All Chapters of 僕だってチートがあれば苦労なんてしていない : Chapter 211 - Chapter 220

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お館様は忙しい(主に頭脳労働で)

「クレタには、しばらくルビンスの身の回りの世話を頼みたい」「命令なら仕方ないけど、世話を始めたら他の仕事はできなくなるよ」 判ってる。  でも、他に適任者がいない。「他の仕事の方を割り振る。頼むよ」「判った」「早速今日からよろしく」「今日から? 今から?」「できれば今から」「…………準備があるから二時間後でいい?」「二時間か、仕方ないな。じゃあ、先にザイーダを呼んできてくれ」「判った」 と、クレタはとっとと出ていく。「人材不足でございますな、お館様?」 芝居がかってんね、ルダー。「ホントさ」「俺も帰っていいか?」「まだダメ」「何かあるのか?」「うん、切り拓いた土地に少々仕掛けを……」「面白そうだな」 僕は、ザイーダが来るまでルダーと仕掛けについて話し合う。「お呼びでしょうか? お館様」「ふむ、クレタが来るまでルビンスを見張っていてくれ」「お出かけですか?」「うん、聞かせられない話があってね」「かしこまりました。いってらっしゃいませ」 僕は、ザイーダ一人と捕虜二人を残して館を出る。  まずはルビンスの従者一人を解放する。  と言うか、羊皮紙に手紙を認め、ホルスを一頭与えて使者にした。  宛先はルビレル。  次に冬ごもりに入るキャラバンからヤッチシとブロー、ノーシを借りて、去年のオギンの役割を頼む。「俺が黄門様やってやろうか?」 と、ジョーが言ったけど、遠慮してもらう。  で、オギンに使者として隣村に行ってもらう。  そんでもって帰りに村長の孫の少年ケイロを連れてきてもらうことにした。「ケイロくんか、いい人選だ」 あ、ジョーもそう思う?  なかなか見どころのある少年だよね。
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理想は語ってこそ、実現への努力をしてこそ崇高

 町の畑で戦闘してから十五日、あたり一面 に雪が積もって本格的な冬が来た。  今日はルビンスと町を視察している。  どんな心境の変化があったのかは知らないけど、町を見て回りたいと言われたので僕が直々に案内することにしたわけだ。  さすがにお人好しの僕だって「どうぞご勝手に」とはやれない。  見せたくない部分だってあるしね。  厳選した視察ルートは以下の通り。  まずは町の名産として名が売れているらしいダリプ酒の醸造蔵。  試験的に寝かせている昨年の樽から試飲してみる。  やっぱり味が落ちてる。  長期熟成にはもう少し試行が必要なのかな?  そんなダリプ酒なのにルビンスはうまそうに飲み干した。「イケる口?」「ん? うむ、我々程度ではいい酒はなかなか飲めなくてな。ダリプ酒など、主人の晩餐会のおこぼれくらいしか機会がない」 泣ける。  いや、これはイケるぞ。 今年のダリプ酒はまだできてないので飲ませてあげられないけど、もう一つの方なら……。 僕は、この後予定していた中央広場に出ている市に行く前に焼酎蒸留所へ行く先を変更した。  ここでは現在、フレイラ焼酎の蒸留が行われていた。  ポモイトとマルルンは仕込み時期が遅かったので、まだ醸造中だ。  蒸留原酒に、絞ったダリプ果汁と水を足す。「こ、これは……」「うまい酒だろ? 町の次期主力商品だ」 ルビンスは何も言わずにカップを見つめている。「この酒は蒸留酒だから長期保存ができるんだ。こんな酒がどこでも飲めるようになったらいいと思わない?」「思う。思うが、これは貴族の酒だ」「貴族だけのものにはしたくないんだ。酒くらい飲みたいときに誰でも飲める世の中がいいべや」「酒くらい……か」 この世界……いや、前世世界でも貧富の差は厳然として存在していた。  現状それを解消するのは不可能に近い。  でも、だからこそか?  せめて誰もが食うことだけは困らない世の
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田舎に貨幣を持ち込むために

