Tous les chapitres de : Chapitre 71 - Chapitre 80

147

探られているのは誰?

 翌朝、千紘が目を覚ますと、匿名の相手からメッセージが届いていた。『昨日、彰人さんと何を話したの?』 送信時刻は午前一時過ぎだった。 昨夜、彰人との電話を終えたあとにもスマートフォンは確認したが、そのときにはまだ届いていなかった。おそらく芹奈は、彰人から何か言われるのではないかと待ち続けていたのだろう。 千紘はベッドの上で身体を起こし、しばらく画面を眺めた。『相沢さんから連絡が来ているか聞かれました』 少し考えたあと、そのまま事実を返す。 数分もしないうちに既読がついた。『何て答えたの?』『少しだけ連絡があったと答えました』『言ったの?』『全部ではありませんよ』 次の返事はなかなか来なかった。 怒っているのか、焦っているのか。それとも、彰人にどこまで知られたのかを考えているのか。 千紘はスマートフォンを置いて支度を始めた。もう芹奈の機嫌を取る必要はない。むしろ今は、自分が二人のどちらにも完全には味方していないと思わせた方がいい。 朝食を済ませた頃、ようやく返信が届いた。『どこまで話したの?』『あなたが榊原さんについて何度か聞いてきたことだけです。事故や奥様について話したことは言っていません』 今度はすぐに返事が来た。『絶対に言わないで』『どうしてですか?』『お願いだから』 相変わらず理由は説明しない。 けれど、それでいい。 説明できないということ自体が、芹奈にとってその話題が危険だという証拠になる。『分かりました。今のところは言いません』 千紘はそう返し、最後に一言だけ付け加えた。『でも、私も何も分からないまま秘密を守り続けることはできませんよ』 既読がついたものの、返事はなかった。     ◇ その日の午前中、榊原コーポレーションとのオンラインミーティングが入っていた。 
last updateDernière mise à jour : 2026-09-08
Read More

雨宮凛という女

 芹奈は、凛から届いた最後のメッセージに返事をしなかった。『あなたは、私に何を知られるのが怖いんですか?』 何度読み返しても、ただの好奇心から出た質問には思えなかった。 これまで芹奈は、凛が彰人に近づいていることばかりを気にしていた。千紘にどこか似ている女が現れ、彰人が興味を持ち、自分の立場を脅かしている。それが怖くて、二人を引き離したかった。 だから匿名で連絡した。 彰人は危険だと教えれば、凛は離れていくと思ったのだ。 ところが、凛は離れなかった。それどころか芹奈の話を聞き続け、妻の死について質問するようになった。 最初は、彰人に興味があるからだと思っていた。 好きになった男の亡くなった妻が気になる。それなら理解できる。 けれど凛は、彰人を好きではないとはっきり言った。 それなのに、なぜ。 芹奈は匿名のメッセージを最初から読み返した。『奥さんがどうして死んだか知っていますか?』 最初にその話題を出したのは、自分だった。 凛が事故について質問するようになったのも、そのあとだ。 そこまではいい。 しかし。『あなたは、あの日そこにいたんですか?』『見ていないなら、どうして嘘だと分かるんですか?』 あの質問だけは妙だった。 普通なら、彰人が妻を助けようとしたという話が嘘だと言われても、「どうしてそう思うのか」と聞くだろう。 凛は違った。 見たのか。 そこにいたのか。 まるで最初から、事故の現場に誰か別の人間がいた可能性を考えているような聞き方だった。「……何で?」 芹奈は小さく呟いた。 凛は何か知っている。 そう考えた瞬間、背中が冷たくなった。 だが、何を。 あの場所には――。 そこまで考えて、芹奈は思考を止めた。 余計なことを考えるな
last updateDernière mise à jour : 2026-09-08
Read More

