翌朝、百合は目を覚ます。多少寝不足ではあるが、ここで二度寝をしたら、昼過ぎまで寝てしまう気がして、無理やり起きて身支度を整える。 キッチンに行くと、ルリが百合の朝食を並べていた。言いたいことがあったのに、秋明の姿は見当たらない。「おはよう、ルリちゃん」「おはようございます、奥様。旦那様は今日から出張だそうですよ。少なくとも、2日は帰らないとおっしゃっておりました」「そう、ありがとう」 それこそ昨晩言うべきことではないかと思うが、本人がいないのに言っても仕方がない。百合は朝食を食べ終えると、自室でパンフレットを見た。 独立した式場もあれば、ホテルの式場もある。あの秋明が選んだのだから、どこも広々として豪華なのだろう。「ずっと家にいても仕方ないし、見学にでも行こうかしら」 百合は好みの式場をいくつか選ぶと、ネットで予約をした。最後の予約を入れようとしたところで、愛佳からメールが届く。『百合ちゃんどうして来ないの? 具合悪いの? 大丈夫?』 どうやら愛佳達には休んでいる理由は知らされていないようだ。「なんて返信すればいいのかしら……」 悩んだ挙げ句、『家庭の事情でしばらく休むことになったの、ごめんね』と送った。愛佳からは『大変だね。よかったら息抜きに付き合うから、その時は連絡して』とすぐに返信が来る。 百合はお礼のメールを送ると、スマホの電源を落としてからパンフレットに目を向ける。 それから2日、百合はドレスのアイディアが欲しくて式場の見学をしていたが、ピンと来るものがない。秋明のことだから、きっとラグジュアリーな式になるはず。そう思うと緊張してしまい、思い浮かばないのだ。 2日目の昼。式場から出ると聞き馴染みのある声がした。「あれ、百合ちゃん?」 振り返ると愛佳がにこやかに手を振っている。「愛佳ちゃん、どうしたの?」「今日はおやすみなの。百合ちゃんは、こんなところで何してるの?」 愛佳は不思議そうに式場を見上げる。「ちょっと時間ができたから、歩いてたの」 誤魔化そうと咄嗟に嘘をついたが、愛佳の不思議そうな顔はそのまま。「式場から出てきたけど?」 百合は必死に頭を回転させ、次の嘘を見繕う。「実は、知り合いからウエディングドレスとタキシードのデザインを頼まれてたのよ。今日はインスピレーションが欲しくて、式場に来ただけ」
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