『私から連絡が来てること、絶対に言わないで』 千紘はその文章を見つめた。 私から。 匿名の相手は、初めて自分自身を指して、そう書いた。『どうしてですか?』 送信。 すぐに既読になる。『彰人さんに疑われてるから』『何を?』『あなたに連絡してるんじゃないかって』 千紘は口元を緩めた。 やはり彰人は気づき始めている。『連絡してるじゃないですか』『だから困ってるの』『だったら、もうやめればいいのでは?』 既読。 しばらく返事はなかった。『あなたが彰人さんに近づかなければ、私だって連絡しない』 千紘は小さく息を吐く。 とうとう心配だからという建前まで崩れた。『私が榊原さんと会うのが嫌なんですね』『そう』『どうして?』 既読。『仕事関係なんですよね?』 返事はない。『恋人でもないのに?』 数分後。『あなたには関係ない』 千紘はそこでやめた。 十分だった。 芹奈は彰人に知られたくない秘密をまた一つ凛に握らせた。 ◇ 翌日。 彰人から連絡が来たのは、昼過ぎだった。『少し確認したいことがあります』 千紘は画面を見る。 来た。『何でしょう?』『相沢から、個人的に連絡が来たことは本当にありませんか?』 予想通り。 千紘はすぐには返さなかった。そして少しおいてから返した。『どうしてですか?』『昨日、少し気になることがあって』『相沢さんと何かあったんですか?』『大したことではありません』 そして。『もし何かされているなら、俺に言ってください
Dernière mise à jour : 2026-09-04 Read More