All Chapters of 結婚相手を間違えました〜従順妻はヤンデレ執着夫の重すぎる溺愛から逃げ出したい〜: Chapter 11 - Chapter 20

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3.近付くふたりのその裏で③

「どっ、どうって……」 そこで一瞬口ごもってから「す、すごく……感じのいい先生だった、よ?」と母親の方を見ないでつぶやく。 何だかいま美鳥に顔を見られたら、変な勘ぐりを入れられそうで怖かったからなのだけれど、どうしてそんなことを思ってしまったのかは、結葉自身にもよく分かっていなくて。 「すっごくいい男だったのね」 なのにさすが母親というべきか。 美鳥の確信めいた言葉に、結葉はカップを持つ手がピクッと跳ねた。「な、なんでそんなこと……っ」 ソワソワと視線を彷徨わせながら言ったら、「あの病院の院長先生がハンサムっていうのは満場一致でよく聞く話だもん」と美鳥が笑う。 その言葉に結葉は観念したように「……芸能人かと思うくらいハンサムな先生だった」と溜め息を落とす。 正直、幼なじみの想以外に、結葉があんなに胸をときめかせたのは初めてかも知れない。「もし先生とうまくいったら、想くんのこと、諦められそう?」 母親に労わるような声音を投げかけられて、今度こそ結葉は驚いてしまった。 想に片思いをしている話を、結葉は両親のどちらにも言った覚えなんてなかったからだ。「えっ」 驚きの声を発すると同時に美鳥の方を見たら、「気付いてないと思ってた?」と淡く微笑まれて。 その言葉に真っ赤になってうつむいたら、「何年貴女のお母さんをやってると思ってるの?」って頭をふんわり撫でられた。「だからね、想くんに彼女が出来たって聞いた時、お母さんゆいちゃんのこと心配だったの。だけど――」 そこで結葉の方にくるりと身体ごと向き直ると、美鳥がにっこり微笑む。「さっき福ちゃんと一緒に帰って来たゆいちゃんの表情を見てね、お母さん『あれ?』って思ったのよ?」  美鳥の言葉に
last updateLast Updated : 2026-07-23
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3.近付くふたりのその裏で④

「ゆいちゃん、ずっと想くんばかり見てたでしょう? お母さん、ゆいちゃんには幸せになって欲しくて。でも……だからって無理矢理違う人に会ってみない?っていうのも違う気がして……。お父さんと2人、このお話を進めるべきか否か、ずっと迷っていたの」  父茂雄の勤め先の上司が、今時珍しく見合いの世話人をするのが好きな人で、御庄家の一人っ子である偉央の見合い相手を探していたらしい。 今現在30歳の偉央と、22歳の結葉の間には歳の差が八つ。  見目が麗しい上、とても優秀な人材だという話は上司から散々聞かされていたけれど、茂雄にとって偉央は娘の相手としては歳が離れすぎていて「うちの娘とかどうでしょう?」みたいな気持ちにはならなかったそうだ。「誰かいい女性が見つかったら真っ先に部長にお声を掛けますよ」 そう言って笑った茂雄だった。  そもそも一人娘の結葉が、隣に住む幼なじみにずっと片思いしていたのは茂雄も知っていたし、娘の一途な思いを考えると、別の男を勧めてみる気にはなれなかったのだ。 だけど。 家でたまたま妻――美鳥にその話をしたら、「想くんには彼女が出来て家を出たみたい」と聞かされて。 娘の耳にそのことが入るのも、そう遠い未来ではないだろうねと夫婦で溜め息をついた。「年は離れていますが、うちの娘とかいかがでしょう?って部長さんに打診してみたら?」 そう美鳥が茂雄に提案していた矢先だったのだという。  結葉が、ハムスターを飼いたいと二人に持ちかけてきたのは。 「ゆいちゃんには悪いと思ったんだけど……何だかこれもご縁なんじゃないかと思っちゃって。お母さん、お父さんに頼んで先方さんにゆいちゃんの釣書と写真、渡してもらったの」 写真は二年ほど前のものだけど、そんなに見た目が変わっていないから、と成人式の時に振り袖
last updateLast Updated : 2026-07-23
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3.近付くふたりのその裏で⑤

