礼都は眉をわずかにひそめると、自分から3歩も離れた場所に立っている望をひょいと引き寄せた。「まずは話を聞こう」望はごくりと唾を飲み込んだ。「ママの花火工房がお引っ越しするんだ。だから、新しいおうちを探すのを手伝ってくれる?」礼都は興味深そうに眉を上げた。「工房が移転するのか?」望は力いっぱい頷いた。礼都が目をわずかに輝かせたまま黙っているので、望はもじもじしながらポケットに手を突っ込み、一つ、二つ、三つと飴を取り出した。そして机の上へ並べる。「ごめんなさい。僕、これしか持っていなくて......」幼い声でそう言った。それは彼の全財産だった。工房に新しい居場所を見つけるためなら、全部礼都にあげてもいいと思っていた。礼都の鋭く整った口元が、わずかに弧を描く。だがすぐにその表情を消した。視線が少し沈む。まさか梨沙がわざと望に頼ませたのではないだろうか。彼は手を伸ばし、柔らかな髪をくしゃりと撫でた。「それはお母さんに頼まれたのか?」望は首を横に振る。そして小さくため息をついた。幼いのに妙に達観したようなその様子が、思わず笑いを誘う。望はできるだけ分かりやすく説明した。「ひいおばあちゃんと一緒にいた時、ママが工房の人と電話してたんだ。僕、こっそり聞いちゃった......向こうの人が、工房の新しい場所を探すのが大変だって言ってた。高すぎるか、すごく不便な場所ばっかりなんだって。でもおじさんはすごいから、きっとママを助けられると思ったんだ」男は長い指を膝の上に置き、軽く叩いた。なるほど。そういうことか。礼都はしばらく考え込む。どう見ても、直接手を差し伸べるのは得策ではない。あの娘は一見すると柔らかそうだが、芯はかなり頑固だ。施しのような助けは、おそらく受け取らない。望は小さな手で礼都の膝をぽんぽんと叩いた。「おじさん?」礼都は思わず笑った。「分かった。引き受けよう。ただし、このことは秘密だ」望には理由が分からなかった。だがママの力になれるなら何でもよかった。小鳥が餌をついばむような勢いで何度も頷く。柔らかな髪も一緒に揺れた。礼都は目を細める。ひとつの考えが頭の中で形になっていった。――翌朝早く。梨沙は千鶴と朝食を済ませ、昔
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