樹海防衛部隊の紋章を目にした心の動揺を、レオンハルトは押し殺す。誰が敵かわからない。自分の反応を観察している奴がここにいる可能性があるんだ。レオンハルトは、無表情で赤絨毯をすすみ国王に頭を下げた。「面をあげよ。レオンハルト」国王の重く低い圧力のかかる声がかかる。レオンハルトが視線を上げると、国王の顔が近くに見た。血筋だろう。どこかダリウスの雰囲気と似たものがあった。「そなたを樹海防衛部隊の新たな隊長に任命する」「はっ!謹んで拝命いたします」ちらっと、周辺の反応に何かわかるものがないかを確認する。面白そうに見る視線もあるし、面白くなさそうに見る視線も感じるな……結局、国王派であるレオンハルトを、国王の管理している部隊長に据えるという点で、国王派の重鎮たちは納得したような顔をしている。一方で、第一騎士団の平民騎士をよく思っていない宰相派の動きはどうだ?意外にも、全く関心はなさそうな顔をしている。不思議なことにユリウスさえ、無表情だ。ざまあみろもなければ、国王に贔屓された人事だという不満もなさそうな……まあ、どっちでも俺はいいんだ。レオンハルトは、心の中でモヤモヤしていた。国王派と思われているが、その元凶のダリウスが信頼していい人物だったかもわからなくなっているのに、俺は国王派と貴族派の板挟みになっている。自分の知らないところで勝手にやって欲しいものだ。そう苛立ちが募っていく。続いて、王座の横で控えていた侍従が、茶色の小箱を王の前に持ってきて蓋を開いた。その箱の中に輝く銀のバッチは、先ほども見たミレイユの師匠が遺した文書の末尾に記されていた印。それをありがたく受け賜る。(確定だな)ミレイユの師匠は樹海防衛部隊に関わりがある人間だ。
Last Updated : 2026-08-08 Read more