Alle Kapitel von 僕だってチートがあれば苦労なんてしていない : Kapitel 241 – Kapitel 250

297 Kapitel

考えた末だったはずなのに-前篇-

 魔法使いなら魔力をチャージできるそうだけど、魔法使いは絶対数が足りない。  なぜこんなものを作ってもらったかというと道中に一箇所、グフリ族のテリトリーがあるからだ。  グフリ族は夜行性でたびたび旅人を襲うことで知られているのだそうだ。  それだけ聞くと元日本人的には討伐対象のモンスター扱いしそうなところなんだけど、彼らは縄張り意識が強く排他的なところがあるだけで、人と交易もする種族なんだそうだ。  厄介なのは人族のように明確な領域を主張しないところ。  ぶっちゃけその時の気分でテリトリー主張するってことだ。  前の日に問題なかったところで次の日には襲われたり、以前襲われた場所で「ここはテリトリーじゃないから」と気さくに語らったりするという。  領土意識が明確な人族には理解しがたいはた迷惑なテリトリー意識だけど、それが異種族交流というやつだと言われれば仕方ない。  前世でも野生動物とはそういう折り合いでやっていた。  ここでは言語による意思疎通ができる存在が人族以外にいるだけ。  ホルスに乗っていれば一日で隣村までつけるんだけど、視察も兼ねて今日は第一宿場町で一泊することにしている。  途中で街道整備のカイジョーたちと出会って以降はびっくりするくらい道幅が広くて進みやすい。  いやあ、いい仕事してますねえ。  まだ日の高いうちに到着すると十七人総出で出迎えてくれた。 宿場町とはいうが、立派すぎる宿が二つあるだけの総人口四家族十七人の集落だ。  街道整備の作業員も逗留しているが、さっき会ったばかりだし彼らはまだ帰ってきていない。  まだ、役割の割り振りもできていないようで、みんなで手分けして仕事をしている。  まぁ、僕らが最初の客なんだから当然か。  宿賃も設定してないくらいなんにも決まっていなかった。 この世界、村々では村長の家に泊めてもらえることもあるようだけれども基本的に旅は野宿のようで、「宿」があるのは大きな町くらいなのだとルビンスが教えてくれた。  あ・こりゃだめだ。  僕は急遽前世知識とオギンの
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考えた末だったはずなのに-後篇-

 町での相場感からいくと一泊二食付きなら二百から三百銅貨ってとこだろうけど、他所から来た人はおおむね金を持っていなかった。  そういう世の中だ。  そういったとこを全然考慮に入れてなかったじゃないか。  まいった……。  江戸時代初期辺りまでは自分で食材を用意する素泊まりの宿が多かったそうで、その飯を炊くのに薪の代金を払ったことから木賃宿と呼ばれる。  対して旅籠は基本一泊二食付き、いいところはチェツクアウトの際に道中で食べる昼の弁当を出してくれたという。「木賃宿を建てなきゃだめだな……」 と呟いたら、「それ、オレが建てます。そこ、そのままオレが主人でいいですかね?」 そういったのは、ここが気に入ったといって町から奥さんを呼んで住み着いた元建設作業員。「客用の炊事場があって雨風しのげりゃいいんですよね?」「ああ。ただこの辺は冬は寒いからちょっと考慮しなきゃ凍死する客が出かねないぞ」「そこはオレも心得てますよ」 っていうなら大丈夫だろう。「で、薪の値段って五銅貨でいいですか?」 町での薪の相場がそんなもんだったっけ? 町長特権で炭しか使わないんでよく判んないや。「そうだね、自給自足で暮らすんなら原価販売もいいけど、薪を用意するのだって一苦労だろうし、宿の掃除洗濯だって結構重労働だろ?」「じゃあ、十銅貨ってことで」 原価率五割は前世感覚だと高いけど、こっちじゃまだまだそんなもんか。  むしろ利益乗せすぎとか言われそうだ。  そのほか諸々も差配しているうちに日が暮れて、カイジョーたちが帰ってきたのでみんなでちょっとした宴会になった。  ペギーによれば、毎日こんな感じなんだという。  飯場かよ。  宴のあと、僕は宿のスイートルーム的なところで酔いでフラフラする中、ロットとチャールズ宛に手紙を書く。  ロットには生活物資の補給のお願いを、チャールズには宿場町が使う用の飛行手紙を用意してもらうためにだ。
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閑古鳥の鳴く宿場

