瑞穂メディカルがどれほど価値のある会社か、澪もよく知っている。一流の研究者がそろうチームを、紗耶の尻拭いに回した。しかも、最終的な成果も紗耶のものになるのだろう。自分が「K大の責任者を替える」と言ったからだろうか。征司は紗耶の窮地に手を貸す同時に、これ以上彼女を困らせるなと澪を牽制しているのかもしれない。しかし、澪はもうそんなことをいちいち気にするつもりはない。結局今日提出されたのは単なる試験データに過ぎない。肝心な配合については、紗耶はまだ完成させていない。もし期限に遅れれば、容赦なく彼女をチームから外すつもりだ。午後になり、ドキュメンタリーの撮影日程が正式に決まったという連絡が入った。彼らの研究活動に支障が出ないよう配慮した上で、撮影が行われるとのことだ。このドキュメンタリーは非常に意義深く、医学研究の内容を広く伝えることで、人々の役にも立つはずだ。――紗耶は病院で治療を受けている。蓮が時間を割いてお見舞いにやって来た。「澪、本当にそんなことを言ったのか?たまたまアカリ製薬に入っただけで、自分に決定権があるとでも思ってるのか?ずいぶん偉そうな口を叩くんだな」紗耶をチームから外すと脅したのだという。蓮は思わず笑った。澪は自分が何様のつもりなのだろう。知之の決定を覆せるとでも思っているのか。フェイほどの実績があるならまだしも、澪は救急外来で数年働いていただけの末端のスタッフだ。紗耶はかすかに笑った。「私は別にいいの。研究に専念して、一人でも多くの患者さんの役に立ちたいだけだから。澪さんがどうしても男の取り合いにばかりかまけていたいなら勝手にすればいい。私には相手をしてる暇はない」「紗耶は心が広いから助かってるよ。それに、征司が君の味方だ。負け犬は征司に文句も言えないから、君に当たり散らしてるだけだろ」蓮はリンゴをかじりながら、気楽な調子で言った。紗耶はたちまち頬を赤らめた。蓮の言葉に、彼女の心は当然のように喜びと優越感で満たされた。澪のような田舎出身の下っ端と比べることすら、馬鹿馬鹿しいことだ。「征司ってやつ、マジで君を大事にしてるんだ。君が食事も取らずに徹夜ばかりしてるからって、こんなに世話を焼いてくれるなんて。こんな特別扱い、他で見たことないぜ」蓮はからかうように言った。
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