LOGIN【自分に出来ること】愛おしい家族のため〜賢哉SIDE〜「四之宮、奥さん体調どうだ?」「もうすっかり落ち着いたみたいだ」「そっか。良かったな」「ああ、まあな」舞美絵の妊娠がわかってから半年が経ったが、舞美絵の悪阻も落ち着いたようで、最近では動けるようにもなったようだ。お腹の子も順調に育っていて、すくすくと成長しているのが目に見えてわかるようになった。 舞美絵のお腹が前より大きくなって、本当に子供がいるんだなと実感している。お腹の子が時々動くのがわかると、鼓動が聞こえる気がして俺は嬉しくなる。 今まで子供がいる生活のことを想像していなかった俺は、今が一番楽しく感じる。「性別はもうわかってるのか?」「ああ、五ヶ月くらいでもう一般的にはわかるらしい」「そっか。 四之宮のところはもうどっちか聞いたか?」寺巻に子供の性別のことを聞かれたが、俺はまだ性別を知らない。 というのも、舞美絵が俺にはサプライズで性別がどっちかをケーキで教えたいらしく、まだ秘密にされている。「俺はまだ知らされてない」「え、まだ知らないのか」 「今度の検診の後、舞美絵がサプライズで教えてくれるみたいだ」「へえ、サプライズか。 ちょっと面白そうだな」寺巻も俺に子供が出来たこと自体が嬉しいのか、なんだかんだと楽しみにしているらしい。「性別をケーキで教えてくれるそうだ」「ケーキで? ああ、たまに聞くよな」 俺的には、子供の性別はどっちでもいいんだ。 元気に産まれてさえくれれば、どっちでも構わない。「四之宮的には、どっちのが嬉しい?」「まあやっぱり男の子がいいなーとは思うけど、女の子でもかわいいからどっちでもいいかな」「確かに、どっちでもいいかもな」とにかく元気に産まれてくることが、何より一番だからな。「それにしても、四之宮がパパになる日が来るなんてな」寺巻にそう言われて、俺自身もそう言われて「確かにな」と呟く。 「お前が結婚したって聞いた時もびっくりしたけどさ、子供が出来たって知った時はもっとびっくりしたけど……でもお前が幸せなら、俺はそれでいいかな思ってる」寺巻からそんなことを言われると、ちょっと照れる気もする。「お前も幸せになれる人を見つけないとな」俺が寺巻にそう言うと、寺巻は「うるせー。余計なお世話だ」と俺を見る。「……俺にもいつか、家族が
私たちなら、この幸せをずっと守れる。愛おしい家族が増える喜びも、これから一緒に親になっていく覚悟も、全部二人で分け合えるから。この愛おしい気持ちを、私は彼と二人で噛み締めていきたい。「俺には、舞美絵とこの子がいれば充分だ。 他にはもう、何にもいらない」「……私も、賢哉さんとこの子がいれば、もう何にもいらないな」「そうだな」私たちは、この子が産まれて来るのを今から楽しみにしてるんだ。 新しい家族が増えることを、心待ちにしている。「悪阻、平気か?」「うん、今のところ大丈夫」「ゆっくり休んでて、舞美絵」「ありがとう」私は、彼と家族になったあの日から、私の心に灯を灯してくれている。✱ ✱ ✱「舞美絵、行ってくるな」「あ、ちょっと待って」 「ん?」 私は賢哉さんに朝握ったばかりのおにぎりを手渡した。「はい、おにぎり。 今日もお仕事頑張ってね」「いつもありがとう、舞美絵。助かるよ」仕事に向かう賢哉さんに「行ってらっしゃい」と手を振った。「よし、洗濯しよっと」 あれから数ヶ月が経ち、私のお腹は以前よりも大きくなった。 無事に安定期を迎えることも出来、お腹の子の経過も順調だ。最近ではお腹の子の鼓動を感じるようになり、動くのがわかるようになってきた。 もちろん、出産まではまだまだなので、油断は禁物だ。 悪阻に耐えながらの数ヶ月は本当に辛いことも多かったけど、賢哉さんが隣にいてくれたから頑張って乗り越えることが出来た。私は一人じゃないからこそ、頑張れたと思う。「赤ちゃん、元気ですか? 居心地はいい?」 鼓動を感じるようになってから、こうやってたまに赤ちゃんに話しかけたりしているけど、聞こえているのかはわからない。 だけどちゃんと感じるその鼓動は、私たちが一番嬉しい。 この子がちゃんと生きているって、一番近くに感じる。 「ママとパパは、あなたが産まれて来るのとても楽しみなの」お腹の中で動くたび、そう思う。 お腹の中で動いている時、この子はちゃんと生きているんだと感じる。 賢哉さんにとっても、それはとても嬉しいことみたいだ。悪阻も落ち着いたところで、私はまた家事を再開し、料理もまた作れるようになった。 ご飯のニオイで吐きそうになることもなくなったので、賢哉さんのためにまた料理が作れることの嬉しさを感じていた。
