週末。 私たちは約束どおり、アークライト魔法公爵家を訪れていた。「わあ……」 馬車を降りた私は思わず声を漏らす。 目の前に広がっていたのは、大きな白亜の屋敷。 でも、ランカスター家とはどこか雰囲気が違う。 庭には見たことのない植物が植えられ、噴水の周りには色とりどりの花が咲いている。 その上、庭のあちこちに小さな光の玉がふわふわと浮かんでいた。「お父様、あれ!」「ああ、魔法の灯りだよ」「昼間なのに?」「実験も兼ねているんだろうね」 さすが魔法公爵家。 庭まで研究施設みたい。「シェリル様!」 玄関からリディア様が笑顔で迎えてくれた。「ようこそいらっしゃいました。」「本日はお招きいただきありがとうございます」 お父様が一礼する。 私も続いて頭を下げた。「こんにちは」「ふふ、いらっしゃい。」 リディア様は優しく微笑む。「サイラス、シェリル様がいらしたわよ」 すると。 廊下の奥から、小さな足音が聞こえてきた。「……来た」 サイラスだ。 相変わらず無表情だけど、その足取りは前のお茶会より少しだけ速い。「こんにちは」「こんにちは」 私も笑って挨拶を返す。「今日はよろしくね」「うん」 それだけ言うと、サイラスはじっと私を見つめた。 ……また見られてる。 何だか少し落ち着かない。「サイラス?」 リディア様が苦笑する。「まずはご案内でしょう?」「あ」 ようやく我に返ったらしい。「こっち」 くるりと背を向けて歩き始める。
Zuletzt aktualisiert : 2026-07-09 Mehr lesen