その夜、芹奈はほとんど眠れなかった。 彰人と付き合い始めた頃のことまで思い出した。 千紘に隠れて会っていた頃は、彰人が自分を選んでくれると思っていた。 千紘さえいなくなれば、もう隠れる必要もない。 そうなれば、彰人と堂々と一緒にいられる。 実際、千紘はいなくなった。 けれど、自分が想像していたようにはならなかった。 今では彰人が何を考えているのか分からない。 彰人も、自分が何を話すのか気にしている。 これでは恋人ではない。 ただ、同じ秘密を抱えているだけだ。 ◇ 翌朝、彰人からメッセージが届いた。『昨日は悪かった』 芹奈はしばらく見つめてから、『うん』 とだけ返した。 すぐに次が届く。『今日、少し話せない?』 断ろうと思った。 けれど、このまま曖昧にしても同じことを繰り返すだけだ。『仕事のあとなら』 そう返した。 ◇ 二人が入ったのは、会社から少し離れたカフェだった。 彰人はコーヒーを一口飲んでから、口を開いた。「昨日は本当に悪かった。雨宮さんのこと聞いたのも、別に芹奈を疑ってるわけじゃない」「じゃあ、どうして?」「最近、あの人が千紘のこと気にしてただろ。だから気になってるだけだよ」「私じゃなくて?」「そうだって」 彰人は困ったように笑った。「俺たちまで揉めてどうするんだよ」 その言葉に、芹奈は目を伏せた。 俺たち。 以前なら嬉しかったはずの言葉だった。「彰人」「ん?」「私たち、もう終わりにしない?」 彰人の表情が止まった。「……何?」「別れたい」「何で急
ปรับปรุงล่าสุด : 2026-09-28 อ่านเพิ่มเติม