 そして、中央広場の市に出向く。  ここには屋台が並んでいる。  貨幣経済導入のための市だ。  自分の得意なことで銭を稼ぐ。  この王国は農本主義だ。 封建領主は領土からの収穫物を税として納めさせ、それをもって領土経営にあたる。  農民に残される収穫物は、翌年畑に撒く種と自分たちが食べる分だけ。  必要な道具などは自分たちで作る。  百姓と呼ばれる所以だ。  でも、人には得手不得手がある。  得意な人に任せる方が能率もいいしクオリティも上がる。  自分のやりたいことに時間を使える方が町全体としても利益になる。  ところが物々交換では価値の等価が担保できない。  そこで価値の基準となる貨幣の出番だ。  この国にはもともと貨幣が存在している。  ここは僻地で十分利用されていなかっただけ。  利用価値を判ってもらうためにも市は重要な存在なのだ。 貨幣経済が確立して、みんなが農業以外の仕事につけば(もちろんどこまでも農業労働は領民の義務だけど)、農作物はぶっちゃけ一〇〇%徴税できる。  ま、実際は一〇〇%なんて不可能だけどね。「まるで異国のようだ」 と、ルビンスがいう。 なるほど、この町以外この世界を知らない僕が企画した市は、前世のイメージに強く影響されているのだろう。  それも悪くない。  だって、その方が心地いいんだから。「しかし、民の表情がみな生き生きしているようだ」「こんなもんじゃないのか?」「いいや。ワタシの知っている民は、たえず誰かの目を意識して伏し目がちだった」 あー、お貴族様のせいだな、そりゃ。 その一員であるルビンスには、そういう側面しか見られなかったってことなんだろう。 ルビンスは、日が暮れるまで広場の市を見つめていた。  寒いってば。 見かねたロットが焚き火を提供してくれたけど、そんなんじゃ足りないくらい寒かった。 むむむ……冬の市の開催はちょ
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情報は最大の武器である

 その後の一ヶ月は、そりゃあもう忙しかったですよ。  いろいろ準備もしましたさ。  軍の編成とか土木作業とか。  他にもいろいろやりました。  その間、ヤッチシからの飛行手紙が二度送られてきてた(ちなみに、ヤッチシには十枚の飛行手紙を預けている)。  最初の手紙には軍の規模と出陣の日時が書かれていた。  それによると今回の軍は騎兵二十騎、弓兵五十、剣兵八十。  そして、魔法使いが一名同行しているそうだ。  あ、今回も槍兵がいないな。  こちらは、傭兵出身以外の白兵は全員槍兵に兵装を変えている。  やっぱ、白兵戦は槍最強でしょ。  軍は三隊に分かれていて敵の総大将はバコード。  ズラカルト男爵家で代々軍を束ねる名門の当代当主だそうだ。  とはいえ、男爵領では少なくともこの五十年、戦と言える争いは起きていないってんだからどれほどの指揮をするかは未知数だ。  僕が知っているのは彼がまだ若い頃、ハッシュシ王国との国境紛争に従軍し、勲章をもらったという逸話だけ。  まったく参考にならない。  副将はサバジュとオルバック。  あらあら、ジュニア(苦笑)  もちろんジュニアも従軍しているし、今回はルビレルもいるらしい。  厳しい戦いを強いられるのは覚悟の前だ。  でも、こちらだって手をこまぬいて待っているわけじゃないぞ。 軍が隣村を出発したのをケイロが飛行手紙で知らせてくる。  文字を覚えるほどの時間がなかったので、署名と日付が書かれているだけなんだけど、必要十分だ。  便利便利。  やはり情報は最強武器の一つだよね。  飛行手紙の欠点は、今の所僕の屋敷宛にしか届かないことか。  急ぎで開発してもらったんだからこれは仕方ない。  今回は、この時点でラバナルを呼んだ。  戦が始まるまではチャールズの家にこもっているんだそうな。
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飯も戦も準備が七割?

