Alle Kapitel von 魔葬少女【連載版】: Kapitel 71 – Kapitel 80

88 Kapitel

閑話その16

閑話その16父さんを壊すのは私なのに……先に、あの女が壊しやがってぇぇ!!「父さん、聞いてる? 私に母さんがいないのは父さんのせいだって……未だ理解していないの? 年長の私に言われるとか、馬鹿なんだね」父さんが母さんの話をする際に名前を言わない。言うのはただクソビッチとだけ……私にだって分かるっていうのに、父さんと来たら脳がないのか虐めが犯罪だということを理解していない。母さんを虐めた奴を皆殺しにするまで死ねない。せっかくもうすぐ父さんを殺す計画が上手くいきそうだったのに、先に壊されたら面白くない。たとえ母さんが帰ってこなくても、勝手に動く……趣味も兼ねているからね。「父さん、じ~っくり楽しんでね」反応つまんないな。もうすぐ小学生になるんだから年長さんの間に出来る限り楽しまないとね。良い子ちゃんの演技も大変なんだから……今なら演じなくても楽しめるってものよ!!「ギャハハハハハハハハ!!」あの女も師匠と同じ魔葬少女なのは、あの治癒力を見れば分かる。私には魔法とやらは使えないけど、師匠の眷属として……身体能力で負けるわけにはいかない。回想「魔葬少女の眷属はどうなるのかを君たちで試させてほしい。蛍ちゃんの娘と日暮さんの弟さん。日暮さんの弟さんには時間加速で君と同じ歳にするから、きょうだいとでも思ってこれから過ごしてほしい」これが師匠との出会いで真の家族との出会いでもある。弟は加速で歳を取っただけなので、記憶自体はない。師匠と弟の時間は最上で父さんなぞとは比べ物にならないほどだった。師匠の名前は時貞美里(ときさだみさと)だ。とは言っても、魔葬少女時代のという言葉はつくけれど。師匠の魔法は時の支配らしく、いつでも魔葬少女時代に戻ることや魔物という姿になることも出来るという。私は魔葬少女候補の卵と呼ばれ、弟の玲司(れいじ)は魔人と呼ばれる存在になった。師匠曰くこのことは上層部も知らないことだという。私と玲司は特別な存在なのだと……そう言ってもらえた時は生きる意味を与えてもらえた気がした。それと同時に母さんの復讐を代行出来るという慢心さえ生まれた。だがそれが計画の始まりでもあった。当時四歳の出来事である。回想終わり残りは父さんだけなのに、楽しみが潰されるなんて屈辱だ。するといつもと違う猫の姿の師匠が転移してきた。「
last updateZuletzt aktualisiert : 2026-09-11
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第五十七話

第五十七話謝罪を受け入れてもらえず、朱莉がデートを誘ってきたが、お姉さんからそのデートは明日にしてと連絡があり翌日に繰り越されることになった。僕と朱莉の目的はお姉さんだというのに、デートという言葉に躍ってしまい後回しにしてしまった。こんなので、よく母さんのためとかほざけるよな……こんなの側から見れば全部自分のためじゃないか。帰宅後、一人になった僕は罪の意識で押し潰されそうになった。「このまま僕が僕じゃなくなったらどうしよう、それに次におかしくなって誰かを殺したら……その誰かに朱莉も含まれていたら」そのことを考え始めたら、止まらなくなり……結局朝になってしまった。それから朱莉から連絡があった。『似合う服で行きたいから十八時に学校で集合だからね、風香ちゃん』そのメッセージを見た僕は、朱莉に会いたい気持ちを押し殺した。「正直デートがなくても毎日会いたい」刺された翌日に僕は何を言っているんだ。そして僕は出来るだけ考えたくなかったので、眠ることにした。逃げたのだ、思考することから……怖いというそんな理由で僕は!!朱莉がデートと称して向かったのが、アイツと契約した森だった。森で朱莉に会ってから僕の内心はぐちゃぐちゃになっている。やはり考えすぎて寝不足だからだろうか。朱莉はそんな僕を見越してか森に来た理由を説明してくれた。「風香ちゃんとここに来たら二人で色々思い出せるかなぁって思ってね」幼少期を思い出せるかは別として思い出しはするだろうなとは正直考えた。「ここで朱莉が亀甲縛りで吊るされてる時は正直この子は何してるんだって思ったよ」「酷いけど、振り向いてもらおうと必死だったから……結構凄いことしてた自信があるっ!」腰に腕を当ててドヤる朱莉に僕は改めて思ってしまった。「やっぱり朱莉のこと好きだな」口に出てしまったのは仕方ないと強がりながらも今回は声の裏返りがなかったことに心が躍った。こう考えられるってことは、まだ朱莉と一緒にいられると思ってもいいんだよね……不安になる。「私も好きだよ、風香ちゃん。ここでこの言葉を伝えるのってなんだか不思議な気分だね」「本当にそうだね。……僕の初恋が朱莉で良かったと心の底から思うよ」朱莉と歩いているなかで、様々な思い出が蘇ってきた。「僕の人生が彩られたのはやっぱり朱莉と出会えたからだよ。……出
last updateZuletzt aktualisiert : 2026-09-12
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第五十八話