 旅の一行は次の宿場町を目指す。  こちらはまだ建設中だ。「あ、お館様」 最初に気づいたのは今や若き棟梁としてなかなかに親方の風格を身につけ出しているジャスである。  なかなか目ざといな。  普段から目配り気配りしているんだろう。  やるじゃん。「順調かい?」「ぼちぼちってとこですね。それより、ご視察ですか?」「いやいや、隣村のその先まで行く途中なんだ」「面白そうですね」「楽しみではあるけどな」 ここは長居しても邪魔になるだけだろうからとジャスと軽く打ち合わせをして隣村へ向かう予定でいる。「なるほど木賃宿ですか」「そう。うちの町ではもうみんなそれくらいの金を持ってるのが当たり前になっていてすっかり失念していたんだけど、田舎の村ではお金なんて滅多に見るものじゃなかっただろ」「確かに」「じゃあ、適当な感じで頼むよ」「判りました。それはそうと、ここのところ移住者が減ってますけど、何があったんでしょうね?」「ん? 減ってるの?」「ええ、こっちの建設始めてから一度も来てませんよ。まぁ、仕事がはかどるんでオレとしてはありがたいんですけどね」 そういえば、前の宿場でも僕らが最初の客だって言ってたな。  何かあったんだろうか?  町の人口飽和もあるし、確かに今のところは助かる現象だ。「まぁ、その件は調べてみるよ。ところで、ジャスからみて、ジャスの代わりになりそうな大工はいるか?」「え? オレ、棟梁クビですか?」 あ、ビビらせちゃった。  全く言葉足らずにも程があるな。「ああ、すまん。ジャスには任せたい仕事があるんであとを任せられそうな人員を確保しておいて欲しいんだ」「嬉しいこと言ってくれますね。筋のいい奴が二、三人いるんで試しにここの建設やらせてみます」「よろしく頼むよ」 建設現場を後にして、僕らは隣村へと急ぐ。  まだ日も高いうちに田
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これ見よがしの暗躍

「畑は順調のようだな」「おかげさまで。今のところみんな主人の言うことを聞いてくれていますし、人手も増えておりますしね」 言葉遣いが随分ときれいになったねぇ。  初めて会った頃はもっとこう蓮っ葉な感じがあったけど、今じゃすっかり代官様の奥方だ。  それはいいとして、ずいぶんと歯にものが挟まった言い方というか……ん? 人手が増えた?  村に入って代官屋敷に到着すると、ヘレンさんたちは勝手口へと消えていく。  僕らは正面玄関からおとなう。  迎えに出てきたのはルダー本人。  相変わらず百姓然とした感じだ。  なんかほっとする。「これはこれはお館様、ようこそおいでくださいました」 相変わらず芝居くさい。  人目のあることを意識しているようなんで、僕もその芝居に乗っておこう。「報せもなく立ち寄ってすまないな」「いえいえ、お気遣いなく。お館様はご領主様なのですから、ここを我が家だと思ってお使いくださいませ」「では、遠慮なくそうさせてもらおう」 一連のやり取りでこの村の住人に上下関係を知らしめようという目論見は成功したんじゃないかな?  屋敷に入ると何人かの村人がいたようで、全員が屋敷を去っていく。「なにか問題があるようだな」「さすがはお館様、御慧眼でございます」「芝居くさいのはもういいよ」「結構気に入ってるんですがねぇ」「お館様」 全員を見送ったイラードが、出てきた。「なにかやったろ」 イラードは頭をかくだけで答えようとしない。  やったもなにも、村には人が増え、新しい家がいくつも建っていた。  なるほど、町を目指して各地から来ていた人たちをここにとどめていたのか。  そりゃあ宿場に人が来るわけがない。「お館様。立ち話もなんですから、奥へどうぞ」 ルダーが促すままに奥の部屋へと案内されると、ヘレンが気をきかせて冷たい水を用意してくれていた。
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独善的な政策で