今度は愛人が私を調べる

「……もう一つだけ聞いていいですか?」「どうぞ」 芹奈はじっと千紘の顔を見た。「雨宮さん、誰かに私たちのことを聞いたり、調べたりしてません?」 千紘はすぐには答えなかった。 予想していなかった質問ではある。 けれど、慌てるほどではない。「どうしてそう思うんですか?」「質問してるのは私です」「そう言われても、何を疑われているのか分からないので」 千紘は困ったように笑ってみせた。「私が誰かに榊原さんと相沢さんのことを調べてもらってる、ってことですか?」「そこまでは言ってません。ただ、誰かに聞いたりしてるのかなって」「誰に?」「それは知りません」 芹奈自身も、具体的な相手を想定しているわけではないらしい。ただ、凛が自分の知らないところで何かを探っているのではないかと疑い始めただけだ。 それなら、まだ大丈夫だ。「してませんよ」 千紘は答えた。 三枝に会っている以上、完全な事実ではない。だが、ここで認める理由もなかった。「そもそも、私が調べる必要あります?」「だから、それが分からないから聞いてるんです」「だったら私も同じですよ。どうして相沢さんが、そこまで私を疑うのか分からない」 芹奈が口を閉ざした。「最初に私へ近づいてきたのは相沢さんですよね。会社の外で、榊原さんに近づかない方がいいって言われました。そのあと匿名の人から、奥様の事故について何度も意味深なことを言われた。なのに私が気にし始めたら、今度は何か調べているんじゃないかって疑われる」 千紘は少し困ったように眉を下げた。「正直、私からすると相沢さんの方がよく分からないです」「……」「榊原さんとは付き合っていない。でも、私が榊原さんと会うのは嫌。奥様の事故について気になることがあるような話をする。でも、私が聞くと何も答え
last updateDernière mise à jour : 2026-09-09
Read More

いつ知ったの?

『千紘さんが死んだことを知ったのは、いつ?』 千紘はその質問を見つめながら、すぐには返信しなかった。 これまで芹奈から届いていたのは、彰人に近づくなという警告や、二人の関係についての探りばかりだった。だが、今回は違う。 芹奈は明らかに、雨宮凛について調べようとしている。 ここで答えを間違えれば、余計な疑いを持たれるかもしれない。 千紘はこれまでの彰人との会話を思い返した。 最初に妻が亡くなったと聞いたのは、彰人本人からだった。仕事で知り合って間もない頃、結婚記念日の旅行中に事故で妻を亡くしたと聞かされている。 それなら、答えは簡単だった。『榊原さんから聞いたときです』 少しして既読がついた。『それより前は?』『知りませんでしたよ』『ニュースとかで見なかった?』『見てません』 千紘はそこで一度、返信を止めた。 雨宮凛が事故を知っていた証拠など、おそらくない。そもそも芹奈自身、そこまで大きく報じられた事故だったと考えているわけではないだろう。『どうしてそんなことを聞くんですか?』 今度は千紘から尋ねた。『何となく』『昨日はもう聞かないでって言ってませんでした?』 既読がついた。『私は聞いてない』 思わず笑いそうになった。 匿名であることを最後まで利用するつもりらしい。『そうですね。相沢さんとは限りませんものね』 それだけ返すと、しばらくメッセージは来なかった。     ◇ 昼休みになり、千紘がスマートフォンを確認すると、律から連絡が届いていた。『来週なんですけど、水曜か金曜どうですか?』 仕事の予定を確認すると、どちらも今のところ空いている。『金曜なら大丈夫です』『じゃあ金曜で。今度は俺が店決めてもいいですか?』『もちろん』『よかった。探しておきます』 そのやり取りをしている間だけ、自然と口元が緩んだ。 来週の約束。 また一つ、未来の予定が増えた。 クロに言われたことが胸の奥に残っていないわけではない。それでも、だからといって律との時間をすべて諦めることはできなかった。 残された時間が決まっているのなら、なおさら会いたい。 そう思うようになっている自分が、少し怖かった。 スマートフォンがもう一度震える。 今度は彰人だった。『食事の件、木曜はどうですか?』 金曜日は律。 その前日は彰
last updateDernière mise à jour : 2026-09-09
Read More

