Alle Kapitel von 魔葬少女【連載版】: Kapitel 61 – Kapitel 70

88 Kapitel

第五十話

第五十話目を覚まさない朱莉を背負い、僕は家まで歩いている。本当はおかしくなった僕のことを謝りたかったんだけど、今はこの時間も悪くないかもしれない。────「嬢ちゃん、やめてくれ……な、俺には娘が」「なんでこんなことするの! お父さんが何したって言うのよ」────ごめんなさい、ごめんなさい…………殺してないとかそんな次元の話でも謝って許されることでもないのは分かってる。僕は朱莉を助けたいと理由をつけて人を傷つけた。自分から他人を傷つけて、朱莉も助けられず……こんなので恋人を名乗れるわけがないだろうが。こんな恋人だったら朱莉が"秋口さん"って呼びたくなるよね。これからは朱莉に関わるのはやめよう。僕がいたら朱莉が傷つく……僕が朱莉のことを好きになったせいで朱莉が傷つくのは絶対に嫌だ!魔葬少女も一人で……。僕がそう考えていたら、思いっきり頭を殴られた。「…………何考えてるの風香ちゃん!!」「いつもいつも一人で抱え込んで、私に口に出して伝えてくれたことじゃん。関わるのをやめるなんて…………そんなこと考えないで」「そうだよね、僕はいつも朱莉が心を読んでくれるからって伝えず抱え込んで……僕は」「そういうところだよ風香ちゃんの悪いところ。それに私の意識がないからって誰かを傷つけたのも知ってるんだから……次からは一人でやらないで風香ちゃん。今度からは出来るだけ録音で済ませて」「録音は使っても良いの?」「そうでも言わないと勝手に使ってまた誰かを傷つけちゃうかもしれないでしょ、風香ちゃんのことだから。本当は録音も使ってほしくないけど……誰かを傷つけるよりはマシだから」「それはそうかもだけど……もう、秋口さんなんて呼ばないよね?」「それは風香ちゃん次第かな、また風香ちゃんじゃないなあって感じたら呼び方が秋口さんに戻るかもね」「それは嫌だ、僕は朱莉に風香ちゃんって言ってもらえるだけで……幸せって感じるんだ! だからやめないで、さっきみたいにならないように気をつけるから!」あぁ、ダメだな僕は…………でも本当に朱莉に呼んでもらえるだけで幸せなんだ。秋口さんだと苦しくて胸が張り裂けそうだったんだ。朱莉はポケットからハンカチを取り出して僕の涙を拭ってくれた。「じゃあ今度からは色んな感情を発散しようね、また爆発しそうになったら私を見て」僕は自分
last updateZuletzt aktualisiert : 2026-09-04
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第五十一話

第五十一話人を背負ったまま結構動けることに驚いている。「風香ちゃん、私が重たいって言いたいのはかな?」「別にそう言いたいわけじゃ無いよ。ただ体力が増えたなと思っただけだから」こんな他愛ない会話でさえ心が躍るのは、朱莉と元に戻れる可能性があるって思ってもいいのだろうか。だが、家の扉を開いた瞬間に、僕と朱莉は現実に引き戻された。「ただいま、母……さん? 母さん!!」僕は動揺しすぎて朱莉を落としてしまい、怪我をさせてしまった。「朱莉……どっ、どうしよう。なんで、なんでこんな状況に…………」この光景を見て高揚なんてこれっぽっちも感じなかった。それどころか、心は恐怖で満ちてしまい魔法を使うどころではなかった。追い討ちをかけるようにアイツが家に押し入り最悪の提案をしてきた。「母親を助けたいなら魔葬少女に契約させろ。そうすりゃあ今すぐ治してやる上にテメェらの欲してる情報を渡してやる」……そんなの決まってる。さっきまでの恐怖が嘘のように僕の口は動いていた。「僕が治すに決まってるだろ。また乗るわけがないことぐらいわかるだろ」こいつにここまで反抗的になったのは初めてかもしれないが、こいつに任せていては母さんまでこっち側に連れてきてしまう、それはダメなんだ。こいつは僕の決断を挫きかねない指摘をしてきた。「一般人に魔法どころかテメェの回復をしたらどうなるか想像も出来ねえのか?」僕はこいつの指摘を飲み込みかけてしまった。僕が回復魔法を使ったのも全て魔葬少女であり、契約前の一般人には使ったことはない。だけど僕は……や……。「やるのもいいけどな、母親は契約してねぇ状態で中途半端な存在になることだけは頭入れとけよ。使うならそれを理解した上でにしとけ」こいつはこんなに説明するようなやつだったかと疑問も感じた。どうやら表情に出ていたようでこいつが説明し始めた。「あのな、僕だって毎回あんな絶望を喜ぶわけがねえだろ。テメェら多少は突き止めたんだろが僕たち契約霊も指揮下に入るってよ。その相手ぐらい想像出来んだろ。特に風香はよ」それは……。「つーかとっとと決めねぇと母親死んじまうぞ」焦っている僕の手を朱莉は握り安心させてくれた。「大丈夫、お義母さんは風香ちゃんがどんな選択をしても許してくれるよ。もし許してくれなかったら一緒に説得しよう」「ありがとう
last updateZuletzt aktualisiert : 2026-09-05
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第五十二話

