澪は不思議そうに眉をひそめた。聡祐に友達追加されて以来、彼からメッセージが来たのは初めてだ。何のつもりなのか、澪には分からない。ただ、聡祐も紗耶の肩を持ち、彼女の言い分をあっさり信じている人間だから、これ以上関わる必要はない。澪は迷うことなく、聡祐をブロックした。そのままアカリ製薬に戻り、また研究室にこもる日々を送った。――聡祐はいつまで経っても返事が来ず、上の空になっていた。いっそのこと、もう一通送ってみることにした。【俺のこと、登録してないんですか?陸原聡祐です】メッセージは送れたものの、いつまで待っても既読はつかなかった。澪にブロックされたかもしれないと、聡祐は察した。「……」聡祐は二秒ほど固まったあと、信じられないものを見るように画面を見つめた。突然火がついたのように怒りが湧き上がったかと思うと、すぐに冷や水を浴びせられた。澪は、自分の誘いを拒んだ。まさか、澪に断られるとは。「聡祐様?」前方の運転手がおそるおそる声をかけた。聡祐は我に返って、険しい顔で言った。「会社に戻れ」――澪は最近、息つく暇もないほど忙しい。K大と共同で進めている新薬の開発は、急ピッチで進んでおり、紗耶たちが薬剤の配合を決めれば、すぐに動物実験と臨床試験に取りかかれる。しかし、向こうからは一向に連絡がない。進捗が滞っているのは気になったが、澪はすぐに催促することはしなかった。なぜなら、今は玲衣の幼稚園の準備を進めなければならないからだ。来月には新学期が始まる。玲衣はK市に暮らすと決めている。入園先も、早く決めなきゃいけない。澪はK市で評判のいい幼稚園をすべて調べ、総合的に最も優れた一園に絞った。名家の子どもも多く通い、教育環境も設備も申し分ない。そのうえ、彼女の現在の状況で入園手続きが可能な唯一の幼稚園でもある。その幼稚園では、保護者がこの地域に住居を構えていることに加え、資産審査も通らなければならない。住民票をはじめ、必要な書類は宇一に用意してもらうほかない。澪が幼稚園に電話をかけると、担当者が丁寧に答えた。「ちょうど空きが出たところです。募集枠は限られていますが、あとお一人だけお受けできます。月曜日にお子さまとご一緒にお越しください。その際に手続きを進めさせ
Read more