เข้าสู่ระบบ宿舎から南へ、だいたい5キロほど進んだところ――そこに樹海防衛部隊の拠点があるらしい。
……と案内されてきたのだが。
(防御する道具くらい渡してくれるかと思ったのに、国からの支給は何もなしか!この樹海、塔からわずか1キロでもヘルカーンが出た場所だぞ?)
レオンハルトは、先ほどミレイユから道具をもらっていて助かったと、冷や汗をかいていた。
ミレイユからもらった魔物避けの鈴を鳴らすから大丈夫だが、みんなには、うかつに樹海をウロウロしないように伝えておかないといけない。
しかし――
ここにいる俺とカイル以外は、樹海の存在すら知らされていなかった者たちの集まりなんだぞ。
樹海についての説明もない。身を守る道具もない。
何を、国王は考えているんだ?レオンハルトは、腹立たしい気持ちをどこにも持っていけず、自己防衛の意識を高めさせるしかないと決断する。
「みんな、今まで誰もこの樹海の存在に気づかなかっただろう?実は、今まで立場ある
アドリアンは戦場では珍しい十代の少女、アリエルをいやらしい目で見つめた。そして、そーっと手を伸ばす。だが、そのアリエルの体に触れようとした瞬間、腕を弾かれ一気に吹き飛ぶ。防御魔法を展開していたらしい。周囲に兵がいるのに、恥をかかされたアドリアンは怒りを露わにした。「お、お前、貴族に対して!」「貴族?」「そうだ!お前みたいな卑しい血の者が――」「卑しい血?貴族の血と何か違うんですか?」アリエルは短剣を取り出した。「な、お前、私を誰だと思っている?その剣をどうするつもりだ!」アドリアンは自分を攻撃する気かと思わず後ずさった。だがその瞬間「刺します」アリエルは自分の腕を刺した。そして、鮮血がその腕を垂れていく。「血は赤いです。貴族の血は違いますか?」無表情で痛そうなそぶりもなし。ダリウスもアドリアンも、そして周りの兵もざわめいた。「血……赤いです」反発というより血に関心がある感じだ。じーっとその流れる血を止めるわけでもなく眺め続ける。女性慣れしていないアドリアンも、さすがにこの子はおかしいと直感する。そのとき――空から攻撃が降り注いだ。「敵襲だ!」ダリウスや騎士団も急いで応戦しようとする。だが奇襲攻撃で、意表を突かれてしまった。爆撃で、多くの兵が吹き飛ぶ。そして、防御魔法を突破して、血まみれになり、左肩から下のアリエルの腕も吹き飛んだ。だが彼女は、無表情のまま、腰からハイポーションを取り出し、一気に飲み干す。そして、腕は生えてきて、その復活と同時に、その新たに生えてきた手をかざすだけで、攻撃方向に爆撃を叩き込む。激しい爆撃音と煙がその空間を支配するが、奇襲攻撃で、アリエル以外まともに立ち上がれるものはいない。それを見て、アリ
ミレイユは、師匠アリエルの日記をめくりつづけていた。そこに記されているのは、樹海防衛部隊の隊長になってからの記録。――毎日、どれだけの魔物を、いかに残虐に討伐できたか。そればかりが延々と書き連ねられている。さらに、兵たちに錬金物を持たせ、魔術師と同じように普通の兵でも大量の魔物を狩れる仕組みを検討していた。「今の師匠の考えとは、まるで真逆だわ……」ページを進めると、そこで、初めてダリウスとの出会いが記されていた。「ダリウスと出会ったのは、師匠が隊長になったばかりの頃なんだわ」ミレイユは、そこに、やっと知っている名前を見て、少しだけホッとする。◆「樹海以外の応援ですか。わかりました」淡々と答えたアリエルは、魔術師団長オルフェンに命じられるまま、紛争地帯へ向かう。アリエルは、魔術師としてその頃には、すでにオルフェンを凌ぐほどの力を持っていたと思う。だけど、樹海を支配する魔術師もいるといわれて樹海防衛部隊の隊長になっていたのだ。言われた命令を表情ひとつ変えずに遂行する。生きた兵器――そう言われるのは、アリエルが淡々と職務を遂行して、しくじることもないからだが、本人はわかっていない。「では行きます」錬金術で作り出した道具を山のように抱え、迷いもなく移動する。戦場で、そんなアリエルを迎えたのは、まだ二十代後半の若き第一騎士団長、ダリウスだった。その時、アリエルがダリウスと話した最初の言葉は?――「誰を殺せばいい? どれだけ殺したら終わる?」ダリウスは、アリエルを見て息をのんだ。部下を失い続け、苦しい戦況にあえいでいたダリウスですら、目の前の少女に寒気を覚えた。十代の女の子が、まるで感情を持たない機械のようにそう言ってのける。ダリウスは、「では、あれを殺せ」と言えるほど冷酷にはなれなかった。
