翌朝。 慎太郎の顔色がパッと輝いていたのを目にして、 「何か、良いことあった?」 思わず聞いてしまう。 「分かる?」 「なんだかご機嫌だもん。分かるよ」 「実はあったんだ昨日。香織が帰った後にね」 素直に答えてくれるけど、 「へぇ。聞いても良い?」 「それは秘密」 何があったのかまでは、誤魔化されてしまう。 (気になるけど・・・・・・) その笑顔を壊したくなかった。 「そのうち分かるよ香織」 そう言って、頬にキスをした。 会社につくと、私たちを待つように来客があった。 「やぁ慎太郎君」 ソファで小さく手を振ったのは立花さんだった。 (この人、ずっとここに出入りしてるけど、お仕事は大丈夫なんだろうか) と、少し余計な事を考えてしまい、首を振った。 「今日来た訳なんだが」 コーヒーが運ばれてきて、立花さんがそう切り出す。 「最初に二人へプレゼントがあるんだ」 「プレゼント?」 私と慎太郎が顔を見合わすと、 「持ってきてくれ」 と、紙袋を持った細道がその中身を出す。 「これって」 「結婚祝いを渡そうと思ってね」 「でもベビー用品って気が早くないですか?」 思わず尋ねてしまう。 けれど立花さんは首を傾げて、 「え? もしかして僕、少し早とちりしちゃってたかい?」 「いいえ。香織のお腹には赤ちゃんがいるんです。全然早くなんてないですよ」 フォローする慎太郎と訝る私。 なぜ、この人は知ってたんだろう。 「先日、レストランであったときの食事でなんとなくそうだろうとは思ってたよ。だからこれにした」 「やっぱり立花さんには敵わないや」 「競ってるわけじゃないさ。経験則だよ」 鋭い洞察力に、邪推してしまったことを反省した。 それから他愛のない雑談を少しして、商談は纏まった。 「また来るよ」 キザに社長室を出て行く彼に、深々とお辞儀する。 「バレてたみたいだね」 「うん」 多分、あのときだ。 サラダしか食べてなかったのを見て、気づいたんだろうと思う。 さりげなく見られていたと思うと、怖くもあるけど。 「ああいうところが、成功の秘訣なのかも」 突き抜けた才能というのは、正しく使えば人の役に立つ。
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