さくなったんだけどそのせいでより強硬な態度を取り、対立を深めている。  戦死者遺族には褒賞と税制優遇措置を施しているんだけどなぁ。 そうそう、オルバックJr.はつい先日、多額の身代金と引き換えに国元へお引き取り願う算段がついたところだ。  十日もすれば身代金が到着する予定なのでようやく厄介払いができる。  身代金のほかにルビレルの奥方も要求したのだけれど、こちらは断られた。  ルビレルは武人の習いと言っているけれど、寂しそうだ。 話がそれた。 人口の話。  先の戦で捕虜にした三十四人中まだ人質として残っているジュニアと僕の臣下となってくれたルビレルの他にこの街に残ることになったのが二十六
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増えすぎた人口と街道の整備

 同時に元傭兵組と戦士団を屯田兵的に街道整備に派遣する。  道幅を拡幅して整地、行き来をより快適にできるようにするためだ。  街道整備には労役として隣村の人手を駆り出す。  租庸調の庸である。  隣村を支配下に置く際に取り決めた徴税法を利用する取り組みだ。  人数を決めて一ヶ月労働奉仕させる賦役を早速利用したわけだ。  隣村の人口は約三十人、女子供も分け隔てなく賦役に就くことで、この秋の年貢を当初の七割徴収から五割五分に減らせる。  しかも飯付き宿付きと至れり尽くせりに見えるんで、実際にはズラカルト家同等の徴税率なのに得した気分になるという仕組み。 ま、実際一月分飯代が浮くんだから、村人にとっては冬の備蓄に余裕が出て生活が楽になると思うんだ。  本当は畑仕事がなくなる冬場に駆り出したいところなんだけど、今年はそうはいかなくて今時期になっている。  労働奉仕させなきゃ年貢に七割取り上げることになっちゃうからね。  さすがにそこまで鬼じゃない。 もちろん、町の住人にも賦役はある。  こっちは村からの復興に駆り出されていた去年までと特に違いはなく、シームレスに移行できた。 推進している貨幣経済が浸透してきたのでお金での徴税や物納も視野に入ってきた。  もっともいくら納めさせればいいかが判断つかないんで、今年は無理かな。  相変わらず流入人口の増加に町の住宅供給が追いつかなくて、新規に流入してきた人たちには集合住宅を建てるまでの間、街道整備の労役に出てもらっている。 腹の中ではどう思っているか判らないけど、表面上は納得して従ってくれていた。  副次的効果で街道整備は計画を上回る進捗状況だ。  しかし、町の規模からいってキャパオーバーなんだよね、すでに。  イラードにはできるだけ早く村に移民できるようにしろと催促しているんだけど、簡単じゃないよねー。 僕はルビレル親子と地図を広げて腕を組む。  正確なものじゃないけどね。  ズラカルト男爵領オグマリー区十
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名前をつける気は…

「奥の村の先に第五中の村がありますので、ここを抑えるのは確定として、その先どこから攻めましょうか?」 ルビレルが地図を指差しながらいう。  奥の村だの第五中の村だのちゃんとした名付けはされてないのかよ。  第五中の村ってのも正式な名前じゃなくて、代官であるオルバック家が便宜上そう呼んでいたってんだから、なんだかなぁ……だよ。  十三ヶ村を先の村六ヶ村、中の村五ヶ村と奥の村、そして僕の生まれ故郷は果ての村って呼んでたってんだから泣けてくる。「僕自身が視察に行きたいんだけどねぇ……」 町を長い間留守にするには留守居役が必要で、その留守居役、つまり僕の代行者が務まる人がいないのがネックなんだよなぁ……。「ルビレル、この町の代官やってくんない?」「ワシには務まりませんよ」 実務能力的には絶対務まるよね。  むしろ僕より務まる気がするんだ。  やっぱり懸念は新参で騎士ってことかなぁ。  諸々反発は予想されるよ、確かに。「けど、ルビレル以上の適任者はいないと思うんだ」 実際、日が浅いにも関わらず町人の受けはいい。  むしろ息子のルビンスより馴染んでいる。  亀の甲より年の功ってやつかもしれない。「いやいや……」「じゃあ、お飾りで誰かを代官に任命するから、そいつの補佐ってことで」「補佐……ですか?」 お!?  口から出まかせ、瓢箪から駒だな。  もっとも、この世界にひょうたんがあるかどうかは知らないけどね。  もう一押しだ。  担ぐのにちょうど良さげな軽い神輿を選べれば、なんとかなりそうだぞ。  パッと思いつくのはサビーとかガーブラ?  政治向きの仕事させてなかったからルビンスを補佐に据えたら、実質的な傀儡だってすぐバレちゃうか。  オギンもザイーダも僕が手足として使いたいからダメだ。  カーゲはジョーの執事だからちょっと立場的にどうかな?  あ! いた。  ロット
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町長代行

 ロットに僕の代行を押し付けて五日ほど様子を見た。  もちろんルビレルをその補佐につけて。  僕もオブザーバーとしてアドバイスはしたけど、最終決断は彼に任せた。  その結果、多少決断が遅いきらいはあったけど、町の運営に支障が出るようなことはなさそうだとの結論に至った。  六日目、僕は二人に町の運営方針を指示して、完全に後を任せることにする。  七日目、町の諜報にザイーダを残して、ホルスの世話をしているチローに良さげなホルスを三頭選んでもらってルビンスとオギンを供に旅立つ。「嫁探しもお願いしますね」 と、笑いながらいうサビーと、なぜか寂しそうなクレタが見送りに出てくれた。  嫁取りねぇ……。  旅の支度はオギンに任せ、僕はいくつかの魔法の道具と冬の間試作を重ねてきた紙を背負う。  魔法の道具といえば冬の間、ラバナルと弟子のチャールズにいくつかの新しい魔道具を開発してもらった。  改良型の飛行手紙は僕の館宛ではなく特定個人に届くようにしてもらったもので、当面は僕に届くようにしてもらっている。  というか、ようやく僕個人に送れるようになったというか、他の人ではテストしていないというか、なかなか複雑な魔法陣のようだ。  ともあれこれで僕がどこにいても政治的判断を僕に仰ぐことができるようになったわけだ。  従来型も僕の館以外にルダーの代官屋敷宛の飛行手紙も作ってもらった。  これで町と村は有事の際にすみやかに連携ができるようになる。  本当は電話を開通したいところなんだけど、あれは魔力が必要なんで村側に使える人材がいないんだよね。  その飛行手紙は僕が二十枚を背負い袋に背負っている。  村についたらルダーに渡す予定だ。  そして結界の寝袋。  寝袋に入ることを発動条件に攻撃意思、敵意を持った相手が十五シャル以内に入ると知らせてくれるという優れものだ。  残念ながら込められる魔力量の関係から三泊分の効力しかないのが欠点だ。
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