第五十二話僕は母さんの記憶を壊してしまったが、身体は治った。ならば母さんを傷つけた何かがいるということになる。……こいつが都合よく現れたのも何か関係しているのだろうか?もしそうだとすれば、この家に潜んでいる可能性がある。アイツは僕と朱莉にとって屈辱的なことをしてきた。僕の心を読んできたのだ。僕の心を読んでいいのは朱莉だけ……朱莉以外から読まれるのは屈辱でしかない。「この家には風香のお母さんをこうした犯人はいねぇぞ」この家にはってことは犯人はいる。「居場所を知っているなら教えて!」僕がいくら詰め寄ってもあしらわれてしまう。その上何故か思考が読まれ先回りされる。こいつは朱莉の魔法が使える……しかも朱莉以上かもしれない。その時僕はおかしな仮説を立ててしまった。中身が変わりこいつもしくは別の誰かのそのどちらかが朱莉の魔法を朱莉以上に使っている。飛躍していることは分かっている。だけど、こいつは中身が変わったような言動をとった。朱莉もそのことに気づいているようで……僕の腕にくっついてくる。するとこいつはいつも通りくしゃっと顔が歪み僕に聞いてきた。「テメェら、少しは進展してんだろうな?」こう聞いてくるということは中身はこいつだ。僕はあの時とは違う。あの頃の僕は人死にも疎く魔葬少女の肉塊を回復させず一般人……母さんを治して(壊して)いない。だからこそ答えられる。「僕は朱莉と付き合っている。誰になんと言われようとも僕は朱莉を愛している!」母さんが聞いている目の前で僕は声を裏返しながらも宣言した。そこに恥はない、本気だ。なぜなら母さんが記憶を取り戻してくれた時に伝えなければならないのだから。こいつは満足気に去っていくように僕には見えた。僕と朱莉を利用しようとしているのは目に見えている。だからこその僕と朱莉は正式な魔葬少女になった上で利用されても契約霊を殺せるように強くなることに目標を変えたのだから。少し目を離していた時に母さんについてまた一つ壊れたところを目にした。それは……母さんが魔法を使っていたことだ。魔法で水を生み出し飲んでいたのだ。様子を見ている感じ、感情は減っていなさそうなのが謎なんだけど、減っていないなら記憶を取り戻せる可能性もあると信じられてちょっと嬉しくて複雑だ。契約をしていない一般人に僕が魔法を
last updateZuletzt aktualisiert : 2026-09-06
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第五十三話

