「茂雄様からネックレスをもらった途端に、本性を現すなんて……そんな人が桐生家の嫁なんてあり得ない!」「柚希ちゃん!私の子供を放して!」すると、柊馬が鬼の形相で駆け寄ってきて、泣きわめく子供を柚希の腕から強引に奪い返すと、間髪入れずに思い切り柚希の頬を張り飛ばした。パシッ。静まり返った会場に、ひときわ高い乾いた音が響き渡る。柚希の顔は勢いよく横に弾き飛ばされ、頬は一瞬で赤く腫れ上がり、口の中には鉄のような生臭い味が広がった。頬を押さえた柚希は、激怒して顔を歪める柊馬、そして背後で底意地の悪い笑みを隠そうともしない莉奈の表情を、呆然と見つめることしかできなかった。四面楚歌。自分はなんて惨めなのだろう。こんなやり方……なんて悪質なのだ。自分の子供すら利用するなんて。先ほどまで、多くの人に祝福されていたのに、今や一転して非難の的。「柚希……」腫れ上がっていく柚希の頬を見た柊馬は、勢いに任せて殴ってしまったと気づいたのか、困惑した表情を浮かべている。「殴るつもりはなかったんだ。でも、あんな小さな子を傷つけるなんて……」「ふっ」切れた口内を舌先で弄り、柚希は氷のような眼差しを、柊馬に向けた。次の瞬間——パシッ。柚希は全力で、柊馬の頬を叩き返した。先ほどのよりずっと大きな音が響く。「何にも見えてなくて、頭の中が空っぽなあなたへの一発だから!」突然のことに柊馬は呆然と立ち尽くし、目を丸くして信じられないという顔で柚希を見ていた。柊馬は信じられなかった。柚希が、よりにもよって大勢の前で自分に手を上げるなんて。どうしてそんなことができるのだ?どうして、自分にそんな真似が?「柚希ちゃん!柊馬くんを殴るなんて、いくらなんでもやりすぎよ!」憤慨した様子の莉奈が柚希に飛びかかり、力任せに体を突き飛ばした。まだ怪我が完治していない柚希は、その勢いに押されてよろめき、そのまま後ろに倒れそうになった。柚希は後頭部を床に強く打ちつける痛みまで、すでに想像できたが、心の中で誓った。もし立ち上がれたら、必ず莉奈の髪をつかんで、その顔を床に押しつけてやると。だが、予想していた衝撃は来なかった。しなやかで力強い腕が、すっと柚希の腰を支えていたのだ。爽やかなウッディ系の香りが、一瞬にして彼女を包み込む。目
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