偶然を演じる

『雨宮さんは、以前どこかで俺を見たことがありますか?』 千紘は彰人から届いたメッセージを見つめた。 以前にも、似たようなことを聞かれたことがある。そのときは、千紘と凛に共通する仕草や好みが重なったことで、どこかで会ったことがあるのではないかと尋ねられた。 けれど、今回は違う。 芹奈が自分を疑い始めた直後だ。彰人もまた、雨宮凛が偶然仕事で自分と知り合っただけの女なのか、確かめようとしている。 千紘は少し考えてから返信した。『ないと思いますけど。どうしてですか?』 すぐには返事が来なかった。『前にも聞いたかもしれませんね』『聞かれましたよ』『ですよね。すみません』『また奥様に似てると思ったんですか?』 あえて、これまで彰人自身が使ってきた理由を差し出す。 しばらくして返信が来た。『それもあります』 それも。 つまり、別の理由もある。『他にも何か?』『いや、大したことじゃないです』 彰人は逃げた。 千紘も追わなかった。『そうですか。私、有名人でもないので、榊原さんが仕事以外で私を見かける機会なんてあまりないと思いますよ』『確かにそうですね』『木曜の食事は予定通りで大丈夫ですか?』『もちろんです。楽しみにしてます』 会話はそこで終わった。 千紘はスマートフォンを置き、小さく息を吐いた。 まだ大丈夫だ。 彰人は疑っているが、何を疑えばいいのかすら分かっていない。まさか殺した妻が別人の身体で戻ってきたなど、考えるはずもない。 考えられるとすれば、雨宮凛が何らかの理由で榊原夫妻について調べていた、あるいは誰かから話を聞いて近づいてきたという程度だろう。 問題は、その疑いに芹奈まで加わったことだった。 これからは、今まで以上に慎重に動かなければならない。     ◇「ちょっと面倒になってきたな」 突然背後から声がして、千紘は振り返った。 クロが窓際に座っている。「勝手に出てこないでよ」「今さらだろ」「心臓に悪いの」「一回止まってるのに?」「そういう冗談、面白くないから」 千紘が睨むと、クロは肩をすくめた。「で。疑われてるな」「見てたの?」「だいたいは」「趣味悪い」 千紘はベッドへ腰を下ろした。「でも、まだ何も分かってない。彰人も芹奈も、私が何か知ってるかもしれないって思い始めただけ」「
last updateDernière mise à jour : 2026-09-10
Read More

どうして?

    ◇ 翌日。 千紘は決めた通り、仕事に集中した。 榊原コーポレーションの案件についても、必要な連絡以外はしない。彰人から雑談のメッセージが届いても、返事はするが自分から話を広げなかった。 芹奈から匿名の連絡も来なかった。 昼過ぎ、佐伯と次回プレゼンの確認をしていると、珍しく佐伯から声をかけられた。「雨宮さん、最近大丈夫?」「何がですか?」「榊原さんのところ」 千紘は資料から顔を上げた。「仕事で何か問題ありました?」「いや、逆。評価はいいんだけどさ」 佐伯は少し言いにくそうに声を落とした。「先方の榊原さんと相沢さん、雨宮さんを挟んでちょっと空気悪くない?」 第三者にも分かるほどになっていたらしい。「……すみません」「謝ることじゃないよ。雨宮さんが何かしたって話でもないし。ただ、もしプライベートなことで仕事に影響しそうなら早めに言って」「はい」「前にも相沢さんから担当変更の話あったしね。今はむしろ榊原さんから指名されてるから、こっちとしても少し気になってる」 千紘は頷いた。「仕事に持ち込まないようにします」「雨宮さんが、じゃなくて先方がね」 佐伯は苦笑した。「必要なら俺が間に入るから」「ありがとうございます」 席へ戻りながら、千紘は少し反省した。 復讐に夢中になりすぎて、仕事まで巻き込むわけにはいかない。 雨宮凛には雨宮凛の生活がある。 自分が借りている、この身体の生活が。 残された時間がどれほどであろうと、それを壊していい理由にはならなかった。     ◇ その日の夕方。 芹奈は、凛から何の連絡も来ないことを気にしていた。 匿名のメッセージにも、凛から新しい質問はない。 仕事では普通に対応してい
last updateDernière mise à jour : 2026-09-10
Read More

