——そして。ある夜。 深夜二時。 スマホが鳴った。 ぴろん♪ 画面を見る。汐音からのメッセージ。『たすけてください みちのまんなかで あしがなくなりました』 は? 続けて写真が送られてきた。暗い路上。街灯の光。コンビニの袋を抱えた汐音が——腰から下が人魚の尾に変わって、アスファルトの上に座り込んでいる。尾鰭がぺたりとアスファルトに貼りついている。 写真の端に、雲間から差した月の光が映っていた。 俺は三秒で靴を履き、原付のエンジンをかけた。 夜道を飛ばす。深夜の石垣島は暗い。街灯もまばら。虫の声だけが耳を打つ。 現場はコンビニから百メートルほどの路上だった。 電柱の影に身を寄せた汐音が、尾鰭でアスファルトをぺち、ぺちと叩きながら、涙目でこちらを見上げていた。 月光を受けた鱗が淡い水色に光っている。コンビニの袋にはプリンが三つ。「……お前」 「おなかが空いて……プリンが食べたくて……雲が出てたから大丈夫だと思ったんですけど、帰り道で雲が晴れちゃって……」 声が震えている。恥ずかしさと情けなさで目が潤んでいる。「月の光に当たると足がなくなる、って。そういうことか」 「……はい」 俺は無言で汐音を抱え上げた。 いわゆるお姫様抱っこ。腕の中に人魚の女。尾鰭が月光を受けて、淡い水色から銀色へと波打つように色が揺らいでいる。鱗がひんやりと冷たい。滑らかで、魚の肌とは違う——宝石みたいな手触り。 でも、俺の腕に回された汐音の手は——温かかった。「重い」 「重くないですっ! 人魚は骨密度が低いので人間より軽いんです!」 「口から先に出るタイプか」 「事実を述べているだけです!」 原付のシートに横座りさせる。汐音が尾鰭をバランスよく横に流す。慣れた動きだった。何回かやったことがあるんだろう。一人で。「掴まれ」 「……はい」 汐音の手が、俺の背中にそっと触れた
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