Semua Bab すべてを失った元令嬢は世界を支配する男の愛を纏う: Bab 11 - Bab 20

33 Bab

11.母の秘密

英玲奈side引き出しからハサミを取り出すと、微かに震える手で、刃先がファイルを傷つけないよう、細心の注意を払いながらゆっくりと刃を動かしていく。「一体、何が入っているというの……」慎重にポケットに手を入れると、中から出てきたのは一本の古いUSBメモリだった。 拾い上げ、まじまじと見つめる。もし仕事のデータをUSBに保存して残すにしても、こんな風に糊付けしていたら開くたびに手間がかかり面倒だ。それに重要な仕事のデータであればデザインファイルの背表紙へ糊付けされたポケットに隠すというのは、あまりにも不自然で異様だ。鞄からノートパソコンを取り出して、メモリをポートに差し込む。カチリと認識音が響き、画面に表示されたのは、強固なロックがかけられた特殊な暗号フォルダだった。生前、デザイナーとして服作りにすべてを捧げていた母は、お世辞にも機械に強い方ではなかった。どちらかと言えばPCの操作には疎く、母の隣にはPCではなくいつも紙と鉛筆が置かれていた。そんな母が、わざわざ専門のソフトウェアを使って暗号化されたファイルを保管している。その事実だけでも、この中にあるデータがどれほど重大なものであるかを嫌というほど想像させた。母が立ち上げた会社名や誕生日を入れてもエラーではじかれてしまう。 私は記憶を必死に手繰り寄せて、母が使用しそうなパスワードの組み合わせをいくつか打ち込んだ、その時だった。――カチリ、と軽快な音がして画面のロックが解除された。
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-07-10
Baca selengkapnya

12.男の真意

英玲奈side男に電話をかけ、部屋で待っているようにと言われてからおよそ三十分後。リビングのローテーブルに置いていたスマートフォンが静かに鳴り響いた。画面には、先ほど男から手渡されたカードと同じ番号が表示されている。 「地下に着いた。降りてこい」 用件だけ告げるとこちらが返事をする前にプツリと電話を切る音が耳元で聞こえてくる。一方的だと思いながらも、母のUSBメモリをバッグの奥にしっかりと仕舞い込んで部屋を出た。エレベーターで地下駐車場へと降りると、コンクリートの薄暗い空間の中に一台の車がハザードランプを点滅させて待機していた。挙式の日に用意されていたあの黒いリムジンとは違う車種だが、フロントグリルに輝く猛々しい獅子のエンブレムがついたその車は、車に詳しくない私でも一目で分かる世界最高峰の高級車だった。近づくと後部座席の遮光ガラスが滑らかに下がり、サングラスをかけたあの男が顔を覗かせた。 「乗れ」 男に促されるまま座席へ乗り込んだと同時にドアが吸い込まれるように閉まる。車内には上質な本革の香りが漂っていた。車が静かに発車すると同時に男が不敵な笑みを浮かべて私を見ている。「さすがだな。話に乗る気になったか? 判断が早い知的な女は、俺の好みだ」
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-07-11
Baca selengkapnya

13.男の真意②

英玲奈side「……本体?」私が男の言葉の真意を測りかねている間に、車が静かに停車した。運転手が素早く外へ回り、後部座席の扉を開ける。 車外へ出ると、そこは都心の一等地に位置するオフィス街だった。日本を代表する大手企業の本社ビルや金融機関がこれでもかと集結している、経済の心臓部だ。男は顎で私を近くに呼ぶと、その中にある一際巨大な高層ビルのエントランスへと迷いなく足を踏み入れた。慣れた様子でポケットからセキュリティーカードを取り出してゲートにかざし、中へと入っていく。私もその背中を必死に追い、二人のSPを従えたままエレベーターに乗り込むと、男は23階のボタンを押した。直後、重力に逆らうような物凄いスピードでエレベーターは加速上昇を始めた。耳の奥が詰まるような感覚の中、男は前を見据えたまま何も語らない。やがて静かに扉が開き、目の前に広がる重厚なフロアへと足を踏み入れる。「入れ。ここが俺のオフィスだ」男が壁のスイッチに触れると、オフィスの照明が一斉に点灯した。 現れた光景に、私は息を呑んだ。ワンフロアに優に200人はくだらないであろうデスクとPCが整然とずらりと並んでいる。それぞれのデスクには、一人当たり3台から4台もの拡張モニターが設置されており、無機質な黒いディスプレイが暗闇の中で鈍く光っていた。目に入るところに紙の書類やフ
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-07-12
Baca selengkapnya

