陽向side部下である新規事業部の部長に丸投げして無理やり作らせた二期目の事業計画書。あの役員会議での醜態から一か月が過ぎ、「これでなんとか形にはなった」と俺は胸を撫で下ろしていた。 だが、そんな俺を嘲笑うかのように次々と悪夢が襲いかかる。わずか二か月の間に、為替相場は一気に1ドルあたり20円も暴騰したのだ。英玲奈がこの新規事業を立ち上げた当初には想定されていなかった歴史的な為替の激動だった。為替変動の影響というものは恐ろしい。 製品の売上や契約自体が消えるわけではないが、海外から調達している部材の輸入原価だけが、タイムラグなくダイレクトに響いてくる。製品を日本で取り扱っている我々は、契約を履行すればするほど、原価率が圧迫されて会社の手元に残る利益が削り取られていくのだ。そして、まだ事業を開始して歴が浅いこの部門は、原価率上昇に耐えられるだけの利益のプールなど何もなかった。このままの状況が続けば、新規事業部は期待の事業から一転して負債を生みだすお荷物事業として冷ややかな視線を浴びることだろう。世界情勢が原因で、俺のせいではないが、赤字事業を指揮するなんてイメージが悪い。「——というわけで、南雲副社長」緊急で開催された役員会議の場で、役員が冷ややかな目線を俺に向けて放った。
Terakhir Diperbarui : 2026-08-07 Baca selengkapnya