第五十三話 出来ることなら母さんに魔法は使ってほしくないけど、もしもの時のために記憶をどうにかしないといけない。 母さんが魔法を使う際は僕たち魔葬少女と違い記憶を消費するのだから。 消費用の偽りの記憶でもいい……母さんが魔法を使っても大丈夫な状態にしないといけない。 母さんをこんな身体にしたのは僕なんだ。 魔女会で僕は悩んでいることがある。 それは母さんを登録するべきか否か……もし登録して僕と朱莉が味わった訓練を受ける羽目になったら、母さんは死んでしまう。 ……怖いけど、魔女様に相談してみよう、もしかしたら前例や対処法を知っているかもしれない。 朱莉と母さんを連れて期待半分で向かった。 「風香さんだっけ、ここはどこなの?」 風香さん……か、やっぱり僕のこと覚えてないのかな。 胸を痛めていると朱莉が魔女会について良いように説明してくれた。 「ここは魔女会って言って人助けをするところなんだよ。なんだろう……町内会みたいな感じかな?」 「町内会とはなんですか?」 すると朱莉は僕の方を向き助けを求める瞳で見つめてきた。 僕は町内会について説明し、母さんは少し考え込んだ後、理解してくれたように見えた。 「それで私が連れてこられた理由をご説明いただけませんか」 やっぱり母さんのこの口調は慣れないな。 というか慣れたくないな。 「ここに母さんを連れてきたのは、水を出した件で来たんだよ」 「そうなのですね。やはりそれは風香さんが涙を流しているのと関係していると考えて良いのですよね?」 母さんとはいえそこは突いてほしくなかったな。 ……母さんだから突いたのかも、いつも母さんは気づいてくれた。 いつもいつも僕は理由を隠して教えていなかった。 今更もっと本音で接していればなんて……遅いのに…………いいや遅くしないためにここに来たんだ! 僕たちが魔女会に入ると霜月さんと松島さんの契約霊が依頼を出しているところを目にした。 「久蔵紬を指名で依頼を出して。内容は私の排除で」 受付の人は当然戸惑っていたが、契約霊は怒鳴った。 「私が私の間に始末してほしいの! 美月と同じ場所に行かせてよ」 契約霊でもそういうこと考えるんだな…………他人事に思えない内容だな。 それに私が私の間って
last updateZuletzt aktualisiert : 2026-09-07
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第五十四話

第五十四話僕と朱莉が魔女様に会うのは以前『未熟』と言われて以来だ。本来なら正式な魔葬少女になるための試験で会うはずなんだろうけど、予想外のことが起こりすぎた。魔女様は僕と朱莉を見るなり口を開いた。「あと一歩のところまで成長しているようですね」僕は魔女様に一般人の母さんに回復魔法を使ったら記憶が消えたこと、魔法を使い始めたことなどを話した。その上で前例や対処法があるのかどうかも質問した。「それで中途半端だったのね。一般人の前例は存在一例だけなら存在する魔葬少女の類似事項なら存在する」前例が一例しかないのなら、正しいのかどうか分からない。だけど、試すしかない。「その一例と類似事項を教えてください、魔女様」魔女様の口から出てきたのは、希望の魔葬少女が魔物を魔葬少女に戻した際に戻された側が壊れたという話だった。魔物から魔葬少女に戻った前例はあるのか……ならば契約前に戻れる可能性もあるのではないか。「その希望の魔葬少女に頼めば母さんを治せませんか?」魔女様は首を横に振り一言『堕ちた』とだけ呟いた。そのあと魔女様は一般人の前例である一例について話した。「つまり私だ」この空間にいた人間が皆、理解が追いつかない表情をしており、魔女様が説明を始めた。「唐突になるだろうが自己紹介させてもらう。私は香取愛菜(かとりまな)」魔女様が自己紹介をしている最中だというのに香取の苗字が気になって仕方ない。「その様子だと母には会ったのだな」僕はそのことについて問い詰めた。魔女様であろうが、もし香取雛と関係があるなら……情報を聞き出さなくてはいけない。朱莉を踏みつけたのだから…………しかし今は私情で母さんが治せる可能性をなくすわけにはいかない。「質問に答えようか、私の母は香取雛……夢を使う魔葬少女であり、荒川咎から最初に魔法を教わった人物でもある。私は香取雛が魔葬少女時代に作った子供だ。現在は咎の件で母とは相容れなくなり絶縁している。咎は止めるべき敵だからな」魔葬少女でも子供は作れる……ちょっと待って香取雛って確か琴桐さんの情報だったら百五十年前の誘拐事件の被害者に含まれていると書かれていた。この人何歳なのだろうか?「驚くのも無理はない。私は魔葬少女と人間の子供だ。実際には母はあやかし少女の肉体を持っていたようで、その影響が強く遺伝したのだ」魔
last updateZuletzt aktualisiert : 2026-09-08
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閑話その13

