「では?」 「まず、財務院が提出した資料の不備について質問します。七三三番の請求書が慈善資料ではなく式典資料に混ざっていた理由を」 オスカーが眼鏡を押し上げる。 「相手がどう答えるかを見るわけですね」 「ええ。そこで代書屋の話をするなら、代書屋の記録へ。資料整理上の誤りと言うなら、誰が整理したかへ。慣例と言うなら、その慣例を書面で出してもらいます」 マルタが、わずかに頷いた。 「逃げ道を、一本ずつ記録するのですね」 「逃げ道ではありません」 クラリスは紙を揃えた。 「本人に、自分で道を選んでいただくのです」 オスカーが小さく呟いた。 「……やはり敵に回したくありま
Last Updated : 2026-08-26 Read more