 イラードの考えはざっとこんな感じだった。 今の村長は使えない。  この村を支配下に置いたのだから代官が差配して当然だ。  とっとと村長を降ろしてしまおう。  いや、むしろもう無視しよう。 …………。 いやもう無茶苦茶だな。  まず、村長は無能じゃない。  これまでずっと村の運営は滞りなく行なってきていたし、専制的なきらいはあっても村人には慕われていた。  ただ時代が変わっていく中で必要な能力が変わるのに、たぶんついていけないと思っているだけなんだ。  だから穏便に支配権を譲ってもらえればと思ってたわけで、いきなり権力を取り上げたら恨みを買っちゃうでしょうが。  村人には慕われてんだよ。「イラードも専制的なところがあるんだよなぁ」 なんて笑ってるけど、代官はルダーだからね。  イラードはルダーの補佐だよ。「ルダーはどう思ってるんだ?」「俺は政治向きのことは判んねぇからすべてお任せさ」 イラードの暴走はルダーのせいだった。「起きてしまったことは仕方ありません。今後の対策を考えなくてはいけないのでは?」 ルビンスの言う通りだ。  そのためには現状を知らなきゃいけない。  イラードによると、現在村の人口は五十七人。  うへ、もう倍近くに増えてる。  今のところもともとの村人との軋轢はほとんどない。  これは現在農業改革一年目で、ルダーの指導にみんなが従うと言う条件が同じだからだろう。  ずっとやってきてる中に入ると「やり方が違う。従え」とか「こっちの方がいいんだ」とか言うのがどうしてもあるからね。  前世で近代農業をやってきたルダーの圧倒的な知識力(前世もちの転生特典に「完全記憶」がある)、理論と技術力によって、この点が抑えられているのはありがたい。  でだ、村長との関係はイラードに聞いても正確なことは絶対判らない。  ルダーはこんな調子だし誰に聞いたものやら……あ。「ルダー、ヘレンと
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指示を上手にこなすのが得意な人

「二人に聞きたいのはね……」 村での評判だ。  五十人ぽっちの村で代官の奥方が深窓にいるなんてわけもなく、もともとが田舎のおかみさんなんだから井戸端会議とかやってんべ? って思ったわけだよ。  案の定、ルダーの評判はまずまずだったがイラードには不満が出ているようだ。  肝心の村長との関係は実は判らない。  今までも自分一人で決断してきた人だから、誰にも相談することができずに悶々としているのかもしれない。  しかし、こんなに独断専行する男だったか? イラードって。  有能って評価だったんだけどなぁ……。(明確な指示がないからよ) うおっ!  リリム(どう言うことだ?)(今までは「こうしたい」「これを頼む」って指示で動いていたの) 確かにそうだ。(じゃ、今回の指示は?)(あー、ルダーの護衛兼村の問題点の洗い出し……だったはず) あれ?  じゃなんでこんなことやってんだ?「ルダー」「ん?」「代官としてイラードに何か指示を出したか?」「ああ、政治向きのことはよく判んないから好きにやっちゃってって」 好きにやっちゃった結果がこれか……。  たしかにケイロを使ってこっちの肚を探ってきたり先に仕掛けてきたのは村長だ。  たぶんその後も手を替え品を替えて色々工作してきたんじゃないかな。  で、イラードが邪魔だと思ったんだろう。  僕だって村長には早々に交代してもらおうと言う肚づもりはあった。  ただ、穏便に行きたいという意向があったわけで、ふぅむ……イラードは上手に手綱を捌かなきゃいけない家臣であると肝に銘じておこう。「どうします?」 こういうときは喧嘩両成敗がいいんだけど、どっちも処分しちゃったら村の運営が立ち行かなくなるしなぁ……。  ええい、ルダーの評判はまずまずだっていうし、当面危険はないだろう。  僕はすぐさま村長を代官屋敷に呼びつける。
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お白洲でごさる

