映像は、何度止めても同じ場所から始まった。 雨に濡れた七刻女学校の校門。 錆びた鉄柵。 まだ誰も到着していない山道。 そして、午後十時四十分を少し過ぎた時刻。 黒い雨具を着た人物が、画面の左端から現れる。 理科準備室の床へ置かれた古いビデオカメラを囲み、五人は黙ってその姿を見つめていた。 人物は深くフードを被っている。 顔は見えない。 背丈は朔や悠斗と大きく変わらないようにも見えるが、厚い雨具のせいで肩幅すら判別しづらい。歩幅も一定ではない。わざと特徴を消して歩いているようだった。 人物は門の前で立ち止まる。 腰を屈める。 地面へ置かれていた太い鎖を拾った。「巻き戻して」 美月が言った。 朔が映像を数秒戻す。 黒い人物が鎖へ触れる直前。 門にはまだ、六つの木箱がない。 再生。 人物は鎖を外し、門扉を人一人が通れる幅だけ開いた。 そのあと画面の外へ消える。 二分ほどして戻ってきたとき、両手に古い木箱を二つ抱えていた。 一度。 二度。 三度。 往復し、六つの箱を門前へ並べる。 雨宮澪。 神代朔。 早乙女美月。 黒瀬悠斗。 白石奈々香。 相馬透。 それぞれの名札を確認するように、人物が一つずつ蓋へ手を置く。「最初から、こいつが置いた」 悠斗の声が低くなった。「箱も。鎖を外したのも」「装置の起動時刻とも近い」 朔は監視室で撮影した操作記録を呼び出し、時刻を照らし合わせる。「管理者の最終ログインが十一時七分。その前後に、各部屋の制御装置が待機状態へ入ってる」「この人がやった?」 奈々香が訊く。「可能性は高い」「透を殺したのも?」 声が震える。 誰もすぐには答えなかった。 画面の中で、黒い人物は最後の箱を置き終えると、校門を抜けて校舎へ向かっていく。 右手には撮影用のカメラ。 左手には小さな黒い鞄。 管理通路にあった装置を操作するための端末が入っていたとしても不思議ではない大きさだった。「待って」 澪が画面へ近づいた。「手」 黒い人物が雨具のフードへ触れる。 袖口が少し上がる。 右手首に腕時計。 黒い文字盤。 銀色の縁。 太い革のベルト。 悠斗が自分の手首を隠すように腕を下ろした。 八年前の映像。 理科準備室へ澄花を押し込んだ人物。 画面の端へ一瞬だけ映
آخر تحديث : 2026-08-22 اقرأ المزيد