 結葉の反応を見て、娘も満更ではなかったと思った美鳥は、今こうして結葉に全てを打ち明けたのだ。「御庄先生、ゆいちゃんに何も言わなかった?」 きっと、今日結葉が行った際、釣書を見ている偉央は結葉が見合い相手になるかもしれない女性だとすぐに気が付いたはずなのだ。 何らかのリアクションはなかったのかと美鳥が気にするのも無理はないことだろう。「べっ、別に何も――」 強いて言えば、診察室に入ってすぐ、結葉がキョロキョロ室内を見回していたのを、静かに見守ってくれていたことが引っ掛かった結葉だ。 普通ならすぐにでも声を掛けて、結葉の暴走を止めた方がスムーズに診察が進んだはずで。 それをしなかったのは、もしかしたら偉央の方も診察室を見回す自分を観察していたのかも知れないと気が付いて、結葉はにわかに恥ずかしくなる。「わ、私っ、診察室でキョロキョロしちゃって……」 突然恥ずかしそうに俯いた娘を見て、美鳥が小首を傾げた。「御庄先生、何も言わずに私が先生の存在に気付くのを、待ってて下さってた……気がする……」 その時、偉央がどこを見ていたのかとか、何を考えていたのかまでは結葉には知る由もないのだけれど。「それだけ?」 美鳥が結葉の横に再度腰掛けて問うてきて……。 結葉は「往診……」とつぶやいた。「福助の飼育環境を見たいから……って。往診ついでにうちに寄りましょうか?って……言われた」 実はこれ、結葉が、帰宅後真っ先に両親に聞きたかったことだ。
last updateLast Updated : 2026-07-23
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4.結婚を前提に①

 偉央に福助の往診に来てもらったのは、結局見合い後のことだった。 美鳥が昼寝から起きてきた茂雄に、娘にことの顛末を全て話したことを明かしたら、茂雄が世話人をしている上司の顔を立てる意味でも先に見合いをしてから動いたほうがいいだろうと判断したからだ。  結葉が、偉央から教えてもらった連絡先に電話してその旨を伝えると、偉央も賛成してくれて。  結果、面識のあるふたりではあったけれど、世話人のセッティングしてくれたホテルで見合いをする運びとなった。  当日、結葉は薄いピンク色の膝より少し長いパフスリーブワンピースを、偉央はネイビーブルーのスーツ姿で来ていて。 結葉は偉央のスーツ姿を釣書と一緒に入っていた見合い写真で一度見てはいたけれど、やはり実際に目の当たりにするとすごくカッコ良いなと見惚れてしまった。 幼い頃から片思いをしてきた幼なじみの想が、こういう格好をしたところを見たことがないのもあって、結葉は若い男性のスーツ姿に耐性がなかった。(想ちゃん、いつもラフな格好だったからなぁ) 今でも父親の建設会社で働いている想は基本作業服姿で、スーツなんて着ているところは想像がつかなくて。 強いて言えば高校生の頃、想の通う男子校の制服がネイビーのブレザーに燕脂のネクタイ、グレーにタータンチェックのスラックスだったのを見たことがある程度。(想ちゃんの制服姿、すっごく新鮮で見かけるたびにドキドキしたっけ) 偉央のスーツ姿に見惚れると同時に、彼女が出来たと知ってでさえもなお、未練タラタラで想のことに思いを馳せてしまっていた結葉は、「――結葉さん?」という偉央の甘やかで落ち着いた低音ボイスに呼び掛けられてハッとして。「ごっ、ごめんなさい、私っ」 気が付けば、世話人や互いの両親の挨拶な
last updateLast Updated : 2026-07-24
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4.結婚を前提に②

