「ツーシーム。実は、中央政府のマリアーヌ=ローゼンタール総統から親書が来ているんだ」 ユリウスはツーシームの私室で、そう悩みを打ち明けた。 部屋には、さしたる明かりもない。 窓から差し込む星明かりと、ツーシームがくわえた安煙草の火だけが、時折、ユリウスの若い顔をぼんやりと照らしていた。「……え?」 ツーシームは煙草を指に挟んだ。「ノクターン公爵が死んだ後の、中央政府の事実上のナンバーワンじゃないか。何を言ってきたんだい?」「それがね……」 ユリウスは少し言いよどんだ。「中央政府の皇帝と僕、そのどちらについても正統性を否定しないことにして、互いの支配地域を尊重し、休戦したいと申し入れてきたんだ」「へえ」 ツーシームは、ゆったりと紫煙を吐き出した。「まあ、つまりは、あっちはあっちで大変ってことなんだろうねぇ」「僕もそう思う」 中央政府は、ユリウスたちに同調して起こった各辺境地域の反乱を抱え、ルドミラ教国とも敵対している。 いかに旧帝国最大の勢力とはいえ、すべてを同時に相手にできるほど余裕があるわけではない。 だからこその休戦なのだろう。 ユリウスはしばらく黙っていたが、やがて小さな声で尋ねた。「ツーシームなら、どうする?」「あたし?」「うん」 ツーシームは煙草を灰皿に押しつけながら、嫌な笑みを浮かべた。「いまや坊ちゃんには、大勢の家臣がいるじゃないか。元帥だの伯爵だの、大層な肩書きの連中が山ほどいる。そんなの、やさぐれた宇宙海賊風情に聞かなくてもいいんじゃね?」「意地悪を言わないでよ」 ユリウスは困ったように眉を下げた。「重臣たちの多くは、もともと中央政府や大公家に仕えていた人たちなんだ。地方貴族だって、僕に忠誠を誓ってはいるけど……」「信用できない?」「そこまで言うつもりはないよ。でも、内心では自分の領地や家のことを一番に考えている。それは分かっているから」「まあ、自分のことを一番に考えるのは普通だけどねぇ」 ツーシームは新しい煙草へ火をつけた。「で、こっちとしても、旧第六総管区を手に入れたばかりだ。領地を整理して、軍を立て直して、税の仕組みも整えなきゃならない。中央政府との休戦そのものは、悪い話じゃない」「うん」「問題はルドミラだね」 ユリウスは黙った。「中央政府と休戦すれば、ローゼンタールは安心
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