「……あの、そちらのお品を、見せていただけますか?」 遥香が指さしたのは、店の奥に並ぶ茶道具だった。「こちらでございますか?」 店主が棚から取り出したのは、淡い青磁の茶碗だった。 隣には、素朴な絵付けの水指や、小ぶりな茶入れが並んでいる。 どれも先ほどの鍾泉窯の茶碗に比べれば、華やかさでは見劣りする。 けれど、ひとつひとつに異なる趣があり、丁寧に作られた品であることは遥香にも分かった。「こちらは、近ごろ腕を上げてきた職人の作品でございます。まだ名の知れた作家ではありませんが、仕事は確かですよ」 店主の説明を聞きながら、遥香は茶碗を手に取った。 光の加減で、青磁の釉薬が柔らかく色を変える。 派手ではない。けれど、手の中にすっと馴染むような美しさがあった。「……素敵ですね」「お気に召しましたか?」
최신 업데이트 : 2026-10-29 더 보기