花の手は、うつ伏せに寝ている春希の背中に置かれている。……ポンポンと落ち着かせるよう小さく叩いて、そのうち眠くなってしまったのを覚えている。 今、その手の上に大きな手が重なっているのだ。その手はもちろん…… 大雅の手。 ……大雅さんも寝ぼけて、私と同じようにポンポンしようとしたのかもしれない。 春希はよく眠っているが、そのすぐ向こうに大雅さんの寝顔がある。 その距離の近さに、花の心臓が踊りだす。 ……リビングに戻って寝るべきだろう。そう思って大雅の手の下にある自分の手を引き抜こうとした。すると、瞬間的にギュッと掴まれ、声を上げそうになる。 なんだろ、これ…… 春希の背中の上でつながれた手は、花に意外なドキドキと喜びを与えた。 「……うわっ!」 再びウトウトしたらしい花が目を覚ましたのは、大雅の驚いた声と離れていく手の温度を感じて。 「あ……おはようございます。こんなところにいてすみません。リビングへ戻ろうとしたのですが、手……手が離れていかなくて、ですね」 朝イチ、眉間にシワを寄せた怖い顔。 ……悪いのは私ではないと言いたい。 「私の手を離さなかったのは大雅さんなので……一応言っておきますが」 尻すぼみに小さくなる声を聞きながら、大雅は体を起こした。 ……出かける準備をするだろう。 それを合図にして花も立ち上がり、その拍子に春希の寝顔を見た。 「あ、れ?春くん?」 顔が赤く、呼吸が早い…… 「これ、病気ですね……インフルエンザとかの、感染症」 「……え?」 花はすぐに部屋の窓を少し開けた。 「ダメっ!近寄らないでくださいっ」 大雅が春希のそばに寄り、あろうことかおでこをくっつけて熱の具合を確かめようとしている。 「なにやってるんですか?!熱は体温計で測るんです!」 「だいたいこれで熱がわかるから、確かめようとしただけだろ」 「は?……昭和ですかっ?!……とにかくうつるといけないので、さぁっ!どいたどいたっ」 突っ張りよろしく大雅を追い出し、花は春希のそばに行った。 「春くん、お熱あるみたいだね……どこか痛いところあるかな?」 朦朧とした様子で……返事はない。 急いで部屋を出ると、目の前に大雅がいた。心配で部屋の外にいたのだろうが、それにしてはラ
Last Updated : 2026-07-25 Read more