 そうそう、前回の戦でいいことが一つあった。  野宿に使われていた二箇所のスペースが軍の野営に使われたおかげか、  広く拓かれているそうだ。  今回は倍の陣容だってんだから、さらに拓かれているだろう。  春の宿場建設が楽になる。  ズラカルト様様だ。  それもこれもこの戦に勝てなきゃ意味がないんだけどね。  今回は畑の前に高さ十シャルの柵を設け、その前に戦場予定地として奥行き二十五シャル、幅三十シャル木を切り倒している。  さすがに切り株掘り起こす時間はなかったんでそのままなんだけど、騎兵を自由にさせない障害物としても機能しそうなんで結果オーライってやつだ。  切った木は後で美味しく……じゃなかった、薪および炭にする予定です。  さて、さすがに前回無策にも不用意に姿を現した結果先制を許して敗北した轍を踏むようなこともなく(というか、あれは戦経験皆無なジュニアが酷すぎただけだと思う)斥候を二人放ってきた。  こっちは前回と違って畑には兵を出していない。  敵軍は野営の準備を終えて火を熾したようだ。  煙の距離から移動距離一時間くらい先かな?  物見櫓には左右に二人ずつ見張りに、櫓の下には見張りの交代要員および伝令役として八人を配置、念の為カシオペアの五人にホルスを一頭与えて柵の際まで夜営に出す。  寒いのかわいそうなんで薪をガンガン使わせる。  今は割と余ってるんでね。  前回もそうだったけど、緊張でなかなか寝られないね。  特に今回は向こうの戦力の方が多いから、慎重に指揮しないと負けちゃう可能性も高いからなおのこと神経使っちゃうよね。  そんな夜をじりじりと過ごして、日の出を迎えた。  日が出た後は半時間おきに定時連絡をもらうことになっている。  最初の連絡は日の出の報告。  二度目の連絡は特になし。  三度目の連絡で敵陣の煙が大きくなったという報告がきた。  多分飯炊きだ。  腹が減っては戦ができないってよくいうし。  僕は、その報告を受けて出陣を決断。  五度目の報告は中央広場で聞
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長浜城の攻防については土佐物語を読んでね

 ザイーダの投石隊とイラードの弓隊が先陣として門を出ていく。  ここには最初からラバナルが嬉々として参加している。  次がカイジョー隊だ。  ここには先日の戦で投降した傭兵三人が組み込まれている。  その後に反お館派を集めたギラン隊。  僕の周りには騎乗しているサビーとガーブラ。  オギン、チャールズ、ルダー、捕虜のルビンスとその従者、予備兵として老人組がいる。  残りの女性陣はガブリエルに指揮される救護班だ。  救護班を門内に待機させ、最後に僕の隊が布陣に向かう。  すでにこちらの軍の布陣はあらかた終わっている。  柵の後ろに置き盾に隠れた弓隊。  その後ろにカイジョー隊とギラン隊。  今回は左右に並んで布陣させている。  さらにその後ろにザイーダ隊。  今回は高い柵のせいで投石隊が有効に利用できなくなっているんで、戦力ダウンは否めないかと思っているんだけど、退却戦での支援を中心に考えている。  今回、投石兵だった女性のうち選抜試験で特に技量を認められたクレタ他四名が弓隊に配属されている。  イラードは嫌がっていたけど、弓手は一人でも多い方がいい。  そろそろ七度目の定時報告の頃だなと思いはじめた頃、バコード軍が姿を現した。  先陣は盾を構えた兵だ。  多分その後ろに弓兵が並んでいる。「やっぱり、ちゃんとした指揮下にある軍は壮観だね」「他人事みたいに言ってますな」「でも、サビーもそう思わない?」「そりゃ、ゾクゾクきますけどね」「お館様、こちらから攻撃しないのですか?」「不意が打てるなら先制するけど、まずは相手の出方を見ないと」「味方の兵の方が多いならそれも手だろうが、弱い側がそれでどんな利がある?」 と、ルビンスが訊ねてくる。「こちらには前線に魔法使いがいるからね」「理解ができん、判るように説明してもらえないか?」「んーん……おいおい、な。そろそろ始まる」 ジャン
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楽勝が続くと

