「たくさん頑張ってたから、ささやかなご褒美」「ありがとうございます。実は、私も末安さんにお礼を用意してたんです」 千夏は小さな紙袋を成也に手渡した。「先生からプレゼントもらえるなんて嬉しいなー。でもなんで?」「末安さんがいなかったら、私は父に襲われていました……。それに、ここまで頑張れなかったと思うんです。だから、ありがとうございました」 照れくささで頬を染めながら礼を言うと、成也は目を丸くした。「そんな風に思ってもらえてたなら嬉しいな。けど、それだけ先生の中で俺の存在が大きいんだなって、自惚れちゃうよ?」 例の完璧な笑顔を向けられ、千夏はドギマギしてしまう。「可愛いな、先生は」「からかわないでください」「からかってないって。ね、それ開けてよ。俺も開けるから」 成也は紙袋から青いギフトボックスを出しながら言う。 千夏は丁寧にラッピングを外し、箱を開けた。中には薄手のストールが入っていた。白と黒の大柄チェックで、仕事中にも身につけられそうだ。「それなら夏でも使えるだろうし、髪をまとめてもいいんじゃない?」 成也はストールを箱から出すと、千夏の首に巻きつける。「うん、よく似合ってる」「ありがとう、ございます……」 気恥ずかしくなって、ストールに顔を埋める。「まさかこんなにいいライターもらえるなんて思わなかったよ。ありがとね、先生。しかも俺のイニシャルまで入ってる」 顔を上げると、成也は嬉しそうにジッポライターを眺めていた。「いえ、気に入っていただけたようで何よりです」 千夏が小さく微笑むと、成也も笑みを返し、甘い空気が事務所に漂う。 「見てるこっちが恥ずかしくなるよ……」 煙草を買いに行っていた幸男は、そっとドアを閉めて気まずそうに頬を掻いた。若いふたりの邪魔をしてはいけないと、煙草を吸いにいつもの喫煙所へ向かった。
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