第五十八話朱莉と順序を話している最中に……アイツの邪魔が入った。なぜ毎回アイツは僕たちの邪魔をするんだ。「良い具合に成長したな風香、私の見込んだ被験体なだけはある」アイツは普段私なんて使わないし僕たちのことは雛と呼ぶはず、おかしい。本当に中身はアイツ……なのか?『朱莉、さっきはごめん。ちょっと提案なんだけど、中身がアイツなのか確かめたいから手伝ってくれない? もし……もしも予想が当たってしまったらすぐに逃げるよ』『ならすぐにお姉ちゃんに魔法で伝えるよ!』朱莉にはそう言ったけど、予想が当たった時点で逃げる素振りをする前に殺されるのは目に見えている。契約霊と中身を入れ替えるなんて馬鹿げた芸当をするのは、指揮をしている者だけだ。それに人間を魔物に変えられる人を僕は一人知っている。僕の前の子供を魔物に変えていたあの記憶が事実なら父さんだ。それに父さんの本名が荒川咎なら香取雛に魔法を教えた人物ということになる。香取雛、源綾音、冴木満の三人が咎様と呼んでいる。そして三人とも咎様に報告をするために僕と朱莉を殺さずに生かしている。ならば荒川咎は上位の存在であることは予想出来る。アイツは突然今までに見たことのないほど歪んだ笑みを見せ……僕は恐怖で身体が凍ったかと錯覚するぐらい動かなかった。「風香、良い線行っている。ここまで至った被験体は久しぶりだ」……まさか、心を読まれているのか。いや、母さんの時も読まれていたじゃないか…………当たるな、当たるな……当たらないでくれ!朱莉は僕の手を握り安心させようとしてくれた、朱莉だって震えているのに。あの時作った探知魔法を改良して転移に使えるようにしないと、待っていては僕のせいで朱莉が殺される。「それだけは絶対に嫌だ!!! 朱莉逃げ…………」その時世界が地獄であることを理解した。僕が握っていた手の先がなくなっていた。「…………これは夢だ。夢だ夢だ夢だ夢だ夢だ夢だ夢だ……こんなのが現実なわけが無い!! 香取雛、いるんだろう!! 記憶を消すならなんなりしてみせろ!!」どれだけ叫んでも周囲を見渡しても朱莉を蘇らせようとしても…………何も、何も出来なかった。膝から崩れ落ちた僕をアイツは…………いいや咎は嘲り笑った。「その表情が見たかったんだ!! だから、あと二回は特別枠として朱莉を蘇らせてあげるよ。
last updateZuletzt aktualisiert : 2026-09-12
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第五十九話