 対面した村長は心持ち仏頂面をしている。「まずは急な呼び出しで申し訳ない」 と、ひとまずそういってから村の現状を代官から聞いた旨を説明する。「なにか申し開きはあるか?」 と、双方に弁明の余地を与える。  ここで初めて互いの意見を直接聞くことになるわけだ。  イラードの歯に衣着せぬ辛辣な物言いはこりゃ今後の外交には使えないなぁと再確認させられたし、村長の利己的な既得権益の主張は「ああ、やっぱりね」という感想しか浮かばない。  はぁ……管理職の悲哀ってやつかねぇ。  そして、沙汰だ。「まずはイラード」「はっ」「人の手が足りず有能な人物に大きな裁量権を与えているのはこちらの都合、独断自体を罪には問わない。しかし、その結果としてこのような事態となったことは、やはりお前の責任を問わざるを得ない。本日以降、この村では治安維持以外の裁量権を剥奪する」「……賜りました」「次に村長バドー・ボット。己の既得権益を守ることばかり考えていたことは甚だ遺憾であり、今後の村のあり方を考えると長という立場にいることは適切ではないと判断せざるを得ない。よって村長の任を解き、息子のバドロ・ボットに家督を譲って隠居せよ」 「そんな」と抗弁しそうだったので返事を待たずに判決を続ける。「最後に代官ルダー・メタ」「お、俺もか!?」「当たり前だ。今回の騒動、代官の任にありながらその役を放棄してイラードに丸投げしたのがそもそもの発端である。忙しくなるのはその罰だ。イラードが行っていたこと全てお前が責任を持って引き継げ」「は、ははぁ」 こんな時まで芝居がかった平伏しやがって……ん? もしかしてここまでがルダーの計画だったのか?  だとしたらルダー、おそろしい子。
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早とちりの抜け作

 奥の村を出立して、僕はいよいよ外宇宙へ……いや、外の世界へと旅立つ。  僕の現世でのもっとも遠い旅先がこの村だったのだから、このワクワクとドキドキは当然の現象だ。  実は、ここから先も特に何か冒険的なことがあるというわけじゃない。  もちろん、夜営は野宿だし獣が襲ってくる可能性はあるんだけど、モンスターが頻繁に襲ってくるということもない。「なんで?」 当然の疑問だと思わない?  普通に考えたら人の手が入っていない場所ほど野生の王国なわけで、獣が出てくるならモンスターも出てきそうなもんだ。「そんな危険生物がしょっちゅう出てきたら国が維持できないじゃありませんか」 と、オギンが醒めた目で答えてくる。  む・確かにそうなんだけど、RPGオタクとしては、血湧き肉躍る冒険譚に憧れがないわけがないってもんだ。(モンスターに勝てる気でいるんだ。へー) …………。「モンスターも人間がそうカテゴライズしているだけですからね。他の野生動物とそう変わりません。むしろ希少生物ですから植物系以外は滅多に遭遇しません。単にこの辺りに生息しているモンスターがいないだけです」 と、ルビレルが補足情報をくれる。  なるほど、そういうことかぁ。「時々大発生する種はいますけどね」 それは文献から知ってるぞ。  大体は虫系のモンスターだったな。  たまに植物系モンスターが大発生することもあるとか。「いずれにせよ、この辺りには出ませんから、ご安心を」 まぁ、この道を何度も行き来している二人が言うんだから間違いないか。  第五中の村までは徒歩でも二日の旅程だ。  みんながよく使う野営地を通り過ぎたのが昼過ぎ、村についたのは夕暮れ前だった。  第五中の村は山間の奥の村と違ってなだらかな山の麓にあった。  耕作地も奥の村の倍はありそうだ。  畑から帰ろうとしていた農夫の一人が僕らに気付いて村長を呼びに行ってくれた。「これは
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からかって楽しんでいただけ

