土曜日の朝、瑠衣はいつもより少し早く目を覚ました。カーテンを開けると、まだ柔らかな光が窓から差し込んでいる。時計を見てから台所へ向かい、やかんに水を入れた。コンロに火をつけてから、食器棚を開く。朝食用の皿を取り出し、ついでに湯飲みを一つ出したところで手が止まった。少し考えてから、もう一つ並べる。そこでようやく瑠衣は首を傾げた。 誰かが来る予定があるわけではない。そう思いながら、昨夜使った書庫へ向かった。読み終えた本を棚へ戻し、少しずれていた背表紙を揃える。机の端に残っていた紙片を拾い、棚の隅に溜まった埃を布で払う。普段なら気にしない程度のずれまで直していることに気づき、瑠衣は布を持ったまま動きを止めた。 「……何してるんだろう」 独り言のように呟いたものの、布を置くことはなかった。もう一度棚を見て、斜めになった一冊を押し込む。机の上に置かれていた栞も本の横へ揃えた。やかんが沸いた音がして、瑠衣は台所へ戻った。 それからしばらくして、玄関のチャイムが鳴った。瑠衣は手を拭いて玄関へ向かう。扉を開けると、灯がいつもの鞄を持って立っていた。 「こんにちは」 「こんにちは」 「今日は少し早く来ました」 瑠衣は玄関脇の時計を見る。いつもより数分早いだけだった。 「そうですね」 灯は靴を脱ぎ、いつものように端へ揃えた。瑠衣はその様子を見てから、書庫へ続く廊下を先に歩いた。 台所へ戻り、二人分のお茶を淹れる。やかんから湯を注ぐと、茶葉の香りがふわりと立ち上った。湯飲みを盆へ載せて書庫へ運ぶと、灯はすでに窓際の椅子へ座っていた。手元には一冊の本が開かれている。 「どうぞ」 「ありがとうございます」 灯が湯飲みを手に取る。口をつけて、一口飲んだ。 「今日は少し濃くしました」 「……分かりましたか?」 瑠衣は自分でも少し驚いた。灯は湯飲みを机へ戻して、瑠衣を見る。 「いつもより少しだけ」 「覚えてるんですか?」 「毎週淹れてますから」 そう答えてから、瑠衣は自分の湯飲みに手を伸ばした。言われてみれば、その通りだった。何度も同じ場所でお茶を淹れていれば、相手
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