「寝てていいよ、舞美絵」私は静かに頷く。賢哉さんは優しく隣で頭を撫でてくれる。「辛いよな? 代わってあげられなくてごめんな」「ううん……大丈夫」賢哉さんと一緒に乗り越えていくと決めたんだ。私はここで負けたくない。「俺に出来ることなんて、ちょっとしかないな」「……そんなこと、ないよ。 私、賢哉さんがそばにいてくれるから、頑張れるんだよ」頭を撫でながら、賢哉さんは「そっか」と呟く。「これからも、こうして看病してくれると助かります」「もちろんですよ、奥様」賢哉さんは優しく微笑んだ。 ✱ ✱ ✱あれから賢哉さんに支えてもらいながら、なんとか悪阻を乗り越えていた。 病院の診察でも体重が減っていることを指摘されたが、なんとか食べれるものを食べて過ごしている。「いただきます」今私が一番食べられているのは、フライドポテトだった。 フライドポテトなんて絶対に無理だと思っていたのに、いざ口にしてみたら普通に食べられてびっくりした。唐揚げとかチキン南蛮は無理だけど、フライドポテトだけはなぜか食べたくなって、今はよく食べている。「今日もポテトか?」「うん、ポテトしか無理……」賢哉さんは「そっか。ポテトしか無理か」とポテトを眺めている。「あ、でもね、ハンバーガーも食べたよ」「ハンバーガー食べたのか?」「うん、なんかすごい食べられたの」賢哉さんも「そんなこと言うから、俺もハンバーガー食べたくなってきたな」とソファに座る。「実は、ハンバーガー賢哉さんの分もあるよ」「え、あるのか?」賢哉さんにあのファーストフードの袋を見せると、賢哉さんは「マジか、あるのかよ」と嬉しそうに笑った。「もちろん、あるに決まってるよ」賢哉さんにはもちろん、照り焼きバーガーのセットにした。「しかも俺の好きな照り焼きバーガーじゃん」「そうだよ。私はベーコンエッグバーガーにしたけど」「ずいぶんジャンキーだけど、大丈夫なのか?」私が「それがね、不思議なことにこれはすごい食べられるの」と話すと、賢哉さんは「そっか。食べれるものを見つけたのは良かったよ」と言ってくれた。「うん、本当に。今は毎日これが食べたいくらいだよ」「毎日? そうかあ」賢哉さんも「いただきます」と照り焼きバーガーにかぶりつく。「うん、相変わらず美味いな」 「うん、美味しいよね」どう
妊娠が発覚してから一ヶ月、私は悪阻に悩まされている。 そんな中でも、賢哉さんがそばにいてくれるおかげで、一人じゃないと思える。賢哉さんは仕事中もずっと心配してくれるせいか、頻繁に連絡をくれる。 そんな私は、賢哉さんの支えもあって、なんとか乗り越えられる気がしている。 「うぅ……気持ち悪い……」 悪阻にも個人差があるとは聞いているけど、私はどうなんだろうか……? 今のところまともに食べられているレモンやグレープフルーツなどで、上手いこと悪阻と戦えているような気もするけど……。「レモンが……欲しい」レモンを口にするだけで少しマシになるけど、またすぐに悪阻に襲われ、結局起き上がれない日が続く。 最近では家事も疎かになってしまっているので、賢哉さんには申し訳ない気持ちになる。「……はぁ」 賢哉さんは優しいから「そんなこと、気にしなくていい。自分のことだけ考えて」と言ってくれるから、私はその言葉に甘えさせてもらっている。 「うぅ……っ」食べたいのに食べられないって、こんなにももどかしいのか……。 「まだ帰ってこないかな……」悪阻のせいなのかはわからないけど、一人でいると寂しくなるし、辛くなる。 とりあえず動くこともままならないので、寝ていることしか出来ない。【もう少しで帰る】こうして賢哉さんから連絡がくると、ちょっとだけホッとするんだ。【うん、気を付けてね】気持ち悪さに耐えながら賢哉さんが帰ってくるのを待っていると、ガチャと玄関が開く音がした。「ただいま、舞美絵」「賢哉さん……おかえりなさい」 賢哉さんは起き上がろうとする私に「あ、寝てていいから」と言ってくれた。「体調はどうだ?」私は首を横に振ると、「無理っ……」と答える。「パイナップル、食べるか?」「……食べれるかはわからないけど、挑戦してみる」賢哉さんは「わかった。用意するから待ってて」とキッチンでパイナップルを用意してくれる。パイナップルのニオイがふんわりと漂ってくるけど、パイナップルのおかげか気持ち悪さが少しだけ緩和された気がした。「舞美絵、パイナップルだよ」「……ありがとう」身体を起き上がらせて、パイナップルを一つ口にする。「どうだ? 食べられそうか?」「これなら……食べられそう」「そうか。良かった」パ