第五十九話戦う時はさっきの記憶を使う、そうすれば必ず最大火力で戦える。本当は朱莉の死を利用してるのが心底嫌だけど、さっきのが一番の恐怖であることに変わりはない。ならばもう二度と朱莉を死なせないためには…………使うしかない。「最大限に魔法を使う際に朱莉の死を使わせてもらうけどいい?」朱莉は震えながらも、僕に許可をくれた。朱莉の手を握ろうとすると、どうしてもさっきのことを思い出してしまい……握れなかった。だけど、ここで握れなくては咎を殺せず朱莉も守れない。そう言い聞かせて震えながらも僕は朱莉の手を握った。「風香ちゃん、無理しなくていいんだよ」「それをいうなら朱莉だって…………正直あの時恐怖じゃ言い表せないぐらいだった。信じたくなくて香取雛の夢だと……そう信じたかったんだ」『相方に隠し事は出来る限りしないこと』愛海さんの言葉が蘇るばかりだ。……朱莉に隠し事をされてショックを受けていたというのに、僕自身が蘇生魔法を自分に使うことを口に出していない。正式になるためという言い訳はなしだ。言い訳し続ける以上恋人としても誠実じゃない。これ以上、僕は獣にはならない、なるわけにはいかないんだ。「朱莉はもう知ってると思うけど、咎を殺すために蘇生魔法を僕に使って死に続けようとしていたんだ。だから、その時は僕を連れ戻してほしい……多分その状況になったら僕はおかしくなってると思うから」朱莉にはもう二度あんな姿にはさせずに母さんの記憶戻す。これを二年以内にしなければならない、いいや必ず達成させる。不可能だと言われても僕たちは咎を殺して必ず元の生活に戻る。恐怖の中で生まれた咎への明確な殺意がより僕を強くさせる。「朱莉、一緒に人間に戻ろう。魔葬少女をやめて人間としてたくさんデートしよう」そう決意した時、身体の震えは少し収まった。「その時には今日のことを笑い合おうね風香ちゃん」朱莉の言葉に応えるために僕は改めて決意した。「絶対に笑い合おう、母さん含めて……みんなで」たとえしつこいと言われても僕はこの手の温もりを失わないために強くなるんだ。すると口笛の音と共に時間が止まった。「風香ちゃんには悪いけど、ちょっと光莉の発散に付き合ってもらうね」僕が振り返ると目の前には理性を無くし鬼化したお姉さんがいた。今までの僕なら殴られるだけだけど、今回はそ
last updateZuletzt aktualisiert : 2026-09-13
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第六十話

第六十話お姉さんを正気に戻せたことは良かったけど、僕にはしないといけないことがある。「お姉さん、朱莉を守れず申し訳ありませんでした」お姉さんは僕を怒ることはなかった。「朱莉を守れなかったのは私も同じだから…………これ以上はやめて。話があるんでしょ風香ちゃん、それを今すぐに話して……そうしたら流すから、今は」お姉さんはそう言いつつも、表情が物語っていた。お姉さんは知っていて尚、僕の口から直接聞きたかったのだろう。「分かりました」正式な魔葬少女になること、日本だけではなく世界を見聞きすること、蘇生魔法を覚えること、覚えた上で自分で使おうとしたこと、咎を殺す計画のことを改めてお姉さんと水本さんに話した。蘇生魔法を僕自身が使おうとしたことを伝えた際はお姉さんの眉間はピクリと動いたが、堪えている様子だった。水本さんは初見だったようで多少の驚きはしていたが、やる気満々な様子だった。周囲を見渡しても琴桐さんと佐江さんは居らず、計画をどう伝えようかと悩んでいるとお姉さんが、僕に伝えた。「二人には私たちが伝えておくから気にすることはない。それなら私たちはもう行く…………もう二度と朱莉を死なせないために」僕はお姉さんが鬼化していた経緯を聞くために足を止めてもらった。「そんなの朱莉が死んだのが分かったからに決まってるでしょ。聞かなくても分かるでしょ、森を更地にした恋人の風香ちゃんなら……もういい? 朱莉を傷つけた奴がいないんなら私と美咲はもう行くから」そう言ってお姉さんと水本さんは去っていった。お姉さんと水本さんが去っていった後に朱莉が一つ教えてくれた。「お姉ちゃん、風香ちゃんのこと以上に自分のことをものすごい責めてた。鬼化はその影響だと思う」僕と朱莉が暴走した時も似たようなことになったことがあるから理解出来る。だけど、水本さんが暴走している様子はなかったように見えたけど暴走の具合は個人差があるとすれば理屈は通る。琴桐さんから貰った取材メモのコピーで今の僕たちに必要なものを探した。まず探したのは蘇生についてだ。蘇生がないと僕たちには何も始まらない。もし取材メモにあれば、琴桐さんからメモにないことで協力してもらえる。メモに書いてあるものは僕たちで先に終わらせメモにないものを琴桐さんと取材する、そうすることで効率がいいはずだ。「これとかどう
last updateZuletzt aktualisiert : 2026-09-13
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第六十一話