「小林結葉さん。結婚を前提に僕とお付き合いして頂けませんか?」 見合い後も特にお断りする理由もなく。 結葉に一目惚れをした、もっと貴女のことを知りたい、と熱烈に求愛してくれる偉央の熱意に押される形で交際を開始した結葉だったけれど、もともと偉央の見目自体は嫌いではなかったこともあり、少しずつ想へのやるせない恋心の隙間を侵食するように偉央からの愛情が沁み込んでくるのを感じるようになった。 見合い直後に「結婚を前提に」と偉央から言われていたこともあり、交際開始から三ヶ月が過ぎる頃には結葉も偉央との未来を漠然と思い描くようになっていて。 結葉は幼なじみへの片思いの話を偉央にした覚えはなかったのだけれど、何か気付かせるものがあったのだろうか。  偉央は結葉の気持ちの整理がつくまでは、と結葉に手を出すことはなくて、しても触れるか触れないか程度の軽いキス止まりだったし、男性経験のない結葉を気遣うようにそれ以上のことも無理には求めてこなかった。 月に四〜五回程度のデートを重ね、遅くとも22時までには結葉を家まで送り届けてくれる偉央との交際も数ヶ月を過ぎると、結葉の方も自分を大切に扱ってくれる偉央に少しずつ惹かれるようになっていて。 それを確かめるように、偉央はここ最近、必ず別れ際に結葉の額か唇にふわりと掠めるようなキスを欠かさず落とすようになっていた。 「……偉央さん、おやすみなさいっ」 未だそんなティーンのような触れ合いにすら照れて頬を染める結葉が、偉央には堪らなく愛しくて好もしいのだ。 「おやすみなさい」  今夜もそう言って結葉を見送ろうと思っていたのだが――。  助手席のドアハンドルに手を掛けた結葉が、彼女の自宅、隣の家から出てきたTシャツにジーンズ姿
last updateLast Updated : 2026-07-24
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4.結婚を前提に③

「あ、あのっ。偉央さん……っ?」 真っ赤になって、偉央が今しがた唇を寄せたばかりの鎖骨付近に手を当てると、結葉は偉央を見上げてオロオロとした声を出す。「お願いだから……僕以外の男を見ないで?」 ギュッと結葉の頭を抱き抱えるようにして自分の胸元に押し当てると、偉央が小さくそうつぶやいて。 結葉は偉央の心臓が忙しなく鼓動を刻んでいるのに気付いた。 途端、胸の奥がギューッと切ないぐらいに痛くなって、結葉はいつの間にか自分が、幼なじみの想よりよりもずっとずっと偉央のことを好きになっていたことに気付かされた。 きっと自分が不用意にも想の名前なんてつぶやいてしまったから、変に偉央のことを不安にさせてしまっている。 そう思った結葉は、偉央にちゃんと自分の気持ちを伝えないといけない、と思った。「偉央さん、私……」 偉央の胸元、くぐもった声で結葉が言葉を紡ぐ。「偉央さんが心配していらっしゃるように子供の頃からずっと幼なじみの想ちゃんのことが好きでした。でも……今は偉央さんのことが誰よりも大好きです。私、もう、偉央さんしか見えてません」 恐る恐る自分を抱きしめる偉央の背中に腕を回してキュッと抱きついてみたら、偉央が小さく息を呑む気配が伝わってきた。「結葉さん……今のは――」「本心です」 結葉のあごにそっと手を掛けて顔を上向けさせて。 不安そうに瞳を覗き込んでくる偉央に、結葉はにっこり微笑んでみせる。「私、偉央さんが好きです。ずっとずっとちゃんと言葉に出来てなくてすみません」 |偉央
last updateLast Updated : 2026-07-24
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5.永遠の愛を誓いますか?①

