グランシャリアのスイートルームで薄い桃色のワインを一口飲む。 慎ちゃんが用意してくれた祝杯。今まで飲んできたどんなお酒よりも美味しく思える。 終わってみると、あの緊張や恐怖が嘘のように吹き飛んでいる。 何より、プレゼンをしている彼の雰囲気に、舞台上でも飲まれていた気がする。「おまたせ」 声がしてバスルームの方に向く。 そこにいたのは紛れもない慎ちゃん。 だが、バスローブから覗かせるその筋肉に、思わず見蕩れてしまった。「どうかした?」「う、ううん!」 スーツ越しでは気がつかないほどの隆々とした筋肉。 いじめっ子に囲まれていた姿が嘘のような肉体美に思考が硬直してしまったのだ。「えっとそのぉ」 身体をまさぐるような視線。慎ちゃんも流石に気がついて、「会社に入ってから、漁に出てた時期があったんだ。それで身体が仕上がった」「漁に?」 きっと船頭さんのような立ち位置なんだと、勝手に想像していた。 だって水産業では誰もが知る企業の社長だ。「そうだよ。太平洋でクロマグロを追ってたんだ。うちは一本釣りだったから、100キロの奴とかいた」「凄いのね慎ちゃん」「だから、こんなこともできるんだ」 そう言って、私の膝と首元に腕を回すと、「きゃっ」 ふわりと全身に浮遊感がある。「お姫様になったみたい」「香織は僕のプリンセスだよ」 甘いマスクからそんな言葉が放たれるとは思ってもみない。 私はあからさまに目を彷徨わせ、照れてしまった。「もっと褒めてくれても良いんだよ?」 私をソファに下すと、上目遣いの慎ちゃんにそんなおねだりをされてしまう。 体つきとは対称的で、甘えん坊なのは昔と変わらない。「そうだね。よく頑張りました」 頭を撫でると、子犬のように喜んでくれる。「でもビックリした。レストランのオーナーって、いつの間に考えてたの?」「元々、レストランを開く構想はあったんだ。後ろから豪華客船を見てピンと来た。それにこのツナは今日来てくれた人達に絶賛だったからね」 私はクスリと笑う。「まぁ仕事の話はこれくらいにしてさ」 そっと慎ちゃんはワイングラスを持つ私を抱きしめた。「香織の匂い、凄く安心する」「・・・・・・少し汗臭いかも」「良いんだよ。一緒に遊んだ時の事を思い出す」 すぅっと私の匂いを嗅ぐ。 首元に吹かれる呼吸が
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