LOGIN俺がやらかしてしまったと後悔して謝ろうかと考えていたら
『取り乱してすみませんでした!?』
と、急に謝られてパニックになる。
謝るのは俺の方じゃないの? 何で染谷さんがあやまるの? 等考えていると、一つの答えにたどり着いた。 また柚希がフォローしてくれたんだと。 なんて兄思いな妹なんだ! 今度お礼をしなくちゃなと考えていると、柚希が俺の隣に座って耳打ちしてきた。「お兄ちゃんは悪くないから、さっきの調子で話して」
え? 俺は悪くないの? ってかさっきの調子で話せって……。
とりあえず柚希の指示に従ってれば問題ないのかな? そう思い、さっきの件で少し萎縮してしまってる染谷さんに話しかけた。「謝らなくてもいいよ。気にしてないから! 染谷さんもどうぞ座って」
という俺の言葉に一瞬驚いた様な顔をしたが直ぐに笑顔になり俺の向かいの席に座る。
それを見届けてから改めて自己紹介をすると「さっきはすみませんでした」
「はは、それはもういいって。でもなんであんなに驚いてたの?」出来るだけ軽い感じで聞く。
「えっと、失礼かもですけど、中学の時と大分雰囲気とか違ってたので、別人だとおもってました……」
おお! 第三者から変わったと言われた! これは柚希の特訓の成果なのだろう。
もう少し踏み込んでみるか。「今の俺はどう? 変じゃないかな?」
「い、いえ! 全然!? っていうかむしろカッコイイと思います!」俺がカッコイイ? まぁ自分でもそこそこイケてるんじゃないかと思っていたがやはり第三者、しかも女子から言われると現実味が増すなぁ。
ニヤけそうな顔を鍛えた表情筋で押さえつけて、なるべく軽いトーンで答える。「ありがとう。染谷さんにそう言って貰えてうれしいよ」
「い、いえ! ホントの事ですから!」なんだこの爽やか青年は! 本当に俺か? これも特訓の成果なのだろうか?
などと考えていると、染谷さんが顔を少し赤くして「あ、あの! 私の事はゆずが呼んでる様にめぐって呼んで貰って構いませんから!」
「うん、わかった。じゃあよろしく、めぐ」そう言うと、染谷さんもとい、めぐの顔があからさまに赤くなった。
やっぱり恥ずかしいのかな? 無理してなければいいけど。「それじゃあ! わ、私は友也さんって呼んでもいいですか?」
「うん、いいよ。試しに呼んでみて?」 「と、友也さん!」あぁ^~。後輩女子から下の名前で呼ばれる日が来るなんて! 生きててよかった。
若干脳内トリップしていると「ゴホンッ!?」
という柚希のわざとらしい咳で我に返った。
「名前で呼ばれた位で喜びすぎだよ~」
と言いながら俺の肩をバシッと叩いた。
そのお蔭で正気に戻り「しょうがないだろ? 今までそんな友達居なかったんだからさ~」
と、笑いながら自虐ネタで返す。
「あ、そりゃそうか!」 「ヒドイッ!?」なんてやり取りを柚希としていると、めぐが俺の事をジーッと見ている事に気づいたので
「どうしたのめぐ?」
と聞くと
「友也さんてホントに変わりましたよね。何かきっかけがあったんですか?」
と、どう答えたらいいか分からない質問が飛んできた。
俺は思わず柚希の方をみる。 一瞬だけ目が合う。 俺は柚希の事は伏せておこうと思い「実は彼女がほしくてさ~。妹にどうやったらリア充になれるか教えぐふっ!?」
いきなり柚希から脇腹に肘打ちが飛んできた。
俺が涙目で柚希を見ると、真剣な顔でめぐを見ていた。 そしてそのまま俺の方に向き「めぐには隠し事したくないから、本当の事言っていい?」
と、真剣な表情と声で聞いてくる。
するとめぐは「ホントの事?」
と、此方を少し怪しむ様な視線になった。
俺としては柚希が虐められていた事は隠しておきたかったが、柚希の真剣な目をみて「わかった。柚希がそれでいいなら」
と返した。
俺の返事を受けて、柚希は「実はね……」
と、ゆっくりと全てをめぐに話した。
話を聞き終わっためぐは
