桜庭景が椿家を訪れた数日後。 椿和馬は、まだ桜庭家からの返事を待っていた。「まったく、ずいぶんと融通の利かぬ男だ」 和馬は手にした書類を机に置き、鼻を鳴らした。 伏見中将とやらの縁談をまとめるために、持参金の条件を提示しただけではないか。 椿家は古くから続く男爵家なのだ。相応の待遇を求めるのは当然だろう。 桜庭家にしても、名門の椿家と縁を結べるのなら、多少の譲歩はするはずだ。 いずれ景の方から、条件を改めて提示してくるに違いない。 和馬は、そう信じて疑わなかった。 しかし、その翌日。 和馬のもとに、取引先から一通の書状が届いた。 進めていた商談について、予定していた会談を延期したいという。先方の都合によるものだと記されていたが、新たな日程については何も書かれていなかった。「延期だと?」 和馬は不満
최신 업데이트 : 2026-10-21 더 보기