閑話その13私たちは咎様のせいで狂った。いいや、その誘いに乗ったのは私か……結局百年以上経っても咎様以外誰も私を殺してくれない。人間としては死んではいるんだ、私は魔物だから。みんな狂っていった……元々の性格なんてもはやないに等しい。私が仮説を立てるに、食事も影響しているのだ。よく分からない肉や魚……そういえば野菜があまりなかったな、栄養バランスどうなってるんだ。いや大事なのはそこじゃないだろ、それを食べた子と食べてない子で怪物になった後の力も差が出ている。おそらくは妖怪なのだろうな、元々咎様はあやかし少女だったって話を何処かで聞いたことがあるし、もしかしたら馴染みのある食事にしたかったのかもしれないな。「さて君たちには二つの選択肢がある。私に殺されるか、契約して共に堕ちるか。どちらがいい? 契約ならば堕ちた後も今の私のように多少の人間らしさは残るぞ」人間らしさが残るのは未練しだいだがな。私たちは特に……人間に戻りたいという想いが強すぎた。そのせいでこんなふうに思考することすら出来てしまう。どれだけ咎様に反抗しても私では勝てなかった。諦めている自分に何も思わないわけではないけど、咎様には勝てない。「わっ、私は大統領だぞ! 国民を守る義務がある、こんなところで死ねないんだ。だが、私より君が生き残るべきだ」極限状態でも自分より他人を生き残らせる……か、雛ちゃんもそうしてくれたな。それにこの人心意気はいいんだよな、まあその国民を皆殺しにしたのが私なんだけどね。いや〜さすがに苦労したよ、一人で数億人殺すのは。時間だって一ヶ月もかかっちゃったし、これじゃあ雛ちゃんには確実に怒られるだろうね、遅すぎるって。それを言うなら咎様に言ってほしい、日本以外で実験出来る場所が欲しいなんて言い出すんだから。咎様もほんと無茶言うよ、これを私に任せるのは評価してくれてんだがしてないんだか……よく分かんないね。「大統領さんが頑張ってるのは知ってるよ。自腹で貧しい人たちに食事を提供できる場所を作ったり国民の声を聞いて必要なものを全部自腹でやってたよね。予算も全て国民のために使ってたし……かっこいいと思うよそこは」情が移ったわけじゃないけど、今回は二人とも生き残らせてもいいかな。「二人とも逃げていいよ。殺した人は一応魔物に変えておくから、運が良ければま
last updateZuletzt aktualisiert : 2026-09-08
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閑話その14

閑話その14再び咎様に反旗を翻した輩が現れた。咎様の表情を見ていればわかる、この笑顔は想定外が起きた時だ。ならば私が排除しなければならない。信仰の感情にかけて!私が探るとどうやら他国の街が魔葬少女制度に反対しながらも魔葬少女を喰らったことが分かった。一般人がそんなことをすれば人間として死ぬというものを……能無し連中は咎様のありがたみを理解していない。咎様が世界を支配しているから、私たちは感情を抑え込まずにのびのび生きていられるというのに!想定外は咎様にとってご褒美に近いのかもしれない、その邪魔をするのは忍びないけれど咎様の身に何かあってからでは遅い。希望の魔葬少女の時も私はそう思って動いたのだ。咎様が生きておられる世界こそが至高なのだ!……それでいうと私は特に毒島様が気に入らない。あの方は咎様に魔法を教えていただいた初期勢というだけで羨ましいというのに、咎様に反旗を翻したことさえ何度もあるのだぞ!それだけでは飽き足らず咎様からのご指名を雑用などと……だが、私には実際荷が重すぎる。私が本気を出しても億の数を殺すのには五年以上はかかる。……無駄な考えは捨てて咎様のために行動しなければ。私が発見したのは、半分魔物の男人間、咎様曰く"魔人"に襲われている魔葬少女だった。「主の嘆きを受け入れよ"神の涙(オーバーレイン)"」「お…………まえ!」「発動が遅くなるというのに慈悲として一々詠唱してやったんだ、感謝しろ能無しが」魔人は私を睨みながら潰れた。助けられた魔葬少女は深々と私にお辞儀をしやがった。私は咎様のためにしただけだってのに、一々律儀な奴だ。「この度はお助けいただきありがとうございます!!」「おい、そこの魔葬少女……そんなにお礼を伝えたいなら日本に行け、咎様が助けてくださる。そういうのは生き残ってからにしろ」「はい!! その際はどうか貴女にお礼させてください!」この女は魔葬少女だからと、この魔人を殺さないようにしていたのか怪我をしていた。「転移するのは待て、その傷を治してからにしろ。そんなみっともない姿を咎様に晒すつもりか!」「しかし……出来るだけ温存しておきたいのです。まだ死にたくない」「……はぁ、それなら私が治してやる」「それでは貴女が死んでしまいます」「そんなことを気にするぐらいなら咎様に感謝しろ」私
last updateZuletzt aktualisiert : 2026-09-08
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第五十五話