ミレイユが、師匠が、樹海防衛部隊の隊長であることを知った頃、レオンハルトも同様にミレイユの師匠、アリエルが、樹海防衛部隊の隊長だと聞かされていた。塔の中の木箱は、前隊長が塔に隠して、建物には認識阻害までかけたということか。誰に対して隠そうと思ったのか?何を隠そうと思ったのかは不明だが、まずはその文書は俺の手のうちにある。とにかく動揺している隊員たちをまとめることに集中しよう人は、やることさえあれば、不安を誤魔化せる。いっそ、みんなに役割を作るか……レオンハルトは、決断した。「みんな、来て早々で話が違うと驚いているのはわかる。俺も同じ気持ちだ」あえて口にしてみる。自分だけじゃないと分かれば、少しは落ち着くはずだ。「だが、まずは情報を集めたい。ここにいた五人は、この基地内のことは把握しているか?」「どこに何があるか、程度なら全員わかります」答えたのは、先ほど、ここの壕の入口で待っていた兵だ。「君の名前は?」「セリオです。偵察を担当していました」だから、見張りだったわけか。レオンハルトは、頷いて指示をする。「よし、セリオ。まず隊長室以外で、この樹海の状況が分かる書類を全部ここへ持ってきてくれ」「わかりました」「それから武器になりそうな物も……錬金物の保管場所が他にはないかもこの壕の中をみんなで手分けして調べろ……」元々いた隊員と新しくきた隊員を何人かで、グループにする。「それ以外で、もし気になる物があればもってくる。あと、不安なことや気になることがあるなら何でも言ってくれ」指示を飛ばすと、兵たちは不安を抱えつつも、頷いて、何人かに分かれて壕の奥へ散っていった。「カイル、今はとにかく役割を与えてみんなを動かすぞ。気力を奪ったら、みんな動けなくなるからな」「了解です」
レオンハルトが、樹海の中で新しい事実と向き合っていた頃――ミレイユはしばらくぼんやりとしていた。レオンハルトがいなくなり、部屋はやけに静かに感じる。狭いはずの空間でさえ、広く冷たく感じてしまって、寂しさを余計に際立たせる。それなのに、先ほど突然抱きしめられた感覚が蘇る。以前も抱きしめられたことがあった。だが、あの時は私の状態が明らかにおかしかったからだけど――今回は……レオンハルトさんは私のことを……レオンハルトさんは、私の年齢や置かれた環境を考えると、押し付けになるから、今の自分の気持ちは言えないとわざわざ私に言ったわ。「あれは、私に好意を持っているけど、私が断れない状況だからということよね……」そう考えた事を口にして、パッと赤くなる。しかも、そういって自分は離れようとしたレオンハルトを止めたことを思い出して「うわあああ」となんて大胆なことをしたんだと、あわあわと頭を抱える。でも、レオンハルトさんが言うように、普通の環境に戻って、年齢を重ねて、社会経験を積んだら、もう彼に惹かれなくなったわ……なんてことあるんだろうか?「むしろ、その感情は、あれだけ女性に人気のあるレオンハルトさんのほうが、なんで私を好きになったと思ったんだろう?って感じるんじゃないの?」もしかしたら、レオンハルトさんには全くその気がなくて、私を傷つけないようにわざと深い関係にならないように予防線を張っているとか……ううん、それならおかしい。今日、抱きしめてくれたのはレオンハルトさんの方からだもの。もし私の気持ちが、普通に戻っても変わらないなら――私は、レオンハルトさんと恋人同士になれるかもしれないって、少しは期待していいんだろうか。ミレイユは、再び外に出て、焚き火の上に鍋をのせた。火を起こしている