 結葉が偉央に気持ちを伝えてからは流れるように結婚の話が進んでいった。 元々見合いがきっかけなのだ。 偉央は最初から「結婚を前提に」と明言して結葉と付き合い始めたし、結葉だってそれを承知した上で偉央との交際をスタートした。 偉央としては気持ちを確かめ合うのが遅過ぎたぐらいに思えたけれど、最初から結葉のペースに合わせると決めていたので、半年以内に結葉から色良い返事がもらえたのはある意味ラッキーだったとも思えて。 見合い相手の結葉にずっと片想いしている相手がいたことは、実は結葉の両親から早々に伝えられて知っていた偉央だ。 そんな、見合いとしては娘の話をまとめるのに不利になりそうなことをわざわざ言わなくても良かっただろうに。  小林夫妻は「娘の全てを知った上で判断して欲しい」と、偉央に釣書などを渡すのとほぼ同時にそのことを告げてきた。 それほどまでに、彼らのお嬢さんにとって、片想いをしてきた相手のことは大きな存在だったということか、と偉央は漠然と思って。  そんな風に誰かを真剣に好きになれる彼女のことを、心底羨ましいとさえ感じてしまったのだ。 結葉の両親の話では、その片想いの相手とやらに、少し前に彼女が出来て家を出て行ってしまったらしい。  それを聞いて落ち込んでいる娘に、新しい恋に目を向けてもらえたなら、と言うのが今回結葉に見合いを進めてみようと思い至った経緯なんだとか。 最初、そんな曰く付きの見合いなんて断ってしまおうかと思った偉央だ。 色恋にあまり興味の持てなかった偉央にとって、そう言う女性は面倒な相手だという認識しかなかったから。 だが、偉央は釣書とともに同封されていた結葉の写真を見るとはなしに見た瞬間から、結葉の愛らしさに自分でも驚くほど一瞬で心奪われてしまった。 別の男のことを想っている女性なんて、と最初は辟易した気持ちで見合いの書類を受け取って。 別に中を見ないままに断っても良かったのに、何となくそんな風に誰かを心底愛することが出来、尚且つ本人自身も両親から気に掛
last updateLast Updated : 2026-07-25
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5.永遠の愛を誓いますか?②

 さすがに結婚式も入籍も終えたとなれば、この新婚旅行中にそういうことになるのは結葉も承知しているだろう。 移動中からやたらと緊張しているように見えた妻の心を解きほぐして、夫婦生活をうまく営めるかどうかを考えると、実のところ偉央自身も不安だらけなのだ。 本当ならばもっと長い期間を使って、海外旅行にでも連れて行けたなら、もう少しのんびり構えていられたかも、と思った偉央だ。 しかし動物病院院長という立場もあって、実際にはなかなか難しくて――。 自分以外に2名の獣医師がいるとはいえ、皆、得意分野に分かれた診察を行なっている『みしょう動物病院』だ。 院長である偉央の担当はフェレット、うさぎ、ハムスターと言った、いわゆる小動物。 犬猫を担当している第三診察室の佐藤英輔に比べれば圧倒的に患畜数は少ない。 けれど、このところクチコミで新規の患者がグンと増えてきているのもまた事実で。 いわゆるエキゾチックアニマルと呼ばれる、犬猫以外の生き物がまともに診られる動物病院というのは、案外まだまだ少ないからだ。 ましてや『みしょう動物病院』のように、それ専門に診ることの出来る獣医師を配している病院はさらに希少で、エキゾチックアニマルと暮らす飼い主たちのネットワークの中で口の端に登り、場合によっては「この病院がいい」などと勧められたりするらしい。 偉央の担当している生き物で言うとフェレットと暮らしている飼い主なんかは特に、「何某さんにお聞きしてきました」と言うのが多めだ。 概してそう言う場合の飼い主は、結構な遠方からわざわざ出向いてくれている。 予防接種などの様な予防診療のみならば、どこの病院でもそこそこの割合で受け付けてもらえるらしいのだが、フェレットに多い副腎腫瘍に対する治療となると、お手上げになる病院が殆どだ。 手術然り、症状を抑えるためのホルモン注射然り。 注射一本とっても、副腎疾患を
last updateLast Updated : 2026-07-25
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5.永遠の愛を誓いますか?③