「ゆっくり、無理しないで食べれるものを食べてみよう」「うん」 レモンを食べていたことで少しだけつわりが落ち着いたのか、ちょっとだけ笑顔が戻った。「レモンって、こんなに美味しいんだね」「……良かったな。食べられて」当分、舞美絵のためにレモンを冷蔵庫にストックしておいたほうがいいかもしれないな。いつでもきっとレモンがあれば、きっと安心するだろうし。「酸っぱいものなら、パイナップルとか、食べられそうなら買ってくるけど」「パイナップル?……え、それも食べたい」とにかく酸っぱいものならなんでもいいって、感じなのか? とにかく酸っぱいフルーツなら食べられそうってことなのか?レモンにパイナップル、念の為グレープフルーツもストックしておくことにしよう。 舞美絵が少しでも食べられるものを、増やしていかないと……。 「もずくにレモンのおかげか、ちょっと楽になったよ」「良かったな。 また後で食べられそうなら、食べていいからな」「……うん、ありがとう」舞美絵が今つわり中なので、自分の分の夕食はつわりが落ち着くまで、舞美絵がいない時に食べることにした。 食べ物のニオイで気持ち悪くなる今、俺が普段食べているものを見たらそれだけで気持ち悪くなるはずだ。今はご飯のニオイがダメらしく、炊きたてのご飯はNGとなっている。 ニオイの強いニンニク系も絶対に避けなければならない。もちろん、カレーとかニオイの強いものもなるべく舞美絵の前では食べないように心掛けないと。「とりあえず、洗濯物洗わないと……」「いいよ、洗濯なら俺がやるから」「でも……」俺は舞美絵をソファに座らせると、「いいから、舞美絵は無理したらダメだろ? 俺が出来ることは俺がやるから、舞美絵は休んでて」と舞美絵の頭を撫でる。「……ありがとう、賢哉さん」「舞美絵、無理は禁物だからな? わかったか?」俺の言葉に舞美絵は「うん、わかった」と微笑む。 俺はそんな舞美絵のおでこに、キスを落とした。
でも寺巻はきっと、大切な人を失ったからこそ、人の幸せを誰よりも考えられる人なんだと思う。 自分の幸せより人の幸せを願うのが、寺巻という人だ。「子供かあ。 いいよな、子供」「まあ……今は辛い時期だから、俺が支えてやらないとな」「頑張れよ、パパ」寺巻は俺の肩を叩く。「……そうだな。頑張らないとな」俺は舞美絵のためにも、子供のためにも頑張らないとならない。「寺巻、四之宮、ちょっといいか?」「はい」上司に呼び出された俺たちは、上司の元へと駆け寄った。 ✱ ✱ ✱ 「ただいま、舞美絵」仕事を早めに終わらせて家へと帰宅すると、リビングの電気が付いていた。「あ、賢哉さん……おかえりなさい」舞美絵はリビングのソファで寝転がっていたが、すぐに起き上がった。「舞美絵、体調どうだ……?」「んん……あんまり良くないかな」確かに舞美絵の顔色は、あまりいいとは言えない。 顔が色白い感じだ。「そうか。なんか食べられそうか?」舞美絵はクッションを抱えながら「……うーん、わからない」と答える。「お茶でも飲むか?」「ノンカフェインのお茶……飲みたい」「わかった。ちょっと待ってて」舞美絵のためにノンカフェインのお茶を淹れる。「舞美絵、お茶だ」「……ありがとう、賢哉さん」舞美絵はマグカップを受け取ると、フーフーしながらお茶を飲む。「飲めそうか?」「うん……大丈夫みたい」「良かった」舞美絵の顔色がだいぶ良くないので、すごく心配になる。「今日、何か食べられたか?」「ちょっとだけ梅干し食べたけど、あとはほぼお水だけ……」 「そうか」 舞美絵はほぼ水しか飲んでいないと言っていたが、飲んでも吐いてしまうせいかほぼ痩せていく一方になる。「梅干し、食べるか?」「梅干し……でも、なんか違う」「違う?」何が違うんだ……? 違うってなんなんだ?「もずく……」「も、もずく?」「もずく……食べたい」もずくが食べたい? もずく……。変わったものを食べたくなるんだな。「冷蔵庫にもずくはあるか?」そう聞くと、舞美絵は首を横に振る。「もずくないのか……。買って来ようか?」「……いいの?」そんな目で見つめられたら、買いに行くしかないだろう……。「もずくの他は何か食べたいものあるか?」「……レモン」「レモン?」もずくにレ