第六十一話「ここが怪寿村(かいじゅむら)か、見た目は普通の村っぽいけど本当に人魚の肉があるのか心配だな」一般的なイメージの村だと僕と朱莉はそう思っていた。実際はその真逆だと言うことを知らないが故に。「風香ちゃん、あそこみて!」朱莉が指差した場所には村人がいた。「あの人から話聞いてみようよ」僕の手を握るなり朱莉は走り始めた。「ちょっと朱莉、もう少し落ち着こう」村人に近づいてみて分かったことがあるのだが、空気が異常だ。汚いとかそういうのじゃなくて、重いというか突き刺さるというか……なんて言葉にしたらいいのか説明しづらいけど……契約する日に初めて魔物に出会った時のようなそんな空気なんだ。「危ないかもしれないから僕が先に行くから朱莉は下がってて」顔を上げ僕たちを見る村人は笑みを浮かべている。だけどその笑みには咎のような恐怖は感じなかった。気のせいだったのか?「そこのお二人さん、危ないからもうちょい下がって!」村人は僕たちに何かを忠告していたけど、何が危ないのか僕たちには分からない。「早く下がらないとパックリと喰われて死んじまうよ」「喰われるって何に!?」僕が叫ぶと村人はポケットから何かを取り出し、美しいフォームでぶん投げてきた。「ふんっ!!」速すぎて思わず拳に恐怖を纏って取ってしまった。「危なかった。朱莉大丈夫、怪我とかしてない!?」「私は大丈夫だけど、風香ちゃんこそ魔法使って大丈夫なの?」「纏うだけならそこまで消費しないから大丈夫だよ。それより……生臭くないかなこれ」僕が掴んだものを見るために手を開くと何かの生肉だった。「あの~、これなんですかー!!」僕が声を張り上げ質問すると、村人は急かしてきた。「とりあえず今すぐ二人で食べて!! 食べれば私が伝えたい危険が分かるから!!」生肉を食べるって……絶対死ぬやつじゃん、本当に大丈夫なの?……でも朱莉が食べることに…………あっ、そうだ食べる瞬間に肉に接触する部分に恐怖を纏わせれば多少は安全になるかもしれない。僕はそう考え、すぐに試した。そして肉を呑み込んだ瞬間に見えたものに、僕は腰を抜かしてしまった。「ごめん朱莉、逃げて……僕を置いていいから今すぐ逃げて!!」僕の言葉を聞かずに手の中に残った肉を朱莉は食べた。「……凄い、凄いよ!!」朱莉は僕とは逆に目を輝か
last updateZuletzt aktualisiert : 2026-09-14
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第六十二話

第六十二話「さ~てみんな仕事の時間だ」中継さんの掛け声と共に家政婦たちに僕と朱莉は床に叩きつけられた上に押さえつけられた。「朱莉に何をするつもりだ!!」魔法で強化しているにも関わらず、びくともしない。中継さんは、僕を見ながらも本当に見ているのは咎だと理解してしまった。「君が咎の子だってことは魂を見ればすぐに分かったよ。だからあやかし少女を壊した咎の始末に利用させてもらう、悪く思わないでね」中継さんの拍手の音と声が鳴り響いた。「さあ、身体が変わり始めるよ。お二人さん、ものすごく痛むから覚悟して」覚悟する暇もなく痛みが襲ってきた。「………り、手…………」朱莉の手を繋ぐ前に何度も何度も僕の意識は途切れた。次に目を覚ますと隣で骨を砕くような音が聞こえ、見ると中継に朱莉が骨ごと喰われていた。「おい、中継朱莉に何をしてる」中継は喰らうばかりで返事をしなかった。「どけ、家政婦」恐怖を利用し最大限身体強化し、家政婦の胴体をバラした僕は魔法で槍を作り頭を貫いた。「朱莉に何をしていると聞いているんだ!!」咎に朱莉を殺された時みたいにしていたら、僕が僕じゃなくなる。「何って、不老不死になったか試してるだけだけど? 君にもさっきやったよ。首の辺りと右肺の辺りを見てごらん、再生跡があると思うから。それにやるなら意識がないと気にしなくて余計に痛むでしょ……一応優しさなんだよ」「だとしても、今すぐやめろ。朱莉は僕だけの恋人なんだ……これ以上続けるなら脳をグチュグチュに掻き回したドリアにするぞ」朱莉と約束したんだ、獣にはならないと……だからこれ以上は本当にやめてくれ。「したいならすれば良いよ。脳がなくなったぐらいじゃすぐ再生するから」「……僕はこれ以上獣になりたくないんだ」だから冷静に殺す。実際に不老不死になったのなら、死の恐怖を足すためには今まで以上に身体を傷つけなければならない。それだと朱莉に嫌われる。まずは不老不死になったかどうかを試さないと魔法を作るかどうかも決められないか。試すために自らの下半身を切断し心臓以外の臓器を出した。ごめん朱莉今だけは許して。これだけなら不老不死じゃなくても治せるから。相変わらず僕の身体もおかしくなったよな、昔はこれだと死んでいたっていうのにな。すると回復魔法を使う前に全て再生した。その光景を見
last updateZuletzt aktualisiert : 2026-09-14
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第六十三話