15.追い込み

陽向sideあの結婚式は今思い出すだけでも、本当に地獄だった。元婚約者である英玲奈が式の途中で突然乱入してきたせいで、式場の空気は一瞬にして凍りついた。本来なら政界や財界の大物が一堂に会し、俺の華麗なる出世街道の幕開けを笑顔で祝福してくれるはずが出席者たちの目は一変した。向けられるのは、疑念と軽蔑、そして好奇に満ちた冷たい視線ばかりで誰一人として俺たちを祝う者などいなかった。高砂の席に座る俺と結愛は、まるで公開処刑の晒し者にされている気分で居たたまれなくなり、進行の大部分を強引にカットし、逃げるようにして披露宴を終わらせたのだった。だが、あそこで人生が詰まなかったのは、俺の運の良さと計算高さゆえだろう。南雲グループのトップである義父の圧倒的な権力と資金力のおかげで、あの騒動はすべて「英玲奈の独りよがりな妄想による暴走」として処理された。マスコミへの口封じも完璧で、世間的には精神を病んだ哀れで狂った元令嬢が妬んで狂言を働いたということで片付けられたのだ。最初はその話を疑ったり、俺たちを白い目で見たりする者も確かにいたが、人間の記憶なんて都合よくできている。噂話もすぐに飽きて、時間が経てば、どんなスキャンダルもただの過去の話だ。今や社内で俺の過去を蒸し返す者など誰もいない。四か月が経ち、俺たちの元にようやく平穏で幸せな日々が戻り始めていた。そんなある深夜の事だった。
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-07-15
Baca selengkapnya

16.胎動

陽向side英玲奈のあの過剰な優秀さは、結果として俺たちの関係を破滅に導いた。俺は何も悪くない。男のプライドを配慮できなかった英玲奈が悪い。南雲グループ内でも誰もが彼女の能力を称賛し、周囲の人間も、俺の社内での実績や評価について「優秀な英玲奈が婚約者として裏で支えてくれているからこそ、成り立っているものだ」と影で囁いていた。実際、役員会やプロジェクトの場でも、英玲奈が隣にいるだけで俺は彼女の引き立て役のような扱いを受けた。男としてのプライドを、毎日少しずつ、確実にへし折られていくようなあの息苦しい気分。あれは経験した者にしか分からない地獄だ。俺がどれだけ努力しても、結局は「南雲英玲奈の婚約者」という枠から出られない。あのまま結婚していれば、俺の自尊心は跡形もなく粉砕されていただろう。その点、結愛は違った。結愛は少し抜けていて、世間知らずで、俺がついていなければどこか心配なところがある。けれど、だからこそ俺のことを心の底から信頼し、頼りにしてくれている。 「陽向、すごぉい!」「また実績上げたの?陽向、頑張っていたもんね。本当にかっこいい」そう言って結愛が甘い声で俺の名前を呼び、抱き着いて上目遣いで縋ってくるたびに、俺は男としての自尊心を保つことができたのだ。何
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-07-17
Baca selengkapnya

17.社長三越

英玲奈side南雲の役員を退任させられた私は、三越凱と復讐のための契約を交わした。そして、彼が代表を務める「アレスファンドジャパン」に、アナリストとして再就職することにした。権力を振りかざす父や陽向も、世界的な市場を動かす「アレス」という巨人の名前を聞いたら、手も足も出ないはずだ。何より、母の遺したあの禁忌のデータを完成させ、最も効果的に世に放つためには、三越が持つ世界規模の情報網と圧倒的な資金力は大いに利用できる。利用価値があるなら、悪魔の力であっても貪り尽くしてやる。それが私の決意だった。(母が亡くなって、長年尽くしてきた会社も家柄もすべて失った。今の私に、守るべきものや失うものなんて、もう何一つ残っていないわ。それなら、母の最期の言葉通り、私らしく私の思うままに行動するまでよ……)代表である三越は、分刻みのスケジュールをこなすため、毎日狂ったように忙しそうにしている。彼がガラス張りの社長室から姿を現すたびに、各部門の役員クラスやファンドマネージャーたちが、手元のタブレット端末を片手にぞろぞろと後ろをついて歩きながら、目まぐるしく案件の進捗や投資判断の可否を仰いでいる。その光景は、まるで歴史の教科書で見た大名行列、あるいは絶対的な女王蜂に従う働き蜂のようでもあった。最初は、その異様な光景に自然と目がいってしまっていたけれど、時間が経つにつれて今ではありふれた日常の景色となりつつある。合理主義派の三越は、徹底的な効率化と生産性を求めており従来の流れを一掃したそうだ。彼はアレスの代表に就任すると同時に、「時間とリソー
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-07-18
Baca selengkapnya

