「お疲れさん!……今日もいい顔してたよ〜」都内、某スタジオ。遠慮なくカメラマンに叩かれ、白いランニングから出た肩に赤く手形がついた。それを見た三井が短く叫ぶ。「ありがとうございます。……またよろしくお願いします」文句を言いたげな三井の腕を引っ張り、スタジオを後にした。「……まったく、あのカメラマンはタレントに対する扱いが雑なのよね。大雅さんがうちの事務所にとってどれほどの価値があるか、ホントにわかってない!」本当はズラのくせにっ!……と、車に乗り込んだ三井が毒舌を披露する。「まぁまぁ。あんまり火を吹くと、また更年期ババァだって噂されるよ?」「……また?またってなんです?更年期ババァって?再びって?」冗談じゃない!と怒る三井の運転が荒くなる。……おいおい、俺は事務所の大事な商品じゃないのか?急カーブに体を斜めに持っていかれながら、大雅は携帯を取り出してチェックをした。撮影中、着信とメッセージが入っていたようだ。「花と、山崎から……」2人は今、花の父親の消息をたどり、地方の山奥へ行っている。後から合流すると言ったが、撮影が押してこのあとのスケジュールを考えれば……多分不可能だ。それを、伝えなければならないと思っていた。「……父親は消息を消した後だった?」これから東京に戻るというメッセージのすぐ後に、父親からの封筒を叔父に渡された、とある。「封筒、ということは、手紙か」そのメッセージの欄に、続けて着信マークが2回ついていた。花の携帯からだ。「大雅さん、このあとCM撮影の後、ドラマの撮影になります。最後にVÉLOURSツアー公演のざっくりした流れを通してもらいますので、各撮影のセリフ等のチェックをお願いします」「はいはい了解です」撮影を自分のミスで長引かせるな、という指示だ。大雅は急いでメッセージを返して携帯をしまい、台本を取り出す。「声にしてセリフを言ってください。今日の分は私も暗記してますから」「あぁ、それじゃシーン132から……」『帰ったら聞く。ごめんな』そうメッセージしたあとで、冷たい言い方だったのではないかと後悔する余裕はなくなった。「大雅さん……お帰りなさい」日をまたぐギリギリの時間になって帰宅すると、花が目を赤くして出迎えてくれた。「ただいま……大丈夫か?」軽く抱き寄せてから、リビングへ行き、ソフ
Last Updated : 2026-09-10 Read more