「分かった、隠し事は無しだ。だが、母さんにはまだ会わせられない。それは分かってくれ」 「分かった、もうあなたのお母様に会おうとしない」 百合が言うと、秋明は安堵したように口角を上げる。 「それを聞いて安心した。そうだ、お前にまだ、あのことを話せてなかったな」 「あのこと?」 百合が小首をかしげると、秋明は不敵な笑みを浮かべ、身を乗り出す。 「宝生家の金庫を、取り返した」 百合は驚きのあまり目を見開く。熊谷家に騙され、奪われたという宝生家の、アレグリアの希望。それがようやく、本来の所有者である百合の元に戻ろうとしている。 驚き、喜び、感動などがないまぜになり、うまく言葉を発せない。 そんな百合を見て、秋明は嬉しそうに笑う。 「いい反応だ。その顔を見られただけでも、金庫を取り返した価値があった」 「からかわないで。でも、本当に? 一体、どうやって?」 「野暮なこと聞くな。さぁ、帰ろう」 「えぇ……!」 会計を済ませると、ふたりは家に向かう。車で2時間以上かかる距離が、もどかしい。 なんとなくスマホを見ると、ニュースアプリの通知があった。開いてみると、熊谷家に空き巣が入ったというニュースだ。 記事によれば、高価な装飾品や絵画、腕時計のコレクションなどが盗まれたという。 「もしかして、この空き巣って……」 「さぁな。俺は別に、書類や金庫を盗んでくるように命令なんかしてないぞ」 わざとらしく言う秋明に、百合は吹き出す。 「ふふ、そうね」 すました顔をして運転する秋明の横顔を見て、百合はある決心をする。 「ねぇ、秋明さん。帰ったら、遺書を見せるわ。それと、遺書と一緒に入ってたものも」 「いいのか?」 「えぇ。あなたは私のために、金庫を取り返してくれた。それなら、私も誠意を見せないと」 「百合……。分かった、帰ったら見せてくれ」 1時間ほど運転した後、ふたりは小休憩をするためにコンビニに立ち寄り、飲み物を買う。買ったばかりのお茶を飲みながら時間を確認しようとスマホを見ると、速報の通知が来た。 百合達が住む街の近くで、殺人事件が起きたというニュースだ。「やだ、隣街で殺人事件ですって」「物騒だな……」 記事を読もうと通知をタップし、百合は絶句する。事件の被害者は、百合にしつ
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