 最初の一斉射撃でのこちらの人的被害は皆無だった。  とはいえ、あの場所にいると怖いだろうなぁ……。  やっててよかった町の長。  こちらはまだ反撃しない。  そして、二度目の斉射が撃ち上がる。  何度やっても結果は同じだけど。  味方陣営には待機の指示が出ている。  よく守ってくれてます。  第三斉射の後、敵の弓隊が退き、先陣を任されたのだろう騎馬隊が前に出る。  想定通りだ。  サバジュ隊かな?  オルバック隊かな?  その数十二騎。  あ、多分両方だな。  その騎馬隊が走り出す。「突撃ぃ!」 と、微かにだけれども、ここまで聞こえて来る。  その騎馬隊に矢狭間から狙ったイラード弓隊の一斉射が放たれる。  あ・一人落馬した。  その後は間断なく矢が射込まれるもののこちらの弓隊は十人ちょっと。  弾幕というにはまばらに過ぎる。  また一人落馬した。  ただ、弓隊には戦闘狂の魔法使いラバナルがいる。  そして……。  騎馬隊が矢と切り株を避けるために散開した直後、三騎の騎馬が穴に落ちる。  してやったりだよね。  切り株を残していたのは時間のないことももちろんあった。  けど、この「落とし穴」という単純だけど有効な罠をさらに効果的に利用するための仕掛けでもあったんだ。  切り株を避けて走ろうと思うとどうしてもルート選択が限られる。  街道の行き来のために開いている出入り口を目指すわけだから守備側としてはルートがある程度読めるわけだ。罠張り放題じゃないか。  騎馬隊は切り株を避けながらだったこともあり、速度が出ていなかったのだろう。  さっと退却する。  いい判断だ。  闇雲に突っ込んでくれば、もう何騎か落とせただろうに。  騎馬隊が退がるのと入れ替わるように、盾を持った兵が三人一組になって戦場に残った騎士を回収に来る。  もちろんイラード隊が見逃すわけもなく、回収前に穴に落ちた騎士に
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チェスや将棋じゃないんだから

「サビー」「はい」「前線に気を引き締めるように伝令」「どうしたんです? お館様?」 ガーブラがまだ判ってない。「退きあげたのは作戦を練るためだ。敵は作戦を変更してやってくるから気を引き締めてこい」 意図的にちょっと強く命令する。「かしこまりました」 ここで、ガーブラを向かわせないのは気が抜けてるからだ。  気の抜けた人間の指示では気合は入らない。「お館様」「なんだ? オギン」「お館様なら、どう作戦を変更しますか?」 ふむ、作戦会議の時にいくつか出た敵の作戦案。  午前の戦闘は、最も正攻法な戦術だった。  まさに教科書通りのね。  矢の弾幕を張って騎馬で一気に押し通り、最後に歩兵が乱れた敵軍に乱戦を挑む。  教科書すぎて弓隊と騎馬隊が別々に動いてて残念だったけど。  一つはっきりしたのは指揮官に実戦経験が皆無で、正規軍なのに兵の練度が低いこと。  きっと机上でしか戦術を知らないんだ。  どころか、教科書で覚えてるだけ?  僕は、この事実でこの戦の光明を見た。  戦力差は倍ほども違うけど、勝てそうだ。  負けない戦いじゃなくて、勝戦を狙えるぞ。「お館様?」「ああ、すまない。僕なら……いや、相手の立場で考えるべきだな。相手は軍備の拡充を怠ってきた男爵軍だ。矢はそれほど多くないと思う。とすれば主力は歩兵の突撃かな?」 果たして、午後の男爵軍はさっきの半数の弓兵と盾を持った剣兵を率いて、騎兵が一人前に出た。  さて、どっちの隊だ?  矢が射られる。「射て!」 と、微かに聞こえてくる。  人数が少なくなった代わりに間断なく矢が射られる。  剣兵が前進を始める。「突撃!」 動きと命令が逆なのはアレか、花火みたいなもんで、音が遅れてくるからか。  剣兵が突撃で走り出して、何人かが穴に落ちる。  そこにこちらの弓
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梶原景時かよ