第六十三話取材メモから次を探していると、母さんに関する疑問を抱いた。魔女様が母さんに雪女を使役させるということなので、中継(なかつぎ)さんに質問した。「中継さん、もし人魚に肉を食べてない状態で雪女を使役することって可能なんですか?」中継さんは首を傾げて答えた。「どうしてそんなことを聞くのか分からないけど、雪女の場合は食べないと使役は無理だよ。確実に凍死するよ」ということは母さんは人魚の肉を食べさせられるってことになるじゃないか!「中継さん、ありがとうございます! 朱莉、今すぐ魔女会に戻ろう!」「それは良いけどここからだとだいぶ距離あるよ」「雲外鏡を使う。……中継さん、使い方教えてください!」今すぐ教えてもらわなければ、間に合わない。もっと詳しく魔女様から聞いておけばよかった。母さんまでこの苦しみを味わうことになるのは、避けないといけない。だけど、そうしたら母さんの記憶が……。「雲外鏡使いたいなら、まず場所を思い浮かべて飛び込むだけ、簡単でしょ」どうしよう、焦りすぎて上手く思い浮かべられない。「朱莉、ちょっと上手く思い浮かべられなくて……代わりに頼めないかな」どうしよう、このまま母さんが死んじゃうのに、記憶の問題が解決しない。「風香ちゃん、思い浮かべたよ!!」朱莉は僕の手を握り、手を引かれて二人で雲外鏡に飛び込んだ。雲外鏡に飛び込むとミョンミョンと波が発生し、視界に映ったのは魔女会ではなく僕の家だった。「ごめん風香ちゃん、一瞬お家を思い浮かべちゃった!」「直接魔女会じゃなく、ここからでもすぐに向かえるからありがたいんだからね朱莉」ここからの方が、覚悟を決めやすい。僕のことを気遣ってくれたのかもしれないな。そう思いながらも、朱莉と僕は全速力で魔女会に走った。十分ほどで魔女会に着くなり、受付に一言声をかけて魔女様の部屋に入った。ガシャン!!部屋には倒れた母さんと立っている魔女様がいた。「母さん!!」人魚の肉に関して手遅れだったことは母さんの身体を見たらすぐに理解できた。何故すぐに理解出来たかというと、母さんの肉体が再生してる最中だったからだ。すでに食べ終わってるのなら、あとは記憶の問題をどうにかしなければならない。気持ちを切り替えなければ元の生活には永久に戻れない。「風香ちゃん、壁を壊すのは流石にマズイ
last updateZuletzt aktualisiert : 2026-09-14
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第六十四話