「そう……だったんだ。私、今日は驚かされぱなっしだな~」
「ごめんね」最初はギャル達に対して怒った表情をしていたが、今は何処か力が抜けた様な表情になっている。
そして、柚希のごめんねに対しても「謝らなくたっていいよ~」
と、軽く返す。
そしてめぐは俺に視線を移して「柚希の為に変わろうなんて、友也さんってシスコンなんですか~?」
と、からかう様に言ってくる。
「否定はできないかなぁ~」
と返すと、あははっ! と笑った後、真剣な表情で俺と柚希の二人を見て
「私も協力する! ううん、協力させてください!?」
と言ってきた。
驚いて柚希の方をみる。 すると柚希は顔を俯かせて「本当にいいの?」
と、俯いたまま言葉を発する。
「うん! 柚希の為ってだけじゃなくて、友也さんの力にもなりたいから!」
と、力強い返事が返って来る。
その言葉を聞いて柚希はようやく顔を上げて「それじゃあ、これからも宜しくね!」
と、満面の笑みでいった。
それを見ためぐは「うん、よろしく! 友也さんも!」
と、こちらも柚希に負けないくらいの笑顔で答えた。
こうして俺は柚希以外の協力者を得た。 心強い味方が増えて嬉しい反面、さっき柚希が見せた表情に少し不安を覚えた。俯いてめぐの言葉を聞いた瞬間、僅かだけど、確実に柚希の口角が上がっていたのだ。
水樹の語りが終わり部屋に静寂が訪れる。 その静寂を水樹自ら破る。「と、まぁ昔の俺は沙月に対して過保護すぎる程過保護だった。その所為で沙月とユウ姉を苦しめた」 そう言って水樹は二人に向き合い「本当に……ごめんなさい」 と言って深々と頭を下げた。 それを見た沙月と友華さんは「ハイハイ分かったから。一体何回謝るのよ」「そんなに謝らないで? 昔みたいに仲良くしよ」 沙月と友華さんが笑いながら言うと、水樹は「ありがとう」 と言ってもう一度頭を下げた。 そして今度は俺に向き直り「話を聞いて分かっただろ。あんな噂が流れたのも全部俺の所為なんだ」 水樹は一拍置いて「だから沙月の事を攻めないでほしい。もし今後何かあっても全て俺の所為だ」 俺の目を真っすぐ見て言う。 俺はそれに対し「沙月は2度とそんな事しない。水樹だってわかってるだろ?」 少し強めに言う。 すると沙月も「そうだそうだー! まだ私の事信用してないの!」 と水樹に文句を言う。 だが、その表情は責め立てる様な物ではなく、笑っていた。 俺と沙月の言葉を受け、水樹はもう一度頭を下げて「悪い……」 と謝るが、沙月は謝罪に対して「もー、さっきから謝ってばっかりなんだから! だけど……ありがとね」 色々あったけど、沙月自身、自分の為にしてくれている事は分かっていたのだろう。 だけど、思春期真っ只中だった沙月は素直になれなかったのかもしれない。 そして今日、水樹の言葉と謝罪を聞いてやっと素直になれたのかもしれない。 だからこその感謝の言葉なのだろう。 沙月が感謝の言葉を口にした。 俺も水樹には感謝をしている。「俺かもお礼を言うよ。沙月と出会わせてくれてありがと
気が付けば男が倒れている。 これは……俺がやったのか。 沙月の腕が払い除けられた後の記憶が無い。 っ! 沙月は? 沙月は無事なのか? 視線を彷徨わせると、地面にへたり込んで泣きじゃくっている沙月の姿があった。 沙月の傍に行き声をかける。「沙月! 大丈夫か?」 言いながら沙月の肩に触れようとすると「触らないで!」 沙月が俺を睨んでいる。 どうして? なんで俺を睨むんだ……。「沙月……」「どうして……どうしてこんなヒドイ事出来るの!」「俺は沙月を守らなくちゃいけないんだ」「だからって……何もここまでしなくてもいいでしょ!」「俺は沙月の兄代わりで父親代わりなんだ。だから沙月を傷つける奴は許せない」「そんなの……そんなのは小さい頃の約束じゃない! 私はもう子供じゃない!」「なんだと―――」 沙月の言葉でまたもや頭に血が上っていく。 