 そんな感じで、『みしょう動物病院』では基本的には生き物によって診る獣医師を変えるかたちで診療を行っている。 だが、患者の入り具合によっては臨機応変に、診察対象を得意分野以外の生き物にも広げる様にもしていて。 偉央自身も小動物の来院が少ない日には、犬猫を診たり爬虫類や小鳥などを診察することもある。 逆に他の二人――犬猫担当の佐藤英輔と、鳥類、爬虫類・両生類担当の早川汐梨――が、偉央の担当している小動物を診ることだってある。 ディープな診察ともなるとさすがに各々の得意分野に差し戻すが、飼育相談や健康チェック、軽い外傷のような軽微な症状ならばどの獣医師であっても対応可能だからだ。 つまりは……病院長である偉央が不在の間も、少しくらいなら何とかなると言うことではあるのだけれど――。***「ごめんね、結葉。新婚旅行くらいもっとゆっくり出来たら良かったんだけど」 自分が不在の間に、担当の患畜に専門的な治療が必要になる事態が起こらないとは言い切れない。 結果、偉央と結葉の新婚旅行は国内で……。 しかも二泊三日というコンパクトなものになってしまった。「気にしないで、偉央さん。偉央さんがお忙しいのは私、知っています。それなのにこんな風にお時間を取って頂けて……。私、すごく幸せです」 何事に関しても控えめで従順で流されやすいところのある穏やかな性格の結葉は、偉央の都合でこんなことになったのに、不平不満を一切漏らさなくて。 そればかりか「幸せ」だと言ってくれる。 可愛いだけじゃなく、偉央に対してとても誠実で、ある意味〝忠実〟であるようにさえ感じられるぐらい。 こんな風に自分を立ててくれる結葉を、偉央は胸がギュッと締め付けられるほど愛しいと思うのだ。「|結
last updateLast Updated : 2026-07-25
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6. 外は…イヤです*①

 宿泊先のホテルなどを決めた後、偉央は結葉に部屋にはプライベートプールが付いている旨を伝えた上で、「忘れず水着を持っておいでね?」としつこいくらいに念押しをした。 その際の、驚いたような戸惑いに揺れる結葉の表情を、偉央は「あれは本当に可愛かった」という思いとともに忘れられないでいる。 新婚旅行ともなれば、水着どころか裸だって偉央に見せることになるのは十分想定の範囲内だろうに、本当結葉は、性的なことに関して奥手だな、と思った偉央だ。 そんな結葉が相手ではあるけれど、今回のハネムーンでは、何とかして彼女と一線を越えたいと偉央は強く願っている。 戸建ての別荘みたいなホテルを宿泊先に選んだのだって、恥ずかしがり屋の結葉のタガをなんとか外して、心置きなく啼かせてみたいと思ったからだ。 偉央が手配したホテルは、那覇空港までホテルからの無料送迎車が来てくれて、レンタカーなどを借りなくても宿泊先まで連れて行ってくれるサービスがついていた。 着いてすぐ、広々としたフロントでウェルカムドリンクのサービスを受けてから、チェックインの手続きを済ませたら15時過ぎで。 晩夏のこと。 陽はまだまだ長いけれど、結葉は誘えば各部屋についているプライベートプールに入ってくれるだろうか。「結葉、せっかく部屋にプールがついてるし、一緒に入ろうか」 ディナーは18時からなので、まだ間がある。 お互い水着姿になれば、自然と肌が触れ合う機会も増えるだろう。 偉央がそう思って誘いかけてみたら、結葉の視線が恥ずかしそうに戸惑いに揺れたのが分かった。「水着、ちゃんと用意してきたよね?」 あれだけ出発前に念押ししたのだ。 偉央に従順な結葉が言いつけを守っていなはずはない。 きっと偉央が「入らない?」と問いかけたなら、|結葉《ゆい
last updateLast Updated : 2026-07-25
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