――聖帝国暦六四五年十二月下旬。 戦艦ハヌマーンに率いられた大公国軍艦隊は、大公国首都星クラウゼンの衛星軌道上へ到達した。 帰還した艦隊は、勝者の列というにはあまりにも傷ついていた。 外装甲を失った艦。片舷を焼かれた巡洋艦。推進機を応急修理だけで動かしている駆逐艦。 艦列の中には、曳航されるだけの鹵獲艦や、白い識別灯を灯した病院船も混じっていた。 惑星への着陸は、まず病院船に優先して許可された。 重傷者を運ぶ医療シャトルが、次々にクラウゼンの大気圏へ降下していく。 宇宙港の収容能力には限りがあったため、多くの艦艇の乗員は、専用シャトルに分乗して地表へ降り立った。 彼らを最初に待っていたのは、戦勝の歓呼ではなかった。 戦没者への追悼式典である。 首都中央広場には、黒い布で覆われた祭壇が設けられていた。 そこには、サーペント要塞解放戦、惑星ペルーン攻略戦、小惑星帯艦隊決戦で命を落とした兵士たちの名が刻まれている。 その中でも、ひときわ大きく扱われた名があった。 カタコン中将。 かつて帝国軍の将でありながら大公国へ身を寄せ、老兵と傷病兵を率いて惑星ペルーン攻略戦に加わった男である。 彼は地下要塞の最終攻撃で、ノーム人部隊の先頭に立った。 銃を握ることすら許されなかった者たちを兵士として扱い、自らの階級章も勲章も捨て、彼らの前を歩いた。 そして敵の集中射撃を浴び、帰らぬ人となった。 カタコンは二階級特進を受け、上級大将として埋葬された。 葬儀には、多くのノーム人が参列した。 エジルもその一人だった。彼は祭壇の前で膝をつき、棺へ向かって震える声を漏らした。「……将軍」 それ以上の言葉は続かなかった。 周囲では、老兵たちが帽子を取り、黙って頭を垂れている。 ノーム人の中には、声を殺して泣く者もいた。 彼らにとってカタコンは、ただの将軍ではなかった。 初めて、自分たちを戦場の荷物ではなく、兵士として扱った人間だった。 だからこそ、その死は重かった。――葬儀の三日後。 首都クラウゼンは一転して、戦勝式典の熱気に包まれた。 大通りには軍用車両が並び、帰還兵たちが市民の歓呼を浴びながら進んだ。 沿道のビルには大公国旗が掲げられ、窓や屋上からは色鮮やかなテープが舞った。 花束が投げ込まれ、子供たちが手を振り、着飾った娘たち
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