カーテンの隙間から差し込む朝の光が顔を照らし、遠山絢音(とおやま あやね)はわずかに眉をひそめた。手を上げて眩しさを軽く遮ると、寝返りを打って無意識に隣へ身をすり寄せた。伸ばした右手が何も掴めず空を掻き、そこで初めて、ぼんやりと目を開けた。意識がはっきりするにつれ、昨夜の記憶が脳裏に蘇ってくる。言葉にできないほどの甘い感情が胸の奥からわき上がり、自然と口元がほころんだ。昨夜、三年付き合った恋人の島村真尋(しまむら まひろ)から、ついにプロポーズされた。熱く激しい愛撫の中、きつく抱きすくめられ、身体を震わせ、目尻を赤くする姿を見つめられながら、愛の言葉を何度も言わされた。ベッドでは真尋はいつも強引で乱暴だが、絢音はそれを嫌だと思ったことはなく、むしろ思い出すだけで顔が火照り、胸が高鳴ってしまう。なかでも今、一番胸をときめかせているのは、昨夜の歓喜の最中、耳元で囁かれたあの言葉だ。「絢音、俺と結婚してくれないか」あの瞬間、こらえきれずに嬉し涙をこぼしてしまった。この言葉を丸三年も待ち焦がれていたことなど、きっと彼は知らないだろう。布団に顔を埋め、しばらくしてようやく口元の笑みを押し殺すと、気怠げに体を起こしてベッドを降りた。真尋はきっといつものようにキッチンで朝食の支度をしているはずだ。そう思って甘えに行こうとした矢先、部屋のドアの前に着いた途端、向こうから押し殺したような真尋の声が聞こえてきた。窓際に立つ彼の表情はうかがえないが、その氷のように冷たい声と、電話越しの下劣な嘲笑が、毒蛇が這いずるようなおぞましさで耳の奥にへばりついてきた。「真尋さん、そろそろっすよね。ぶっちゃけ、あの女を孕ませるなんてちょろいもんでしょ。あれだけ惚れ込んでるんだから、ゴムつけないのはもちろん、中に出しても大して文句言わねえんじゃないすか。それにあの写真集の件も、あんなお堅い性格じゃ絶対無理だって俺ら思ってたのに、真尋さんが一言頼んだら即OKっすからね。でもまあ、あいつが従順であればあるほど、あのとびきりのプレゼントを受け取った時のツラが見物ってわけっすけど。で、マジな話、いつあれを公開するつもりなんすか?俺ら、もう待ちきれないんすよ」電話越しの下品な笑い声に対し、真尋は冷酷に言い放った。「そう焦るな。ああいう
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