黙っていられない女

『どうして?』 千紘は画面に表示された一言を眺めながら、すぐには返信しなかった。 もう千紘のことを聞くなと言ったのは、芹奈の方だ。それなのに、実際に千紘が何も聞かなくなった途端、今度はその理由が気になるらしい。『相沢さんに、もう聞かないでほしいと言われたからです』 あえて名前を出して返すと、しばらくして既読がついた。『私が相沢さんだって決まってないでしょ』『そうでしたね』『それに、私が聞いてるのはそういう意味じゃない』『じゃあ、どういう意味ですか?』 また返事が止まった。 千紘はベッドへ腰を下ろし、彰人との食事を思い返した。 今夜は自分から死んだ妻の話を一度もしていない。彰人に振られたときも、「自分には関係のない話だ」と引いた。 あれで彰人の疑いが完全に消えたとは思わないが、少なくとも雨宮凛が執拗に妻の死を探っているという印象は薄くできたはずだ。 一方で、芹奈には逆の効果が出ている。 凛が質問している間は、芹奈にはその意図を推測する材料があった。ところが突然何も聞かなくなれば、今度は見えないところで何かしているのではないかと疑いたくなる。 しばらくして、返信が届いた。『急に興味なくなったのが変だと思っただけ』『興味がなくなったわけじゃありませんよ』『じゃあ何で聞かないの?』『聞いたら相沢さんに疑われるからです』 既読がついた。『誰かに私たちのことを聞いたり、調べたりしてないかって、昨日聞かれましたよね』『だから、もう余計なことは聞かない方がいいと思っただけです』 芹奈からの返事はなかなか来なかった。 千紘は少し待ってから、もう一通送った。『それとも、何か私に聞いてほしいことがあるんですか?』 今度は十分近く、何も返ってこなかった。『ない』 ようやく届いたのは、それだけだった。『分かりました』
last updateDernière mise à jour : 2026-09-10
Read More

会いたい

     ◇ 律が選んだのは、小さな和食店だった。 カウンターとテーブルが数席だけで、仕事帰りの客が静かに食事をしている。「こういう店、よく来るんですか?」「たまに。一人でも入りやすいから」「意外」「どういう店に行くと思ってました?」「もっと適当にラーメンとか」「行きますよ。普通に」「やっぱり」「何で嬉しそうなんですか」 千紘は笑いながらメニューを開いた。 そのとき、一品料理の欄にある文字が目に入った。「だし巻き――」 口に出しかけて止まる。「食べます?」 律が聞いた。「好きなんですか?」「……好きです」「じゃあ頼みましょう」 律は何も気にせず注文へ加えた。 昔もそうだった。 律と食事をすると、千紘がだし巻き卵を頼みたがることを知っていて、何も聞かずに注文してくれた。 懐かしい。 でも、それを言うことはできない。「雨宮さん?」「何でもないです」 千紘はメニューへ視線を戻した。 最近、律と一緒にいるほど危ない。 彰人の前では意識して演じているからこそ、かえって間違えない。 律の前では気が緩む。 千紘だった頃と同じように振る舞ってしまう。     ◇ 食事の途中、律がふと箸を止めた。「榊原さんとは、その後どうですか?」「昨日、食事しました」「昨日?」「はい」「……そうですか」 明らかに声が低くなった。 千紘は少し笑う。「嫌そうですね」「嫌ですよ」 あまりに素直に言われ、千紘は瞬きをした。「隠さないんですか?」
last updateDernière mise à jour : 2026-09-10
Read More