宿舎から南へ、だいたい5キロほど進んだところ――そこに樹海防衛部隊の拠点があるらしい。……と案内されてきたのだが。(防御する道具くらい渡してくれるかと思ったのに、国からの支給は何もなしか!この樹海、塔からわずか1キロでもヘルカーンが出た場所だぞ?)レオンハルトは、先ほどミレイユから道具をもらっていて助かったと、冷や汗をかいていた。ミレイユからもらった魔物避けの鈴を鳴らすから大丈夫だが、みんなには、うかつに樹海をウロウロしないように伝えておかないといけない。しかし――ここにいる俺とカイル以外は、樹海の存在すら知らされていなかった者たちの集まりなんだぞ。樹海についての説明もない。身を守る道具もない。何を、国王は考えているんだ?レオンハルトは、腹立たしい気持ちをどこにも持っていけず、自己防衛の意識を高めさせるしかないと決断する。「みんな、今まで誰もこの樹海の存在に気づかなかっただろう?実は、今まで立場ある人間以外には隠されていたが、樹海の入り口には認識阻害がかけられているんだ」そうみんなに伝えると、そんな大規模な認識阻害があるのかとは驚きの声が上がる。だが、現実に今までこんな広い森を、こんな身近にありながら誰も知らなかったのだ。困惑の色を隠せないながらも、みんなは「これが樹海?」と、それぞれに森の中をぐるりと見回している。「そうだ。そして、この樹海は、小型から大型まで、いろんな魔物がうろついている。こんな身近で、魔物が出ていると国民が不安定になる。だから、認識阻害がかけられているし、みんなが安全に暮らせるよう、魔物の数をコントロールするのが俺たちの樹海防衛部隊の仕事になる」レオンハルトは士気が下がらないように、俺たちの仕事は、みんなの安全がかかっている意味のある仕事だと言い続けた。「拠点に着いたら、身を守るものを持たせる。だからそれまではかたまって動くんだぞ」レオンハルトは、そう言って、ポケットの中で魔物避けの鈴をこっそり鳴らした。
新しい宿舎は王都の端にあり、茶色の煉瓦で建てられたため、元々外からの光はあまり入らない。外観が廃屋であっても、中は綺麗だったということはあるよな。そう期待して中に入ったが、薄暗く、少し重苦しい空気が漂っていた。宿舎の管理人はいるにはいたが、かなり高齢で一人でこの宿舎を管理するのは無理だろうなという感じだ。それでも挨拶を済ませる。話によると、ここにいた兵たちは、長くここには戻ってきていないという。やっぱり、向こうでトラブルが発生しているのか……レオンハルトは、その薄暗い廊下の先にある宿舎のデイルームの方向を見渡した。声がするが、どうやら士気はあまり高くないらしい。カイルが雰囲気を変えようと、冗談を言う声が聞こえ、小さな笑い声が部屋に広がった。薄暗い空気が、少しだけ柔らかくなる。「お疲れ様」肩を叩くと、カイルからは、助けを求めるような目をされた。わかっている。確かにみんな、少し元気がないようだ。「よし、みんな荷物は片付けたか?ここが俺たちの拠点だ。王都からは……ちょっと遠いな。馬で1時間か」カイルがすかさず口を挟む。「そうですよ!俺が狙ってたあの娘も、来れやしない!」レオンハルトは微笑む。「まあな。その代わり、嫌な奴もこんな辺鄙な場所まで足を伸ばさないだろう。ユリウスなんて絶対来ない」「ああ、新総司令官殿のことですか」「今日も早速嫌味を言われちまったけどな」俺は笑って肩をすくめた。「ただし、ここは樹海防衛部隊の特例措置だ。休養日前後は、彼女や家族の宿泊も自由にしてやっていい」「えっ!本当ですか?」「騎士団の規則に縛られる場所じゃない。国王の特例で、ここの宿舎は俺たちの自由だ」実は、辞令の際、国王の側近にこっそり許可をもらっておいたのだ。宰相やユリウスたちに聞かれるとまずいからな。少しずつ、







