「今夜なんだけどさ、結葉はどうしたい?」 沢山の荷物を抱えてアパートに戻ってきて。 それらをリビングの床にドサリと下ろすなり想に世間話でもするみたいに問いかけられて、結葉はキョトンとする。「一応俺もお前も……その……男と女だろ? お前が俺とひとつ屋根の下で寝んのが不安なら……俺はしばらくの間実家で寝泊まりしても構わねぇと思ってる」 言ったら、結葉が初めてそのことに気づいたように瞳を見開いて真っ赤になった。「想ちゃ……、私……」 ――すっかり失念してた。 小声でそう付け足すなり、ソワソワと想を見詰めてくる結葉の黒目がちの瞳が可愛くて、想は目まいがしそうになる。 結葉も実妹の芹も、想にとっては幼い頃から可愛がってきた守るべき存在だ。 だが、想が芹と結葉に感じる思いは、時折明らかに違っていて、それを実感するたびに、想は密かに戸惑った。 一時は掴めていたその感情の正体を、いまは認知するわけにはいかないと思っている想だ。 自分は結構自制心が強い方だと思っていたけれど、結葉のように見目麗しい女の子から、不意に余り可愛いことをされると、それがぐらつきそうで怖くなる。 そんな不安定な感情を誤魔化すように、「ん?」と努めて平坦な声音で問いかけながら食器類の荷解きを開始したら、結葉が不安そうに視線を揺らめかせて。「結葉?」 その戸惑いを払拭してやれたらと、手を止めて声を掛けたら、結葉が荷物に載せたままの想の手の甲に、そっと触れてきた。 突然そんなことをされて……。 それじゃなくても落ち着かない思いだった想は
Dernière mise à jour : 2026-08-28 Read More