 村長の家について旅装を解くと、村長の奥さんが果物を出してくれた。  疲れた体に甘味が染みる。  この村の長は壮年のようだが農作業には向いていない感じの体型で、奥さんのふくよかさとの対比がマンガ的だ。「ルビンス様がお一人で来られるのは初めてですな」 とかいうけど、僕は? オギンは?「で、今日はどんなご用件でしょうか? またズラカルト様の増税ですか?」 嫌そうな言い方だ。  ま、仕方ないけどな。  というか、やってきた方向考えてズラカルト男爵関係なかろうよ。「あ・いや、今日はズラカルト男爵とは関係ない」 おーおー、すげぇほっとした表情だ。  顔に出過ぎじゃないかね?  そして、チラチラと僕を見るルビンス。  無表情で背筋を伸ばしたままのオギン。  ルビンスに見えないのをいいことに彼の周りをニヨニヨしながら飛び回るリリム。  絶対僕に対するパフォーマンスだ。  それらを見ている僕は一体どんな顔してるんだろう?  すました顔してるつもりだけどなんとなくニヤけてる気がする。「お館様、そろそろお戯れをやめてください」 どう説明したらいいものか判らなくなったのか、ついにルビンスが降参した。  そこはちょっとお役人的に事務的説明をすればいいのにさ。「親方様?」 漢字が違っているのがニュアンスで伝わってるよ、村長。「すまないね、私が今回の代表者だ」 咳払いで表情を改めてそういうと、村長の顔がさらにポカーンとしたものになる。  そこにオギンが追い討ちをかける。「この方が噂のズラカルト男爵に喧嘩を売った男だよ。てゆうか、あたいを覚えてないのかい?」 アゴが落ちた。  ホントにカクーンって落ちるんだね。「改めまして、反乱勢力の代表ジャン・ロイです。以後、お見知り置きを」
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反乱の首謀者としがない村長

「そうですよねぇ、秋の戦以降戻っておられませんでしたものねぇ……」 いくらか落ち着いた村長がようやくショックから立ち直り、冷静な判断ができるようになったのは半時間ほど経ってからだった。  長かったな。「いや、取り乱しました。改めまして、この村の長をしているベハッチと申します」「うちの亭主、村長やってるってのに、『うっかりべハッチ』なんて呼ばれてるんですよ? まったくねぇ」 ……団子が好きそうだね。「そ、それで、一体どう言うご用でこの村に来られたのでしょう?」 ちょっとおどおどしてるのは叛乱の親玉だからかなぁ?  こんなににこやかに微笑んでいるって言うのに。  ま・それはいいや。  さて、どう交渉しようか?  僕は、視線をルビンスに向ける。  今回の交渉は基本的にルビンスに任せると事前に取り決めていた。  交渉事ってのは、スキルと信頼のバランスだからね。  その点ルビンスは騎士として面識があって信頼もあるようだからな、うまくいくはずだ。  ルビンスは二度の戦の顛末を誇張なく語り、巧みに領内の情報を聞き出しながら情勢をすり合わせていく。  うまいなぁ……。  これくらい出来たら前世での交渉もサクサク進んだろうなぁ。 でも、これってば立場の上下関係がはっきりしているから出来ることとも言えるよなぁ。  クライアントの思いつきでなんべん決まりかけたものをひっくり返されたことか……。  そんなことをぼんやりと考えていたら、やがてクロージングに入っていた。「──ということで、我々の傘下に入ってもらえないかと考えてこの村を訪ねさせてもらった。どうだろう?」 村長はそれを聞いて腕を組んで目をつむり、それきり動かなくなった。  ルビンスがジリジリと前傾姿勢になる。  ここで返答を迫りそうだ。「べハッチさん」 僕は意識的に声のトーンを高め、心持ちゆっくりとしたスピードで声をかける。「こんな決断、この場でできることではないことは十分承知しております
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