土曜日の朝、スマホに連絡が来ていた。 後輩の橘さんからだった。入社四年目で、普段は真面目に仕事をする子だった。「先輩、急で申し訳ないんですが、今日婚活パーティーに申し込んでいて、一人で行くのが怖くて。もし時間があれば付き添ってもらえませんか」 断ろうとした。 でも橘さんは今まで一度も無理なことを頼んできたことがなかった。仕事でも、プライベートでも、誰かに頼ることが苦手な子だった。それが連絡してきたということは、本当に困っているのだと思った。「午前中だけなら」 返信した。 会場はホテルの宴会場だった。 受付を済ませると、スタッフに名札を渡された。参加者は二十人ほどいた。男女が半々くらいだった。 橘さんは瑠衣の隣にぴったり引っ付いていた。戸惑いの表情を浮かべている。「ほら。頑張ってみて。動かないと始まらないよ」「でも…… 緊張しすぎて」 瑠衣は優しい橘さんの背中をさすった。 すると一人の男性がやってきた。彼はまっすぐに橘さんのところにやってきた。好みみたいなのは迷いのない歩みで分かった。瑠衣はそっと距離を取った。「もし良かったらお話しませんか」「で、でもっ……」 橘さんはちらって瑠衣を見た。(頑張れ) サムズアップを橘さんに向ける。彼女は小さく瑠衣に頷いた。「はい、私で良ければ是非」 二人は輪の中に入っていった。 瑠衣は端のテーブルに立った。 ドリンクを手に取った。飲みながら会場を見渡した。知っている人は誰もいなかった。 しばらくして、年配の男性が近づいてきた。四十代くらいだった。笑顔だった。「一人ですか? こういう場は慣れてます?」「初めてです」「そうですか。お綺麗なんだから、もう少し若ければねえ」 笑いながら言った。 悪意がある声ではなかった。それが余計に言葉に詰まった。「今からなら子どもは急がないといけないですよ。頑張って」 また笑った。 笑顔で言っていた。本当に、本人は親切にしているつもりだった。だから言い返せなかった。言い返す言葉が見つからなかった。「そうですね」 それだけ返した。 男性は別の方向へ歩いていった。 ドリンクを飲んだ。 帰ることだけ考えた。橘さんが少し慣れたのを確認してから、声をかけて出た。「先輩、来てくれてありがとうございました」「大丈夫そうでしたね」「もう少しい
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