18.プレゼント

英玲奈side「南雲様、夜分に恐れ入ります。三越様よりお届け物を預かっておりますので、お届けに上がりました」仕事を終えてマンションの自室に帰宅し一息ついていると、インターホンが鳴りコンシェルジュが私の部屋を訪ねて来た。 恭しく差し出されたその両手には、衣服カバーがかけられた一着のドレスと上品なイブニングバッグが握られていた。ドレスの他に手紙もメッセージカードも何一つ入っていない。 状況が掴めず、私は仕方がなくスマートフォンを取り出して三越の個人番号へと電話を掛けると、一回目のコール音が鳴り終わるか終わらないかのうちに、画面はすぐに通話中へと切り替わった。「南雲です。夜遅くにすみません。今、コンシェルジュからドレスとバッグを受け取ったのですが……これは一体、何でしょうか?」『それは今度出席する経団連の懇親会用だ。当日、それに着替えてから会社のロータリーに集合だ。時間厳守で頼む。いいな』「え、ちょっと待って……」私が詳細を尋ねようと言葉を続けたものの、三越は自分の用件を言い切ると通話を切ってしまった。耳元でツーツーツーという無機質な機械音だけが虚しく響いている。「本当に、いつも一方的なんだから……」
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-07-19
Baca selengkapnya

19.因縁の再会

陽向side「陽向、ちょっと後ろのファスナー上げてくれない? どうしても手が届かないの……」経団連の懇親会当日。ホテルの控え室で結愛が苛立ちを隠せない様子で俺に背中を向けてきた。 現在、妊娠六か月。お腹の膨らみが随分と目立ち始めていたが、結愛が今日選んだのは、ピッタリとしたタイトなデザインのドレスだった。「結愛、本当にそのドレスで行くのか? お腹の子のこともあるんだし、もっと身体を締め付けないゆったりとしたデザインの方がいいんじゃ……」俺が少し顔を顰めて助言しようとすると結愛はヒステリックに間髪入れずに否定してきた。「嫌よ……! 出産したら、しばらくドレスを着て華やかな場所に出る機会なんてなくなるのよ!? あの最悪な結婚式の記憶を塗り替えるためにも、今日こそは私が一番着たいドレスを着て出席するの、文句言わないで!!」結愛の凄まじい迫力に気圧され、俺は「分かったよ」とそれ以上の口出しをやめて、ドレスのファスナーをゆっくりと上へと引き上げた。 だが、お腹だけでなく背中や二の腕にも余計な脂肪がついたようで、下着が苦しそうに肉に食い込んでいる。お腹が前に突き出ているせいで、ロングドレスの裾は前側だけが不自然に持ち上がって短くなっており、客観的に見てお世辞にも美しいとは言えない不格好さだった。 だけど、あの悲惨な結婚式の話題を出されてしまったら何も言い返す言葉は見つからなかった。
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-07-20
Baca selengkapnya

20.謝罪

英玲奈side華やかなシャンデリアの光が降り注ぐ経団連の懇親会会場。 一歩足を踏み入れると、かつて南雲の役員だった頃の顔馴染みたちが何人もすれ違っていくのが見えた。以前なら、笑顔で挨拶を交わしに歩み寄ってきたはずなのに今は違った。誰も私と視線を交わそうとせず、気まずそうに露骨に顔を背ける。目が合いそうになると、まるで汚らわしいものでも見つけたかのように、慌てて歩く方向を変えてどこかへ立ち去ってしまうのだ。パーティー会場の中で私は明らかに孤立していた。 肝心の三越も、会場に入るなりどこかへ行ってしまった。一人ぼんやりとグラスを片手に過ごす時間は、ひたすら居心地が悪い。「かつて親しかった人たちまで逃げていくなんてね……。予想はしていたけれど、父たちが裏で私に関する良からぬ噂を流したに違いないわ。きっと、周囲は南雲グループを敵に回さないよう、私とはもう関わらない方が判断したのね……」これまで築いてきたビジネスの人脈があっさりと瓦解させられたことに、胸の奥で冷ややかな侘しさを覚えていた。 すると、いつの間にか三越がどこからともなく私のすぐ隣に音もなくやってきて立ち止まった。「なんだ。随分と浮かない顔をしているな」「なんだって何よ……当たり前でしょう。こんな四面楚歌の場に私を連れてきて、一体どういうつもり? ここには南雲時代の知り合いも何人もいるのよ。楽しめるわけがないじゃない」
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-07-23
Baca selengkapnya
Sebelumnya
1234
Pindai kode untuk membaca di Aplikasi
DMCA.com Protection Status