事故ではなかったら

『千紘さんの死が事故じゃなかったら、あなた、どうするの?』 千紘は駅前で足を止めた。 これまで芹奈は、事故について踏み込まれるたびに逃げていた。見ていない、知らない、もう聞くな。その繰り返しだったのに、今度は自分から事故ではなかった可能性を持ち出している。 ここで食いつけば、また疑われる。 千紘はしばらく考えてから返信した。『どうするって言われても、私には関係ないですよね』 既読はすぐについた。『気にならないの?』『気にはなります。でも、相沢さんに疑われてまで調べようとは思いません』『私が相沢さんだって決まってない』『そうでしたね』 そこで会話を終えるつもりだった。 ところが、次のメッセージが届く。『もし殺されたんだとしたら?』 千紘の指が止まった。 事故ではない、ではなく。 殺された。 芹奈自身が、その言葉を使った。 胸の奥から、あの日の記憶が蘇る。崖の上で聞いた二人の声。彰人に押され、必死に伸ばした手。そして、落ちていく自分を見下ろしていた芹奈。 スマートフォンを握る指に力が入った。 落ち着かなければならない。『警察に相談すると思います』 それだけ返した。『証拠がなくても?』『殺されたと思う理由があるなら、まず相談するんじゃないですか?』 今度は返事が来なかった。 千紘はスマートフォンをバッグへしまい、再び歩き出した。 芹奈は何がしたいのだろう。 凛を試しているのか。それとも、黙っていることに耐えられなくなっているのか。 どちらにしても、自分から「殺された」という言葉を出したことは大きい。     ◇ 帰宅すると、千紘はすぐにやり取りを保存した。 三枝に送るか迷ったが、今夜はやめておく。緊急性があるわけではないし、しばらく直接の接触を減らそうと言われたばかりだ。 着替えていると、クロがいつの間にか部屋の隅に立っていた。「向こうから喋り始めたな」「……そうね」「嬉しくないのか?」「嬉しいっていうより、気持ち悪い」 千紘はベッドへ腰を下ろした。「私を疑ってるはずなのに、どうしてわざわざそんなこと聞くんだろう」「人間は黙ってる方が苦しいこともある」「共犯者なのに?」「共犯者だからじゃないか?」 千紘は顔を上げた。 クロは壁にもたれたまま続ける。「一人で殺したなら、自分が黙ってれ
last updateDernière mise à jour : 2026-09-11
Read More

知られたくないこと

『あの人に知られたら困るから』 千紘はその文章を何度か読み返した。 芹奈が彰人に知られたくないのは、自分が凛と連絡を取っていることだけではないらしい。『どうして困るんですか?』 返信したものの、予想通り答えは来なかった。 これ以上追えば、また警戒されるだろう。千紘はスマートフォンを置き、出勤の支度を始めた。 今は待つ。 芹奈はすでに、自分から「殺された」という言葉を口にしている。焦って問い詰めなくても、二人の関係が悪化すれば、また何かを漏らす可能性は高い。     ◇ 出社して間もなく、三枝から連絡が入った。『レンタカーについて、少し分かったことがあります』 千紘は休憩時間になってから返信した。『相沢さんのですか?』『まだ本人が利用したとは確認できていません。ただ、相沢さんの自宅から近い店舗で、死亡当日の朝から翌日にかけて貸し出された車があります』 千紘は眉を寄せた。『それだけなら、たまたまですよね』『はい。ですから現段階では何の証拠にもなりません』 三枝は慎重だった。『ただ、相沢さんはその日会社を休んでいる。もし本人が借りたことまで確認できれば、当日の行動を追う手がかりにはなります』『利用者までは分からないんですか?』『店から顧客情報を出してもらうことはできませんからね。別の方法で確認できないか探しています』 当然だ。 探偵だからといって、店の個人情報を自由に見られるわけではない。『無理はしないでください』『もちろんです。違法な方法を使うつもりはありません』 そこでやり取りは終わった。 千紘はスマートフォンを伏せる。 今のところ分かったのは、芹奈が会社を休んでいたこと。そして、その自宅近くの店から同じ日に誰かがレンタカーを借りていることだけだ。 あまりにも弱い。 けれど千紘には、芹奈があの日あの場所にい
last updateDernière mise à jour : 2026-09-11
Read More
Dernier
1
...
678910
...
15
Scanner le code pour lire sur l'application
DMCA.com Protection Status