足を取られるように、私は微睡みに引かれていってしまった。 けれど暗かった世界が急に晴れ渡って、青色の海の前と砂浜が広がる。 私以外、誰もいない。一人ぼっちの砂浜。 「香織」 慎太郎の声がして振り返る。 スーツからアロハシャツに着替えた彼が、純白の皿を持って佇んでいた。 「おかしいな。さっきまでいた海と、全然違う」 いきなりバカンスにテレポートしてしまったようで、混乱してしまっている。 辺りを見渡すが、延々と続く砂浜と陸地の方にはポツンと家があるだけ。 「さっき?」 「うん。故郷に帰ってたはずなのに」 眠ってしまっていたからだろうか。 夢かうつつか、分からなくなってしまってる。 でも、慎太郎と二人きりになれたのは嬉しかった。 「寝ぼけてるところも可愛いね」 そう言って頭を撫でて、私の隣に座る。 「今日の海はどう?」 「どうって?」 「いつもここから見て、帰ったら教えてくれるじゃん?」 私は言葉が詰まってしまった。 やっぱりここは―― 「笑ってる? もしかして悲しんでるのかな」 「・・・・・・ちょっと、分からないかも」 慎太郎が訝る。 「熱でもある?」 「ないと、思うけど」 身体は軽いし、頭もスッキリしてる。 不安そうな表情をする慎太郎。 けれど遠くから響いた2つの声に、彼は振り返る。 「お母さん」 私は目を見開いて、その方へ目をやった。 それが砂浜で見た最後の記憶。 夢だということを思わせるような、そんな出来事だった―― 毒を盛られた? 僕の街で? 必死にアクセルを踏む心に、そんな疑心が宿る。 綱島グループを継いでからというもの。 興味のない女性達から言い寄られ、時には血が流れることもあった。 だから僕が香織といる事をよく思わない人間がいることも知っている。 誰だ・・・・・・誰がやった。 診療所の横に車を止めた僕はキーを抜くことも忘れて香織を連れ出す。 「綱島さん! キーキー!」 フネシュキーの声にも振り向かない。 医者の女が出てくると、火の付けていないタバコをすぐに戻し、 「奥へ運んで」 踵を返して香織を運んでいった。 「僕がいながら、こんなことに」 診察室の前で、僕は祈りながら悔やむ。 命を賭けても守る。そう言ったはずなのに。 僕が香織を危険に晒してどうする。 愛す
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