沙月に詰め寄り手を伸ばそうとした時「おい! お前ら何やってるんだ!」 偶然通り掛かったか、俺達の言い争いを聞いた誰かが呼んだのか。 数人の教師が怒鳴りながらこちらに走って来る。 教師は倒れている男を見ると 「すぐに保健医を呼んできます」 と一人の教師が走って行く。 すると残った教師は俺を囲み「お前、自分が何をしたか分かってるのか!」「取りあえず進路指導室まで来い」 と言って無理やり腕を掴み連行しようとする。 だが俺は何も悪くない。「宮田君は私に告白しただけなんです……それなのに水樹先輩が゛……」「っ! 沙月、何言ってるんだよ」「宮田君は
沙月の噂の原因が水樹にあると聞かされた。 正直、何故そこで水樹が出て来るのか見当もつかない。「水樹が原因ってどういう事だ?」「疑問に思うのは当たり前だな。説明すると長くなるけどいいか?」 と聞かれ「ああ、大丈夫だ」と返すと「そうだな、事の始まりは沙月が中学2年で俺が3年の時だな」「結構昔なんだな」 中学時代に何があったのか興味が出る。「同じ中学だったんだけど、当時はこの家によく遊びに来てたんだ」「そうそう、あの時は毎日家に来てたよね~」 と水樹は昔の事を語ってくれた。 * * * * * *「タカくん、ココア飲む?」「あぁ、サンキューユウ姉ちゃん」 従妹の家に行くといつもユウ姉ちゃんが世話をしてくれる 叔母さんが仕事で遅く帰ってくるからユウ姉ちゃんが母親代わりになっていた。「はい、お待たせ」「いつもありがとうユウ姉ちゃん」「それはこっちのセリフだよ。気にかけてくれてありがとう」「叔父さんが亡くなった時に沙月と約束したから。お礼なんていらないって」 叔父さんは俺達が小さい頃に交通事故で亡くなった。 当時の沙月は父親っ子だったから相当ショックを受けて塞ぎ込んでた。 その時沙月と約束をした。 俺が沙月を守る。父親や兄の様に振る舞って沙月を守ると約束した。 中学も学区は違ったけど沙月と同じ中学に進学した。 高校もユウ姉ちゃんが通ってる咲崎高校に通う予定だ。「それにしても沙月のやつ帰って来るの遅いなぁ」「今日は委員会があるって言ってたよ」「そうなんだ」 時刻は18時過ぎ。日が落ちるのも早くなり外はすっかり暗くなっている。 心配になった俺は外で待とうと玄関を開けると「今日は送ってくれてありがとう」「大した事じゃないよ、それじゃあバイバイ」「バイバ~イ」 はぁ、今日もか。 沙月は俺に気づいたらしく
俺の家から国道に出て真っすぐ走っている。 バイクに乗るのは初めてだが、こんなに寒いとは思わなかった。 水樹の言う様に暖かい服装をしておいて良かった。 しばらく国道を走っていたが、いつの間にか市街地を走っていた。 そして段々と住宅地に入って行く。「何処に向かってるんだ?」 と声を大きめに出して聞くが「なに? 何か言ったか?」 と、やはり走行中に会話は難しいみたいだ。 しばらく住宅街の中を走ったと思ったら唐突に止まった。 バイクから降りて水樹に尋ねる。「ここは何処だ?」「目的地はそこの家だよ」 と言って水樹が指刺した家を見る。 すると表札には『桐谷』の文字が刻まれていた。「もしかして沙月の家か?」「正解、ちょっと待ってろ、バイク仕舞ってくるから」 と言って水樹は沙月の家の車庫に消えていった。 まさかこんな形で沙月の家に来る事になるなんて思わなかった。 しばらくして水樹が戻ってくると、迷わずインターホンを押した。 それを見て「ちょ、何してんだよ」「何って家に上げて貰うんだよ」「それは分かるけど、心の準備が出来てない」「そんな物は準備するようなモンじゃないけどな」 と、やり取りをしていると「どちら様ですか?」 とインターホンから返事が返ってきた。 すると水樹は「オレっす。孝弘っす」 と水樹が答えると、家のドアが開いた。 中から出てきたのは友華さんだった。 「どうも、お久しぶりっす」「久しぶりです。今日はどうしたんですか?」「ちょっと沙月に用があって。帰ってきてます?」「沙月ならさっき帰ってきましたよ……友也君!?」 ようやく俺の存在に気づいた友華さんが驚いている。「どうも、お久しぶりです」「