第六十四話雲外鏡を使い転移した僕と朱莉であったが、この時の僕たちは知る由もなかった。あやかし少女の肉体にも感情魔法や感情のコントロール同様に練度があることに。転移した先には浅霧さん、霧谷さん、あの時の女性がいた。確か女性は霧谷さんから、篠原嬢と呼ばれていたな、そう呼んだ方がいいのだろうか?そう考えていると女性が僕を見るなり睨みつけるような表情をしながら口を開いた。「咎の娘が何故ここにいる」三人に魔女様と同じく怪寿村で人魚の肉を食べたこと、幼い雲外鏡を手に入れたこと、アイツと入れ替わった荒川咎の可能性が高いと注釈を入れた上で出会ったこと、そして魔女様から当たるように言われたことを説明した。「……ふっ、ははははは咎の娘があやかし少女になったって何の冗談だよ。……舐めるなよ小娘が、私たちがどんな思いであやかし少女になったか理解した上での発言なんだろな。ならば文句は言うなよ。それに雲外鏡は鹿波(かな)の相棒なんだ……咎の娘が使うな!!」女性の言葉が耳に入った瞬間、視界が奪われた。「篠原嬢、落ち着きたまえ。思い出したまえ雲外鏡は有栖川嬢の他にも使役していたはずだ。それに新人相手にやり過ぎだ」「冬子何をしている、仲間にすることではないだろう!」「これでも私は寸止めな上に手加減もしているだろうが、何を焦る必要がある霧谷、浅霧」何が起こったのかは治っていく身体を見て理解した。肉体が消し飛び、顔から再生していったが痛み自体は何も感じなかった。「……はぁ、はぁ、なんとか間に合った」朱莉の疲労と僕が痛みを感じなかったのを合わせると、痛みを飛ばしてくれたのだろう。「……風香ちゃん、ごめん焦って飛ばしたから誰に飛んだか分からない」この後振り返った僕は理解した何を浴びたのかを。「朱莉、なんでさっきまであった山がなくなってるの」「あの人のパンチの風圧で……なくなったよ」その言葉だけで、朱莉が焦った理由としては充分すぎる。もし僕と朱莉もこれぐらい強くなれるのなら、咎を殺して元の生活に戻る計画の成功率が高まる。僕たちには二年しかないんだ。身体は不老不死になったとしても感情消費での魔物化や人形化のリスクは何も変わらない。だからこそ僕はこの光景を見て少し期待してしまった。あやかし少女がこれほど強くなれるのなら、魔葬少女と合わせれば、僕と朱莉は強くなれ
last updateZuletzt aktualisiert : 2026-09-15
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閑話その17

閑話その17今日は依頼を受け、正式勢の魔物共が跋扈する洞窟へ私は来ている。数はそこそこ居たのだが、根を上げる輩が多すぎる。「この程度で根を上げるな! 貴様らはそれでも正式勢の魔物か!」私は大きく息を吸い、放った。「喝っ!!」破裂音と共に、魔物共が根を上げた。所詮はこの程度なのか、もっと熱い相手に出会いたいものだな!そう考えていた私の前に人型の魔物が姿を見せた。「ふぁ~、せっかく気持ちよく寝てたのに邪魔しないでよ~。……うわぁ、君の周囲の暑苦しい空気苦手だわ~、今帰ってくれるなら殺さないけどどうする? アタシ的には帰ってほしいんだけど…………」「貴様は何者だ!」「ちょっとこっちが話してるのに、攻撃しないでよ~」こいつ、私の攻撃を弾いただと……面白いではないか、これぞ。「熱いではないかっ!! 燃えてくるぞ!!」「ちょっと、洞窟溶けてんだけど何してくれてんの!? アタシの寝床がぁぁぁ!」魔物は膝を崩し泣き喚きながら地面を叩き始めた。「貴様の本気を見せてみろ」「もうしょうがないな~、って言っても私十五期だからそこまで強くないからね、後輩ちゃん」魔物は臨戦態勢をとったが、私は疑問に思ったことをぶつけた。「十五期とはなんだ、話を聞かせろ。それまでは何もしないと約束するぞ! それに良い寝床も用意するぞ!」すると魔物はオットットなどと呟きながら転けそうになっていた。「せっかく本気出そうと思ったのに、削がれちゃったよ~。それに寝床が手に入るならそっちを優先するよ~」「睡眠は成長に大切だからな、壊してしまった責任は取らせてもらう!」「君良い子だね~、気に入ったよ。説明させてもらうとね、ふぁ~……んん、眠たい」魔物は首をコクリと何度前後させ見るからに眠たそうにしている。「私が眠りを邪魔したせいだな、すまない」私は腰ポケットに入っていた眠気覚ましの飴を渡した。「ありがと~、君って本当に良い子だね。早速舐めても良い?」「舐めても良いから渡したのだ」「いただきます~、それで十五期っていうのはね~…………」魔物が説明したものは、創世記の魔葬少女としてのラベルのようなものだった。荒川咎という人物が魔葬少女を作ったとこの魔物は説明していたが、それが事実ならばこれほど蒸し暑いことはない。私たちは掌の上で転がり溶かされるチョコのボールとい
last updateZuletzt aktualisiert : 2026-09-15
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