 結論から言うと、手ぐすね引いて待ち構えている槍兵の突きを遮二無二突っ込んでくる剣兵があしらえるわけもなく、何人もの敵兵が槍の餌食になった。  ちなみに薬煉は補強のため弓弦などに塗るものだ(大辞林)。  この日の戦闘は、早々に敵軍が退却したので終了だ。  うーん……やっぱり一日じゃ終わらなかった。  カイジョーが弓兵三人と剣兵十二人を見張りに残して戻ってくる。「見張りが十五人でいいのか?」「大丈夫だ。多分今日の夜襲はない。あくまで念のために残しているだけ」「根拠は?」「まず、お貴族様が夜襲なんて発想をしない。次に陣営を立て直す必要がある。最後に……どうせ今晩一晩会議だよ」 へぇ。 さて、今日のこちら側の被害はほぼほぼ皆無と言っていい。  で、あちらさんの被害はイラードの報告によると 死者 騎兵一、剣兵七。  捕虜 正規剣兵六 ほぅ、捕虜はみんな正規兵か。  さすがは傭兵ってことなんかね?「軍議は?」 カイジョーが訊ねてくる。「んーん……何か新しい戦法で来ると思う?」 訊ね返すと、ニヤリと笑ってこう答える。「いや、きっと明日もおんなじだ」「じゃあ、こっちもおんなじだ」「了解だ」 豪快に笑って去っていく。  そんなこんなで一夜明け、二日目も似たような戦闘で午前と午後を繰り返して終わる。 本日の被害もほとんどなし。  相手は騎兵に死者二名、剣兵に十五人。  捕虜は正規剣兵五名、傭兵二名。  戦死した騎兵に関しては回収していくのだけれど、その回収に剣兵が使われ、死者が増える。  怪我は魔法である程度癒せるけれど、死者は流石に蘇らせることはできないそうだ。  今日は晩飯を囲んで軍議が開かれた。  軍議に参加しているのは、僕と各部隊長(カイジョー、イラード、ギラン、ザイーダ、ガブリエル、ルダー)にオギン、サビーとラバ
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作戦会議

「そうとも言えるか……」 あっさりカイジョーが意見をひるがえしたのでギランが泡を食う。  心の内は大体読めるぞ。  今の所カイジョー隊とギラン隊は大活躍だ。  このまま勲功を誇って反お館派の勢力拡大を図ろうってんだろ?  でも、騎士三人を討ち取ったラバナルや、騎士回収の敵兵を散々打ち据えている弓兵だって大したもんだけどね。「じゃあサビー、どんな手段を使ってくると思う?」「え? そうですねぇ……」 なんだよ、考えてないのか?  よし、発言の機会を与えてやろう。「ギランならどうする?」「オレなら邪魔な柵を壊す」「なるほど」 いやいやルダー、そこ感心しない。  当然じゃないか。「具体的には、どうやって? 今日は試しだったかもしれないが、傭兵の何人かが体当たりを試みていたと聞いているぞ」「む……」 あー、黙っちゃった。「イラードならどうする」「ワタシなら……火を使いますかね」「柵を焼くのか。それは確かに有効だ。季節がら乾燥しているし、一度火がつけば一気に燃えるんじゃないか?」 いちいち感心しているけどルダーのこれ、十中八九わざとだな。  きっとその先まで答えが出ているはずだ。  前世持ちだからな。「なら、水を用意しておこう。昼間なら水もそうそう凍ることはない」 と、提案したのはカイジョーだった。  それに水をさしたのはラバナルだ。「敵にも魔法使いがいるのだろう? なら魔法で燃やしてくるのではないか?」「なるほど、火の弾丸ですか。そうすると、弓兵の数をたのんで火矢を放ってくる可能性もありますね」 火矢は多分この世界でも古くからある戦術だと思う。  だらこそ戦素人のイラードでも容易に答えにたどり着けたに違いない。「とすれば、いよいよ不利になると言うことか?」 ギランが呟く。  もと
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