第五十五話魔女様に一時的に母さんを任せて僕が傷つけた人に謝り行くために魔女会から出ようとしたときに扉の前で誰かにぶつかった。「あのここが魔女会で合っているでしょうか、ミチルからここで登録すれば助けてくれると聞いたのですが」確か朱莉に秋口さんって呼ばれるきっかけになった人の名前も満だったけど、あの人の性格からして人助けなんてしないだろうし別人でしょ。登録の仕方なら僕も覚えてるから、謝りに行く前に終わらせておこう。「教えますので、ついてきてください」僕はこの人と朱莉を連れて受付に戻った。「あの、この人を魔女会に登録したいのですがいいですか?」魔女会の登録の手続きとしては書類に名前、出身、感情、魔法と最低限のことを記入する。あとは任意にはなるけれど、魔女様との顔合わせで終わるという、ものすごく簡単なものだ。これが新人でも登録は可能と言われる所以らしい。それなら新人にも教えてもらいたいものだけどと愚痴りそうになったけど愚痴ったところで契約霊が教えない状況は変わらないんだから意味がない。僕は女性が書き終えた書類を見せてもらって分かったことがある。『名前、ミカエル・ミハング・パトリシア出身、UK感情、理想魔法、自分の理想を現実にする魔法、追記他の魔法は実戦でお見せします』もしかしたら海外支部的なところから来たのかもしれないと考えてしまう僕の思考は偏見で汚れているのだと改めて実感してしまう。受付の人はある提案をしてきた。「実戦でしたらこの場にいる風香さん、朱莉さんとしてみるのはどうですか?」パトリシアさんは乗り気ではなかったらしく、魔物討伐に変えるようにお願いしていた。「そういうことでしたら、そういたします。依頼をこなすのを風香さん、朱莉さんが確認する形にいたしましょう」そこでなぜ僕と朱莉なのだろうかと疑問に思ったが、正式な魔葬少女になった際には後輩の指導をすることになる。それなら先に似たような経験をしておくのもいいのではないだろうか。「あの、なぜ僕たちなんですか?」受付の人に質問すると笑顔で答えた。「魔女様がお二人をあと一歩と評価されているのをお聞きしたので、正式になった際の予行の場として利用出来るのではないかと思いましてね。ではこれで登録は完了です。ミカエルさん依頼をお選びください」パトリシアさんが選んだ依頼は樹海での魔
last updateZuletzt aktualisiert : 2026-09-09
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閑話その15

