翌日、美奈が天音の代わりに契約の場へ向かった。契約を担当したのは、真紀だった。美奈は以前、天音とその家族の写真を見たことがあり、少し意外に思った。この人が天音の叔母だと覚えていたからだ。真紀は美奈とは面識がなく、淡々と尋ねた。「あなたが零奈ですか?」美奈はうなずき、相手のもとへ歩いていった。その後、二人は契約についていろいろと話し合った。美奈の能力は十分に高く、真紀も少しも疑うことなく契約を交わした。契約を終えると、美奈はすぐにその場を離れ、マスクをつけて家に帰ろうとした。ここ数日、天音はきっと心配事ばかりでろくに食事もしていないだろうと思い、帰る前に買い物をして、海鮮物やお肉をいくつか買った。家に帰って、天音にちゃんとした食事を作ってあげるつもりだった。スーパーに入ると、美奈は晴加を見かけた。靖紀を連れて買い物に来ている。美奈は嫌な気分になり、天音にメッセージを送って愚痴った。【まさかスーパーで、お宅の愛人に会うなんてね】天音は呆れたように返した。「何が『お宅の愛人』よ。私があの女と親しいみたいに言わないでよ」【それに、あのクソガキもいた】美奈はマスクをつけたまま、こっそり二人の様子をうかがった。すると、晴加が避妊用品の棚の前で足を止め、その中から二箱手に取った。美奈は朝食を吐き出しそうになった。すぐに天音へメッセージを送った。【最近、瑛司とああいうことしてないよね?】【してるわけないでしょ。もう離婚するのに、どうしてするのよ】美奈は歯を食いしばった。【それならよかった。あんな汚い男、もう相手にしないほうがいいよ】そして続けて送った。【今夜、うちでご飯食べて。もう食材も買ってあるから】天音は快く了承した。美奈はスマホをしまうと、ふと何かを感じたように、無意識に足を止めた。美奈はすっと目を細め、後ろを振り返ったが、そこには何もなかった。美奈は目を伏せ、マスクを少し上げると、急いで会計を済ませて家へ帰った。その夜、真恵子から天音に電話がかかってきて、零奈との協力について聞かれた。真恵子は天音が契約をまとめたと知ると、少し驚いた。どこでそんな運のいい知り合いを作ったのだろうと思ったのだ。真恵子は言った。「家政婦に美味しいスープを作ってもらってるから、今夜は早めに帰ってきなさい」
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