あまりに緊張して、心臓が飛び出してしまいそうだった。 本当に兄さんが———まさか、リーリエの記憶が戻ったのか? いや、戻したのか? 「アイザック様。」 「リリーさん。こんにちは。」 「こんにちは。今日も魔獣討伐に? お疲れさまでした。」 「ええ、さすがリリーさんですね。 なんでもお見通しだ。 リリーさんの顔を見ただけで、疲れが癒やされます。」 あの、恐ろしい魔力を持っていた兄さんが笑ってる。 「も、もう……っ。アイザック様は、相変わらずお世辞がお上手ですね。 最高位の魔術師であるアイザック様に褒められると、困ります。」 まるで少女のように恥じらい、顔を赤らめるリーリエがいる。 なんだ?この二人。記憶は戻ってない? それにしても、なんだ、この二人の甘い雰囲気は……… リーリエのあの笑顔は。私はここ数年、君の笑顔なんか見てないのに。 なぜか胸がムカつき、私は足早に娼館を離れた。 「このまま皇宮に引き返してくれ。」 だが、今はそんなことに気を取られている場合じゃない。 兄さんがもし、私とロベリアの事を知ったら大変だ。 何とか、ロベリアとの不倫の事実や、リーリエに着せた罪を隠さないと。 こうして私は皇宮に引き返し、あらゆる事態に備えようとしたが——— 「何だって?あの下級騎士が行方不明に?」 リーリエとの不貞行為を偽ったあの下級騎士が、行方不明になったと言う。 彼は病気の家族のためにこの提案に乗り、多額の金を受け取って騎士を辞め、外れの村で暮らしていたのだが。 待て、落ち着け。まだ決まった訳ではない。 ただ、生活が嫌になり失踪しただけかも。 だが、皇宮に帰るともっと恐ろしい事実が判明する。
더 보기