閑話その15最近の趣味である料理が完成した私は急いで母上に持って行きましたわ、当然転ばないようにですわよ。「母上、食べてくださいませんか? 今回の料理は上手く出来た自信がありますの!」今回は学校での調理実習も取り入れましたから美味しくなっているはずですわ。「ほんと葵はそそっかしいんだから。そんなに走らなくても私は逃げないから」母上は約束を守ってくれる、私の自慢の母ですのよ!「……どうですか? 母上に食べてほしくて練習しましたのよ」「そんなに緊張しなくても葵の作ってくれる料理は世界で一番美味しいのよ、三つ星だって夢じゃないわよ、もっと自信持ちなさい」「そっ、そこまで言われてしまっては仕方ありませんわね」嬉しいですわ、これは夢かしら……分かっていますわよ、夢じゃないことぐらい。はしたないと分かっていますが、飛び跳ねちゃいそうですわ!!「ねえ葵、一つ聞いてもいい?」母上が私に質問してくるということは、覚悟しなければなりませんわね「いつになったらお友達を連れてきてくれるの? 葵のお友達に会ってみたいの!」やはりこの質問でしたわっ!!架空の友達を作る作戦にいたしましょう「私のお友達は大人の女性なので、お仕事が忙しくなかなかお時間を作れない方なのです。もう少しお待ちいただけませんか?」もっと細かく作らなければ母上から質問が飛んできますわ!「お仕事をしているといえど有休を取ればお休みは可能なはずですけれど?」「だっ、大学を卒業したばかりの方なのでお忙しいのですわよきっと」「大学を卒業といえど会うことは出来ますよね」母上、私を心配してくださるのはいいのですが……少し顔が怖いですわよ!!「えーっと、そのですね……その方は卒業したばかりの二十四歳の方で人助けでボランティアにお時間を割くのでお会いさせるのが難しいのですわ」こっ、これならどうですか母上「そんな立派な方とお友達になったのね。だけど葵……もう少しマシな嘘をつきなさい。お母さん、分かるんだからね。いつかその嘘を本当にしてほしいのはお母さんのワガママかしらね……チラッ」「……本当にできるように努力いたしますわ」「別に努力しなくていいのよ。葵の素を見て仲良くしてくれる人ならきっと現れるから取り繕わずに正面から向かい合いなさい。葵にはその方が合ってると思うわよ」その素がなかなか出
last updateZuletzt aktualisiert : 2026-09-10
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第五十六話

第五十六話朱莉を助けるために恐怖を利用するために傷つけた人たちに謝るために家の前についた。「どうしよう朱莉……インターホンを押す指が動かない」自分の行ったことの重さを理解したが故だとしても相手からすればそんな言い訳通用しない。僕だって朱莉を傷つけられて言い訳されたら激怒するだろう。己の罪の重さに押しつぶされそうになり震える手に朱莉はそっと手を添えてくれた。「風香ちゃんだけに背負わせないから」朱莉の力強い言葉は僕の魂が震えた感覚で涙が止まらなかった。「朱莉……本当にありがとう。それと朱莉、僕が何をされても我慢してほしい」「出来る限りは頑張るけど、無理そうなら止めるからね」「その時は頼むね朱莉」ピンポーン「はーい、だ……れで」少女はインターホン越しに僕を見るなり走っていった。一分程経った時、玄関が開いた。そこで見たのはナイフを持ち、僕へ殺気を向けて涙をこぼして走ってくる少女だった。「お前のせいでぇぇぇぇ!!」その瞬間の僕には避ける選択肢はなかった。ズブ僕にナイフが刺さるなり、少女は僕を押し倒し何度も刺した。「待って、それじゃあ風香ちゃんが!!」僕は首を横に振った。「お前のせいで父さんが、おかしくなったんだ!! 私にさえ怯えて……部屋から出てこない! お前が……お前が…………」少女は冷静になったのかナイフを落とした。「……なんで、父さんなんだ。……父さんが何をしたって言うんだよ、答えてくれ!!」少女の問いかけに僕は包み隠さず話した。「……誰でも良かったってことか。それなら……なんで私たちなんだ!! 別の誰かでも良かったじゃないか……日常を返してよ」この光景に胸が苦しめられ胸の高鳴りなど一切しなかった。これは僕の……いや、今は僕と朱莉の罪なんだ。「もう二度と私たちに顔を見せないで……次に来たら絶対に許さない」結局僕たちは追い返された。そこは予想通りなんだけど、少女はなぜ僕の治療を見てなんとも感じていないんだ?あの少女のナイフは全て臓器にまで達していた。確実に殺す覚悟で刺していたにも拘わらず僕は目の前で治療しているというのに、顔色ひとつ変えていない。見た目的に六、七歳だというのに顔色ひとつ変えずに僕の目の前にいた。その事実が涙を流して僕を刺したと考えると罪の意識に苛まれてしまう。当時の僕だと…………あれ
last updateZuletzt aktualisiert : 2026-09-11
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