教室に行くと田口がテンション高く喋っていた。 何があったのかと近くまで行くと「いや~、マジでパないっしょ~!」「いや、大袈裟だろ」「でも羨ましい~! 俺もバイク買おっかな~」 どうやらバイクの話をしている様だ。「おっす」 と挨拶すると、水樹が「丁度いい所に来た、友也に話があったんだよ」 と言い俺の横に来る。「話ってなんだ?」「俺さ中型のバイク買ったんだよ」「あ~、だから田口のテンションがおかしかったのか」「アイツはいつもおかしいけどな。それで友也に今日付き合って貰いたくてな」「ん? 付き合うって何を?」「まぁ簡単に言えばツーリングだな」「いやいや、俺は免許持ってないぞ」「分かってるって。2ケツで行くんだよ」「俺なんかでいいのか?」 というやり取りをした後、水樹は俺にしか聞こえないトーンで「沙月について話しておきたくてな」「沙月?」「ああ。俺と沙月が従妹同士ってのはこの間話しただろ?」「あれはビックリしたよ」「沙月の彼氏になったお前には話しておかなきゃならない話があるんだ」「……わかった。付き合うよ」 沙月に関しての話なら聞かない訳にもいかない。 俺が了承すると「それじゃ、学校終わったら友也の家に迎えに行くわ」「オッケー」「あっ、なるべく風を通さない暖かい格好に着替えておいてくれ。この時期のバイクはかなり寒いからな」「分かった」 と水樹との会話が終わるのと同時に予鈴のチャイムが鳴った。 毎度の如くチャイムが鳴ると同時に担任が入って来る。「あ~、今日は大事な知らせがあるー。知っている奴もいると思うが、近くで女子学生が監禁されるという事件があった。犯人は未だ捕まっていないらしい」 知らなかった生徒もいたらしく、教室中がざわめく。 担任は動揺してるざわつい
皆でファミレスに行ってから二日が過ぎた。 最初こそは揶揄われたりしたが、今はいつもどおりに過ごしている。 だが、今までと違う点がある。 毎日行っていた柚希との会議が無くなったのだ。 俺に彼女が出来たから必要無くなったのかと思ったが、そうでは無かった。 一度なんで会議が無くなったか聞こうと柚希の部屋を訪ねたら、中から柚希の話声が聞こえた。 聞こえてくる会話で彼氏と話しているんだという事が分かった。 会議が無くなったのは俺に彼女が出来たからではなく、柚希に彼氏が出来て俺に構う時間が無くなっただけだろうと結論づけた。 まぁ好きな人を優先してしまう気持ちは分かる。 俺も沙月とは結構長電話してしまうからな。 だけど、兄としては少し寂しい気持ちもあった。 以前までは会議の時間だったが、今はアニメを見る時間になっている。 大体は録画した物を消化している。 今日も録画していたアニメを見ようとテレビを付けると、臨時ニュースがやっていた。 いつもならスルーするのだが、ニュースの内容が見逃せなかった。 アパートの一室で女子高生が監禁されていて未だに犯人が捕まっておらず、しかも犯行のあったアパートが俺の地元だったからだ。 妹を持つ身としてはやはり心配してしまう。 ニュースを見ているとLINEの通知音が鳴った。 確認すると楓からで、内容は〈話したい事があるから明日早めに学校に来て欲しい〉との事だった。 俺は〈分かった〉と返事を返し、明日の為にアニメは諦めて寝る事にした。 翌日、いつもより早く登校して理科室に向かう。 教室に入ると既に楓が居たが、表情が優れない。「おはよう」「おはよう、急にごめんね」「大丈夫だよ。それより話って? 何か困った事でもあった?」 と聞くと、楓は少し言いにくそうに「柚希ちゃんに彼氏が出来たのは知ってる?」 と聞いてきた。 柚希に彼氏が出来た事は誰にも言っていな







