英玲奈side「もう、陽向ったら……お姉様に甘いんだから。でもいいわ。特別に土下座と使用人、どちらがいいか選ばせてあげる。今日だって、このパーティーに参加するためになけなしのお金でそのドレスを買ったんでしょう? 無職になったお姉様からすれば、随分と無理をしたようだし……」結愛は、私が纏う漆黒のドレスが一目見て即座に高価な代物だと見抜いたようだった。けれど、それが自力で買えるはずのない私が見栄を張って身の丈に合わない買い物をしたのだと見込んで、勝ち誇ったように歪んだ笑みを浮かべている。陽向の手が私の右手首を強く握りしめているせいで、身動きが取れない。必死に負けじと二人を鋭く睨みつけ言い返そうとしたその瞬間だった。 二人を制したのは、まさかの父だった。「お前たち……今は黙っていなさい」低くどこか苛立ちを含んだ声に、陽向と結愛は一瞬で言葉を詰まらせた。「えっ……お父様?」「でも……!」「いいから黙っていろと言っているんだ!!」一蹴するように陽向と結愛に向かって怒鳴りつけた。私を切り捨て、愛人との子どもの結愛を溺愛し、何があっても味方をしてくれると信じ切っていた二人は、思いも寄らない父の激怒に困惑の色を隠せないでいた。
Terakhir Diperbarui : 2026-07-25 Baca selengkapnya